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外科:臍(へそ)ヘルニアについて [News]
●臍ヘルニア
臍ヘルニアとは、「へその緒」の部位における閉鎖不全です。この度「ホワイトペキニーズ、7か月、日向(ひなた)ちゃん」は、不妊手術(腹腔鏡にて)を行う為に来院されました。身体検査で、臍ヘルニア(でべそ)が見つかり、不妊手術と同時に整復を希望されました。腹腔鏡を使用する手術は、通常3か所の小切開(5mm)を行い、カメラと鉗子を挿入して、お腹の中で手術を行うのですが、このヘルニアの穴を利用して手術を行いました。よって、傷口の範囲を小さくすることができ、痛みの軽減につながりました。
臍ヘルニアは、穴の大きさが大きい物では、腸がその穴の中に入り込むこともあるので、積極的整復することが必要です。「可愛いでべそ」と微笑む前に、一度診察を!
●鼻腔狭窄形成
同時に鼻の穴の形成と、喉チンコの切除を行いました。
前回登場した「ボストンテリアの小次郎君」ほど大きく延びきった喉チンコではなかったので、炭酸ガスレーザーを使用して蒸散しました。
お年寄りでは、手術を分けて行うこともありますが、皆さん麻酔を何度もかける事を嫌うので、今回は、一度に@腹腔鏡下不妊手術Aヘルニア手術B軟口蓋過長手術C鼻腔狭窄手術を行いました。
短頭種の問題点 [News]
●鼻腔狭窄
短頭種に多いのが鼻の穴の狭窄です。鼻の穴が狭いために喉の奥が陰圧になり、のどチンコがどんどん引っ張られて大きくなってしまいます。だからこの状況が見つかれば、速やかに処置をすることが大切です!
●軟口蓋過長
大きくなったのどチンコを軟口蓋過長症と呼びます。のどチンコが大きいと、いびきが出ます。さらに悪化すると気道にのどチンコが入りこみ息ができなくなります。さらには、小嚢反転、喉頭麻痺まで進むこともあります。
●切除した軟口蓋
切除した大きなのどチンコです。
この、のどチンコが大きな音(いびき)を発生します。その音を聞くと飼主さんは、面白くとらえますが、実は、彼らにとっては、とっても辛いことなのです。重度のケースでは、熟睡すると息ができなくなるので、いつも浅い眠りにつくことしかできません。いびきを面白おかしく捉えるのではなく、病気と考えるべきなのです。
この手術で一番気を使うことは、重症なケースです。鎮静段階で呼吸ができなってしまうので、麻酔前は、スタッフ一同の観察と連携がかかせません。
●北島のオジキ
喉には大きなノレンが垂れ下がり、鼻の穴は狭くていつも苦しそうでしたが、この度、綺麗な鼻の穴に形成されました。これからは、空気の美味しさを味わい、夜は安心して熟睡できそうです。
●術後(小次郎、3歳)
この手術をした後は、皆さんびっくりするぐらいに良く眠ります。
普段十分な睡眠がとれないせいでしょうか、今まで寝るときには口が閉じないようにペットボトルをくわえて寝ていた小次郎君は、白雪姫の様に術後7時間も眠り続けたのでした。明日からの快適な毎日に乾杯!
●7日後
その後の小次郎君の様子を飼主さんに確認すると「夜は熟睡できるようになり快適になりました。」「今まで、ご飯を一粒一粒箸でつまんで与えていたのが、自力でバクバクと美味しそうに食べるようになりました!」と大変喜んでいただきました。良い夢見てくださいネ!
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外科:慢性外耳炎による「できもの」 [News]
●メイ♀シーズー 12歳
メイちゃんはアトピー性皮膚炎で苦労している、とっても優しい女の子です。数年前に慢性外耳炎が進行して、耳の入り口に小さな「疣状のもの」ができてしまいました。
●3年後
小さかった「できもの」も3年間放置すると、耳の入り口を塞ぎ外耳炎を繰り返すようになりました。いよいよ飼主さんも決心を固め今回の手術に踏み切りました。
●切除した物
これが入り口をふさいでいた出来物です。
この出来物を切除した後に、耳の奥を観察すると、さらに奥にできものが見つかりました。それも炭酸ガスレーザーで除去したので、これで耳道がしっかりと開通しました。
原則的に切除した組織は、病理検査へ提出します。
●炭酸ガスレーザー
このタイプの出来物を切除するのに役立つのが、水分を蒸散させ、炭化(炭状)させる炭酸ガスレーザーです。切除部位は、電気メスなどと比較すると熱ダメージが少ないため腫れが少なく、痛みも少なく治りも早いです。とても便利で優しい機械です。
「もっと早く切除すれば良かった・・・・。」と飼主さんは言われます。そのとおりで、異常を見つけた時が「旬」であり、年だからと経過観察していると、さらに出来物は大きくなり、待てば待つほど年齢を重ねて危険性が高まる事を忘れてはなりません。