広島県呉市「石崎動物病院」

動物に優しく思いやりのある診療をモットーに

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2015年01月19日(月)

犬の心タンポナーゼ [News]

●柴Mix 桜 18歳 ♀
当院は基本的に完全予約制です、今回は早朝の病院周辺の掃除中に「具合が悪いので見て欲しい!」と慌ててで飛び込んでいらっしゃったお話です。

早速、診察させていただくと起立不能、虚脱、舌と粘膜蒼白(少し青い)などショックを思わせる症状を呈していました。飼い主さんからは、「昨日まで食事をしていたが、お腹を少し壊していた。今回も腹が悪いからだと思う。」程度のお話でした。聴診すると心拍と股動脈との連動に異常を感じました。血管を確保後、点滴を流し、次に心電図を測定。不整脈は無く、しかし、心臓の電気的刺激に反応しているけれども、低く出現している波形が気になりました。早速、心臓の超音波検査の必要性を感じ、まずは常に目の届くICUに入院いただきました。

●状態悪化
ICU管理下15分、横たわった状況から起立可能になり、顔つきにも変化が現れました。しかし、喜んでいたのもつかの間、次の瞬間には、呼吸速迫、横臥状況へ一変しました。急ぎ、緊急処置の為に、処置台に移送し気道チューブを挿管し気道を確保しました。超音波検査を並行して行うと、心臓の外側への著しい液体貯留(心タンポナーゼ)を認めました。心臓は既に周囲の多量の液体の圧迫により疲弊し、連動していた心電図は直ぐに心室粗動へ移行しました。

スタッフが胸を圧迫しながら復帰させますが再び悪化、直ぐに胸の消毒を済ませ、心臓に向けて超音波を見ながら一気にカテーテルを刺し込み排液を図りました。200ml抜けた頃には、心電図は正常に復しました。まさに間一髪の瞬間でした。

●退院
翌日には、状態が180度好転し、起立できるようになり、食欲も回復しました。数日カテーテルを装着したまま通院戴く予定です。心嚢内の液体には腫瘍細胞は見当たりませんでしたが、まだまだ予断は許せませんが、突発性であることを願っています。今回は、緊急事態であったため写真は残せませんでしたが、皆様にご注意いただくことは、徐々に痩せてくる原因の一つに心臓疾患があるとご記憶いただければ、18歳の桜の命がけの経験がお役に立てると思います。

18時49分


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