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真菌症について [News]
●真菌症とは?
「カビ」「水虫」と表現したほうが分かりやすいと思います。特徴的な所見は丸いリング状に毛が脱毛することです。しかし、細菌性皮膚疾患も似たような所見を示しますから、顕微鏡下の「毛」の観察が重要な検査になります。
あ!それから、飼主さんに同様の皮膚症状があれば、伝染したことが考えられ診断しやすくなります(笑)
●胞子
毛を処理して観察すると、真菌の胞子が毛に沿って並んで見えれば、まず、間違いありません。診断がつきにくい場合には「真菌培養」も一緒に行うことがあります。
●ラブ プードル8歳 ♀
穏やか性格の優しい子です。ある日突然、自分で自分の血液を壊す「自己免疫疾患」になり治療が始まりました。一時は、血液の破壊が著しく、何度も輸血を繰り返しました。その血液を壊すことを阻止するために免疫抑制剤を使用するのですが、その影響で、免疫力が下がり、皮膚に真菌症が発生してしまいました。現在、免疫抑制剤を切り離しつつある段階で、貧血も改善、元気、食欲も戻り、この真菌もじきになおることが予想されます。もう少し頑張ろう!
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尿検査について [News]
●尿検査の意義
この尿に血液が混ざっているのがわかりますか?しかし、黄色く見える尿でも、見た目では血尿が分からない事がしばしばあります。また、尿検査は、血液の混入だけではなく、泌尿器系(腎臓や膀胱など)の異常や代謝異常(例えば糖尿病)を発見する手掛かりとして大いに役立つ有益な検査です。
●ストラバイト結晶
尿中のpHが高くなると認められます。少量であれば正常ですが、これが大量に認められると尿道閉塞を起こす原因になったり、大きな石が存在することがあります。また、血尿、膀胱炎を併発することもあります。
●蓚酸カルシュウム結晶
尿中のPHが低くなると認められる結晶です。最近は、上記のストルバイト結晶を防ぐ食事が多くの会社から販売されています。その食事をいただくことにより、PHが低くなりすぎて、蓚酸カルシュウム結晶が頻発するようになってきました。正常でも少数は観察されますが、多量であれば治療が必要です。
●ビリルビン結晶
犬では、濃い尿で観察されることがあるのですが、猫では濃い尿でも異常で、黄疸が出現している可能性があります。
●顆粒円柱
細長いものが顆粒円柱です。腎臓の尿細管に炎症があると、その管に詰まった細胞の塊が尿中に出現します。腎臓障害を早期に発見したり、その出現する量により障害程度を把握することに役立ちます。尿比重を同時に測定することにより、腎臓の機能状態を知ることができます。
●細菌と好中球
尿を3mlほど集めて遠心分離し、そこに集まった沈殿物を観察します。ツブツブと一面に散らばっているのは、細菌の塊です。また、右側に大ききく丸く見えるものは好中球です。細菌性膀胱炎では、この様な所見を認めることが多く、尿培養はかかせません。
●まとめ
この様に僅かな「尿」で多くの情報を入手することができます。また、普段から定期検査として手軽に行うことができ、体調管理、病気の早期発見にとっても有意義な検査です。
血液検査を大切に思われている飼主さんは多いのですが、尿検査の情報量の素晴らしさをもっと意識して定期的に行うことが大切です。
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腹腔鏡下 睾丸摘出手術 [News]
●陰睾(いんこう)とは?
睾丸は成長過程で陰嚢におさまるのが正常位です。陰睾とは、睾丸が本来の場所ではなく、お腹の中、あるいは、股の部分にとどまってしまうことを言います。本来、睾丸はいつも風通しの良い場所に置かれていなければならず、暖かい場所におかれると、腫瘍化してしまうことがあります。 今回のケースでは、痛みを最小限に抑えるために、飼い主さんの希望により、腹腔鏡を用いて腹腔内の両睾丸を摘出しました。
●術後
腹腔鏡が終了した画像です。睾丸の幅ギリギリの最小切開と5mm穴1つで手術終了です。通常の手術であれば切開する範囲が左右それぞれになり、大きな切開創になります。
●摘出睾丸
画像は腹腔鏡で取りだした睾丸です。お腹の中で、超音波メスを使用し、切断と止血を行います。その際、縫合糸は使用しません。
切れば同じと言う意見もありますが、私は、私自身が同じ手術をしてもらうのであれば、できるだけ痛みが少ないことを望みます。また、腹腔鏡を用いることでお腹の中全体を観察(肝臓、胆嚢、脾臓、腸、膵臓)出来る利点があります。この内容を、通常切開で行うと物凄く大きな創になります。
私の過去の経験では、腫瘍化した睾丸を放置したことにより血小板減少症が発生し、手がつけれなくなったポメラニアンを思いだします。早速、左右の睾丸を確認して見てください!