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2014年09月16日(火)
猫の口内炎2 [News]
●ウララ 11歳 ♀ 三毛猫
「出血し、食欲がなく、よだれを出し、前足で口を掻く」主訴で来院されました。口の中は、痛々しく変化していました。
炎症著しい肉芽病変は、口の側方からはみ出していました。
●口頬部の痛々しい炎症病変
●口内炎治療と対策
口内炎の原因は長期に渡る細菌に対する自己免疫による炎症反応です。治療は、抗生物質、免疫抑制剤、インターフェロンなどがありますが、最も効果的なのは全ての歯を抜歯する外科処置です(80%改善)。外科で特に気を付けなければいけないのは、抜歯作業中に歯の小さな根が折れてしまう残根の問題です。この歯根片を残してしまうと、術後再発の可能性が生じるので熟練した手技が必要となります。
全抜歯に抵抗を持たれる飼い主さんが多く、そのお気持ちは十分に理解できます。しかし、長期薬物管理の副作用を考えると積極的に外科を考量する必要があります。また、抜歯後は、歯が無くとも食事は通常通りいただくことが可能です。
●1ヶ月後
今回は、舌根部に膿瘍を形成してしまいました。ようやく飼い主さんが重い腰を挙げ、全抜歯の許可をいただく事ができました。全抜歯は、この状態が治まり次第行う予定です。
●口腔学セミナー
先般、歯科学の権威者の一人あるペンシルバニア大学のDr.Harveyが来日されました。猫の口内炎についてDr.Harveyも「現段階では、最後の手段ではなく、一番に選択すべき手技である!」と仰っていました。
私のしつこい質問にもかかわらず、丁寧にお答えいただき、数々の歯科の問題点が消化され、明日への臨床に大いに役立つご教授をいただきました。感謝。
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11時56分