広島県呉市「石崎動物病院」

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2019年08月22日(木)

子犬の低血糖 [News]

●ゲーリー 3か月 チワワ ♂
意識不明の緊急状態で担ぎ込まれました。

急ぎ頚静脈から採血し、前足に血管を確保しました。
血糖値は「Lo]、低血糖です。
ブドウ糖を急速注入、そして、ブドウ糖が添加してある電解質溶剤をゆっくりと機械管理で静脈へ送りました。

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低血糖症とは、血中の糖分濃度が著しく低下してしまう病気です。身体の細胞は糖あるいはケトン体をエネルギーとして活動しています。

実は、今回が2度目の低血糖でした。
2種類の異なる消化管寄生虫により低血糖が発生したのでした。寄生虫により腸管から十分なブドウ糖を吸収できなくなり、未だ微力な肝臓でのグリコーゲンとしの蓄え、あるいは中性脂肪への返還ができなくなるためエネルギーが枯渇し虚脱、痙攣症状が発生したのでした。

●1度目の低血糖症
検便によりトリコモナスを発見しました。
トリコモナスは原虫に分類され、健常な場合でも寄生していることもあり、感染している犬の糞から経口的に感染します。子犬では、粘液、下痢便が主症状です。

1度目は、低血糖を緊急処置を行い、翌日より元気に回復していました。そして、食欲が改善したところで駆虫薬を5日間処方しました。

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●2度目の低血糖症
1度目と同じく「昨日まではとても元気だったんです!」
と倒れた状態で来院されました。
検便を行うと1度目とは異なる寄生虫、ジアルジアが発見されました。
ジアルジアはトリコモナスと同じ原虫に分類され、同じく消化器症状(粘液、水様便)を起こします。

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●2時間後
仮死状態が嘘のように2時間後には蘇りました。
経鼻カテーテルから駆虫薬と天然ハチミツを投与し、その1時間後には鹿の缶詰をぺろりと完食しました。

画像(330x228)・拡大画像(334x231)

●注意点
子犬(特に生後3か月未満)は、急激な変化が起こります。
1度目の回復後に検便を行いましたが、その際には2度目の原因であるジアルジアは発見されませんでした。

良くお話を伺うと、便は少し緩い状態が続いていたそうです。特に子犬の場合は、元気、食欲があっても、柔らかい便が出る際には、寄生虫の有無を繰り返し検査することが肝要になります。

09時25分


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