広島県呉市「石崎動物病院」

動物に優しく思いやりのある診療をモットーに

News

RSS1.0


2016年03月16日(水)

会陰尿道瘻形成術と慢性膀胱炎 [News]

●アイ 6歳 ♂ Mix
再々にわたり尿道閉塞を繰り返し、カテーテルでの排尿処置を何度も行い、いよいよ尿が出なくなってしまい獣医さんの紹介で来院されました。完全な尿閉塞ではなく、絞り出すように尿が出ていたため尿毒症は免れていました。問題としたのは、慢性の膀胱炎でした。それは、過去に様々な抗生物質を使っている情報から耐性菌の心配がよぎったのでした。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●尿道瘻形成術
矢印の部分で閉塞が著しく、カテーテルが全く挿入できない状態でした。よって、尿道を見つけるのに随分と苦労しました、切断したペニスを骨盤部に固定するため、尿道部分が癒着し線維化して堅くなったペニスの一部を残さざるを得ない手技となりました。

画像(330x225)・拡大画像(595x407)

●術後の様子
去勢手術とペニスを切断して包皮粘膜を利用して膣を形成しました。

画像(258x330)・拡大画像(446x569)

●術後14日目
ご紹介の先生からは、術後に尿と陰部から排膿があり、随分と心配され何度もご連絡がありました。「培養結果がでるまで焦らず消毒に徹してください!」とお伝えしました。
7日後の培養結果は@大腸菌Aエンテロコッカスの2菌種が見つかりました。予測通りほとんどの抗生剤が効きません、@とAに効果があると思われる2種類の抗生剤を個々に選択し、7日間の併用療法を行うことをお伝えました。

抗生剤の使用が始まった7日後には、膿はまったく見られなくなり、耐性を得た細菌を無事に制御することができました。(下記が感染が治まった陰部のアップ写真)

画像(330x253)・拡大画像(557x428)

後程送っていただいた写真

●考察
抗生剤は「錦の御旗のごとく」使われますが、使わないに越したことはありません。最も問題になるのは耐性菌の出現であり、不適切な使用で人為的に発生を招きます。当院の方針は、出来るだけ抗生剤を使わない、そして使う際には、使う明確な理由があり、的確な抗生剤と的確な投与量と的確な投与期間を計画して投与しなければならないことを肝に銘じることです。漫然となんとなく習慣的に使用すると耐性菌が出現して難治性の感染症を発生させてしまうことを認識して使用する責任があります。
今や人類の生存にかかわる大きな問題まで発展しています、使用者の公衆衛生上の高い意識が必須です。


関連タグ :

10時02分


ページのトップへ

  • お問い合わせ
  • スタッフ募集
  • 石崎動物病院の日々

検索

キーワードリスト

最近の記事

リンク集

powered by a-blog

[Login]