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飼い主さんの「お手柄!」 [News]
★注目!下の小さなほくろの様な塊(約5mm)が見えますか?
飼い主さんが、最近気づき、見た目は「イボ」の様ですが、細胞診で今一つはっきりしないので、念のために切除することになりました。毛刈りが済んでいるので、分かりやすいのですが、毛が生えた状態で発見するには、よほど意識しないと見つかりません。
★日本人における悪性黒色腫(メラノーマ)は、足の裏に多く発生するといわれますが、犬の場合は、口腔内に多く発生します。特に粘膜に発生した場合は、高い転位率や再発率を示します。
今回の腫瘍は、低悪性度と診断されました。
また、完全切除がなされていますので、一安心ですが、再発に対する観察が必要です!
★リッキー 柴 雌 12歳
昨年、5月に乳腺腫瘍を切除し、今年の3月に子宮蓄膿症(通常、乳腺腫瘍切除時に子宮卵巣切除も勧めますが、飼い主さんの希望を優先しました)を行い、そして、この度の手術となりました。
乳腺腫瘍も一部が悪性所見(こちらも、完全切除)であったことが、飼い主さんの意識を高め、今回の早期発見につながったことが幸いしました。これからは、「癌にならない体づくり」を意識して長生きできるように、頑張りましょう!
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1kgのリンちゃん、 腹腔鏡下避妊手術成功! [News]
●避妊手術といっても@卵巣A卵巣・子宮B卵巣・子宮・子宮頸管を切除する方法がありますが、当院ではBの全摘出術を行っています。
最近は、ほとんどの飼い主さん(90%)が、腹腔鏡での避妊手術を望まれる傾向にあります。遠くは、広島市内、広島北部、東部からも腹腔鏡下手術の為に来院され、現在、約400例となりました。有り難いことに、一度も手術事故はありません。
しかし、今回は、少し不安のある手術でした。というのも、最小体重(1kg)での、初の手術挑戦だったのです!さらに、この1kgのチワワのリンちゃんは、痩せて体重が少ないのではなく、全ての器官が凄く小さかったのです。血管確保、気管挿管、硬膜外麻酔、どれをとっても最初から大変でした。
●通常の麻酔準備を行い、硬膜外麻酔後に、手術室へ移動します。
下は、気体でお腹を膨らまし、スペースを広げ、5mmの孔から挿入した鉗子で、右側の卵巣を把持しているところです。
●続いて、卵巣靭帯と卵巣動静脈を、超音波メスで止血、切断します。
●卵巣靭帯と卵巣動静脈が切断され、把持鉗子を離すところです。
●今度は、同じ鉗子で、反対側の右の卵巣靭帯を超音波メスで切断し、左と同じ手順を繰り返します。
●最後に、子宮頚管を同じく超音波メスで切断および止血した後、出血の有無を確認します。この後、カメラを前方に回し、左右の卵巣切断部位の止血、そして、肝臓、脾臓、腎臓、膀胱、消化管を観察します。
下は、膀胱、便の入った直腸、切断した子宮断端が見えます。
●手術直後の写真です。
上、中、下と三か所の5mm縫合部が分かりますか?
●無事に手術が終わり、麻酔覚醒後の「笑顔のリンちゃん」です。(ご希望通り、夕方には帰宅できました。)
とっても小さな体ですから、通常の切開に比べ腹腔鏡手術の小切開創は、痛みが少なく、内臓の乾燥を防ぎ、組織のダメージを少なくし、回復が早いことが適します。
また、大型犬で、特に胸が深い場合には、卵巣の位置が深いので、引っ張りあげる時に牽引痛が生じます。また、卵巣から、子宮頸管までの距離があるので、10cm以上の大きな切開創が必要となり、こちらも、腹腔鏡下手術が最適です。いずれにしろ、どの大きさでも、多少の金額の加算が許されるのであれば腹腔鏡で手術するにこしたことはありません。
●私が6年前にアメリカへ研修へ行った時に、講師の先生は、3kg以下の動物は、腹腔鏡手術が難しいと仰っていました。以前に1.8kg(痩せていて、腹腔内のスペースがあった)の経験はありましたが、今回は、最小体重の1kgの手術となりました。鉗子とカメラの移動スペースが凄く小さいので、とても苦労しましたが、所要時間は、普段と変わりなく約15分で、終了しました。無事に終わり、私も、リンちゃんもとてもハッピーででした! リンちゃんに乾杯!! Toshi