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猫の尿道閉塞 [News]
●ロッシー 6歳 茶トラ
一昨日あるいは昨日から尿が出にくいと来院されました。
身体検査をすると、尿は出ているのですが、血尿。しかし、膀胱炎にしては、元気がありません。簡単な血液検査をしたところ、尿毒症の所見がでています。考えられる事は、数日内に尿道の閉塞が起こり、尿毒症になる。そして、嘔吐が始り(飼主さんからは明確な情報はありませんでしたが)脱水が進み、虚脱状態に陥ったと考えられます。
●尿閉塞
♂猫では、尿がペニス先端部で小さな結石(あるいは血餅)で閉塞してしまうことがしばしばあります。この閉塞状況を放置すると確実に死亡します。多くの原因は、食事の影響、膀胱炎により結晶が作れら閉塞してしまうことです。
●処置
まずは、血液検査により電解質の状態を検査し、異常があれば、麻酔を行える状態に回復させます。そして、尿道から暴行までカテーテルを挿入して洗浄、次にそのカテーテルを滅菌閉鎖回路につないで3日間ほど、再び尿が閉塞しないように管理します。
ロッシーは、午後には凄く元気をとりもどしました。約3日後には退院の予定です。
考えられる原因は、食事から過剰に摂取したミネラル(Mg,P,Ca)や代謝異常により尿中にミネラルがたくさん排泄され結晶化すると言われています。
●飼主さんへ
普段から、尿の状態(回数、色)を注意深く観察しましょう!
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循環器科:小型犬は心臓が悪くなるのです。 [News]
●チェリー 14歳マルチーズ
3年前に「数年前から突然倒れる」との主訴で転院してこられました。診察させていただくと、以前から咳があり、聴診で左側からの雑音、そして心臓のリズムの異常が見つかりました。小型の老犬に多い病気は、左側の心臓の弁が変性してしまう「僧帽弁閉鎖不全」です。チェリーもその病気を疑って検査計画を立てました。
●精密検査
心臓が悪いと分かりましたので、その詳細を探るためにレントゲンと超音波検査を行う計画を立てました。チェリーは、凄く怖がりなので、軽い鎮静を行いリラックスいただいてから検査を進めました。
●カラドップラー
まずは、上記で弁のしまり具合、形状、心筋の厚さ、各心臓の部屋の大きさ(心臓は4つの部屋に区切られています)を観察後、カラーを乗せて弁部における逆流を検査しました。
チェリーは、左の弁で著しい逆流(モザイクに映る)が観察されました。
●計測
逆流が分かったので、大動脈と左心房の大きさの比を測定します。左の弁の締りが悪く、逆流が観察されたので、その影響がどの程度出ているのか、数字で左の部屋(心房)の大きさを測定します。正常値は大動脈経と左心房比は1:1.5以下です。
●収縮力の測定
逆流が見られる場合には、左心室の収縮力が増加していのですが、その程度を数字として表わし、また、その収縮力の程度により薬の選択を行います。
●逆流速の測定
左の心房にどのぐらいの逆流の速度があるのかを数字で測定します。
●流出速の測定
左心房から心室に向けて流れる血液の速度を測定します。これにより、心室の心筋の固さが分かります。
●チェりー情報
チェリーの特技は、ゴハンがほしい時には、招き猫の真似をして「頂戴」ができるそうです。そんなチェリーと3年前に出会い、検査後に投薬が始まりましが。2年後に股関節脱臼のために麻酔を余儀なくされました。その後も数回倒れながらも今日まで元気にこれました。これも、飼主さんに信頼いただき、コミュニケーションをとりながら定期検査に真面目に来ていただいた成果であると思います。嬉しい限りです。
●飼主さんから一言
「チェリー!まだまだ長生きしてね!」
口唇の腫瘤 [News]
●ヨダレが出る
飼主さんからのお話では、最近「ヨダレ」がよく出るとのことでした。そして、よくみるとなんか黒い物が唇に付いているのでは?と来院されました。
確かに楕円形の卵様のできものがいました。昨年悪性腫瘍の手術をしたばかりなので、急ぎ摘出することにしました。
●確認事項
腫瘍を切除する際に気を付けなければならないことは、腫瘍以外の健康組織を含めて切除しなければいけない事です。できるだけ範囲が広いほど良いのですが、あんまり大きく切除しすぎると修復できなくなります。そして、必ず確認しなければならないのは、切除部位に腫瘍が居ないかどうか?居るのであれば「どの側か?」です。そして、その腫瘍が血管に侵入しているかどうか?です。もし、切除が不完全であれば、躊躇せずに切除を広げて再手術を行います。
●切除後
手前と内側の唇を安全域を含めて切除しましたので、大きな傷になりました。幸いこの部分はゆとりがあるので、外観の変化もなく、翌日はいつもと変わりなく食欲旺盛で、飼主さんも「ホット」されていました。