広島県呉市「石崎動物病院」

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2011年07月23日(土)

犬の化膿性胆管肝炎か?胆嚢炎か? [News]

●ダックスフンド 11歳 ♂

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他の病院で肝臓が悪いと思うが診断は良くわからない。紹介するが急に手術になるかも知れないと聞き、不安になって広島から来院されました。
突然の発熱、黄疸ですからIMHA(自己免疫性溶血性貧血)もリストに上げなければなりません。

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症状は、突発でした。身体検査で分かるほどの黄疸がありました。黄疸と言っても大きく考えて肝細胞が障害を受ける場合、肝臓外の胆道系が障害を受ける場合とがあります。ちなみに肝臓および肝外疾患の鑑別リストは、慢性肝炎、中毒性肝炎、ウイルス性肝炎、胆管肝炎、銅関連性肝炎、肝膿瘍、肝硬変、肝腫瘍、バイスタンダー肝炎、全身性疾患の2次的肝臓徴候、門脈シャント、門脈低形成、膵炎、膵膿瘍、胆嚢炎、胆嚢粘液嚢腫、外傷、胆嚢を巻き込む横隔膜ヘルニア、十二指腸炎、寄生虫など多数あります。

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●膵炎
犬の場合には、解剖学的な構造上、膵炎から総胆管が閉鎖されて黄疸になることが良くあります。また、ヨークシャテリア、ミニチュアシュナウザーの犬種では、高脂肪血症が危険因子と考えられていますが、今回のケース脂肪に関する数値は正常で、典型的な嘔吐、上腹部の痛み、超音波所見による膵臓のエコー原性の低下はありません。しかし、炎症マーカーであるCRP(炎症蛋白)の著しい上昇は見られます。膵炎の診断率の高い膵リパーゼ免疫活性を検査提出しました。この検査、残念ながら院内でできないので、少し時間がかかるのが問題です。

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●胆嚢炎
嘔吐、発熱、黄疸があることから胆嚢炎もリストアップしました。超音波所見は、多くの胆泥はありますが、特徴的な壁の肥厚、内膜が不正、胆嚢内のガスなどはありません。胆嚢穿刺により、胆汁を培養に出すことは診断価値が高いのですが、夜遅い診察でしたので、観察が疎かになることから明日とし、胆嚢炎時に予想される抗生剤を処方し、持続点滴、入院とさせていただきました。

●入院翌日
腹腔鏡による検査を予定していましたが、翌日から熱が下がり嘔吐もありません。膵炎の結果もまだ数日かかるので、現行の治療を継続することにしました。

本日、急性膵炎の検査結果が陰性で届きました。状況は改善され、黄疸の値も正常に近いところまできました。胆嚢炎、化膿性胆管肝炎を最終的に絞れませんが、これより抗生剤を最低6週間投与します。
明日は退院です!

08時04分


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