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股関節形成不全と骨頭壊死 [News]
●ポメ 歳 ♂
ホームドクターでレントゲン撮影し「様子を見ましょう!」と言われ、長期に渡り様子を見たが変化が無く、最近は足を上げる時間も長くなったとのことで、ご紹介で来院されました。
●レントゲン写真
左右の股関節の状態を観察すると、大腿骨骨頭が受け側(寛骨臼)に入っているのですが、骨頭の位置の違いが分かります。向かって右側は入りが浅く、さらに骨頭部分の一部に黒く抜けが見えます。この状態は、股関節形成不全と骨頭壊死も疑いがあることを考慮する必要があります。
痛みが継続することから、手術で大腿骨頭を切断する計画を立てました。
●術後
摘出した大腿骨の頭部分です。このひび割れは、関節軟骨の骨折の剥離骨折の可能性も考えられます。病理検査を待ちたいと思います。
●術後直後
硬膜外麻酔、術中、術後と麻薬による痛みの管理を行いました。翌日から、食欲旺盛で痛みも軽減され穏やかな顔つきになりました。3日後には退院予定です。
●病理結果
骨頭組織の皮質領域の一部において、変性/壊死巣が観察され、これら病巣部には線維細胞の増生や血管新生が認めらレッグペルセス病と診断されました。レッグ・ペルセス病とは、大腿骨骨頭の血流障害によって発生する骨と骨髄の壊死を特徴とする疾患であり、循環障害に分類されます。動物では1歳未満の小型犬に多いと言われます。
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犬の大腿骨骨折 [News]
●柴犬 ♀ 杏子 8歳
脱走して数日後に帰宅すると足を引きずっていたそうです。
とにかく神経質で、飼い主さんも触ることができません。噛みつき泣き叫ぶところを、申し訳ないのですが無理に把持して血液検査と聴診をして、安全を確認後、鎮静剤を投与しました。骨盤が折れていないことを祈ってレントゲンを撮影しました。
●手術
整形外科は、手術の中でも痛みの強い手術です。術前に硬膜外麻酔を施し、持続的に麻薬を投与しながら行います。手術の種類は、骨の中にピンを入れる方法、プレートとネジで固定する方法、皮膚の外からピンで串刺固定する方法がありますが、性格、環境を考えてプレート固定を選択しました。
骨は3か所に割れていました。中間に浮遊している骨を先ずネジで固定し、次に上下を合わせてプレートで固定しました。
●術後
術後は、痛みの管理を継続するために、麻薬のシールを貼ったり、あるいは、持続的に麻薬を血管から流します。
●手術器具
整形外科は、たくさんの機材が必要になります。プレートを装着するための、ドリル、ドリルガイド、プレート、プレートの形を整えるベンダー、各種長さのネジ、ネジ穴の長さを図るゲージ、骨を固定する各種鉗子などなど。手術後の後片付はとても大変になります。「看護婦さんご苦労様!」
私は、20年前にアメリカでこの手術の実習を指導いただき、そして機材一式を購入しました。今は、進化したプレートが出てきていますが、基本は昔も今も変わりません。
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踵(かかと)が折れちゃいました〜! [News]
●キャスパー 6カ月 チワワ ♂
他院のご紹介で来院されました。飼い主さんが気が付いた時には、足を上げていたそうです。飼い主さん曰く「ソファーから落ちたのではないか?」との見解ですが、落下で生じる骨折ではないので、誰かに踏まれた可能性があります。キャスパーはとっても大人しくて良い子なので、踏まれても声をあげず我慢していたのではないかと予想されます。右の写真では、「左のかかと」が横にずれているのが分りますか?骨折して間もないので、随分と腫れています。
●手術
折れた踵を元に戻して、2本のピンとワイヤーで固定しました。1.6kgしかない小さな子犬でしたので、手術スペースが少なく、さらに、若いので危弱でした。
●レントゲン写真
手術後、確認のために、レントゲン写真を撮影します。
●バンテージ固定
肢の角度に合わせてバンテージ固定を行いました。約1カ月固定おこないますが、年齢的に若いので早めに外せると思います。
キャスパー、安静を厳守してね!