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歯石除去の手順 [News]
●歯科ユニット
最近、歯科ユニットを新しくしました。右がユニットで、低速ドリル1本、高速ドリル2本、吸引機1本、洗浄機1本、超音波スケーラー1本を備えています。左の大きな装置がコンプレッサーです。
●観察
まず、全体を観察し、次に一本一本の歯の状態を検査していきます。歯肉の状態、歯肉ポケットの深さ、エナメルの状態、歯の本数、歯のぐらつきなどを詳細に記録します。
●検査
歯肉のポケットの深さを計っているところですが、このケースでは歯肉部分に出来物を発見しました。検査終了後、切除しました。
●歯石除去
詳細な検査後に、超音波スケーラーを用いて歯石の除去をおこないます。次に、歯肉ポケットに残る歯石を別のスケーラーを用いて歯石を取り除きます。
●レントゲン撮影
異常を感じた歯は、レントゲン撮影を行います。根が残り継続した炎症がある場合、乳歯が埋まりこんで炎症を内部で生じている場合、根の先端が化膿している場合、腫瘍の周囲組織浸潤を見る場合などに使用します。ここで、必要であれば抜歯、そして必要であればフラップを形成して処置します。
●染色
皆さんも歯医者さんで行うように、歯垢の取り残しが無いかを検査します。残っている部分があれば、再度超音波スケーらを使ってクリーニングを行います。
●研磨
みがき粉を付けて歯の表と裏をまんべんなく磨き上げます。
●洗浄
最後に蒸留水で洗浄して、ポケットの深い部分に薬剤を注入して終わりです。全ての歯を一本一本検査、処置しますので、問題が多い場合には3時間ほど必要になります。
お疲れさまでした!
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猫の肥満細胞腫 [News]
●小さな[出来物]?
1cm未満の小さな「いぼ」の様なものができたそうです。
●肥満細胞腫とは?
「出来物」から採取した細胞の観察を行いました。
青い丸い核を持った細胞と好酸球(ピンクの顆粒)が見えます。青い細胞が肥満細胞です。肥満細胞は正常組織に存在しますが、その細胞が特定箇所に増殖することは異常です。
●核分裂像
中央に見えるのが、肥満細胞の核分裂像です。顆粒が少ない肥満細胞と核分裂が見えます。顆粒の少ないことは悪性所見(その他:核小体が大きい、核が大きい、核の大小不同がある)につながりますが、核分裂所見は悪性度が低い場合にも認められます。猫の場合は犬と異なりグレード分類が確率していませんので、可能であれば大がかりな完全切除を行います。
●完全切除
完全切除をするため腫瘍から2cm以上の切開、そして、深さは筋膜までの切除を行います。この組織を丸ごと病理検査に提出して切除確認を行います。不十分であれば、再手術が必要になります。また、転移観察の為に、一緒に腹部の超音波検査を行いました。もし、脾臓が大きかったり、膨らみが見えたりしたときには、その部分をさらに観察する必要があります。また、嘔吐と脾臓が大きくなっている同時所見があれば、正常に見られる画像でも、積極的に検査を行う必要があります。
●術後
僅か8mm程度の腫瘍でしたが、上記の通り大がかりな切除を行いました。したがって痛みの管理は、徹底しておこないます。術後の病理検査は、低悪性度の肥満細胞腫との報告でした。切除範囲は完全で安心しました。飼主さんは、数日前に他の猫ちゃんを亡くされて深い悲しみをお持ちでしたので「ホット」しました。
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アカラス症について [News]
●アカラス
アカラスとは、、毛嚢に寄生する寄生虫の一つです。昔は、不治の病と言われ、安楽死に至ることもありました。若齢における発症では、成長と共に完治し、成犬では、なかなか完治が難しいケースがあります。当院の経験では、長期治療とモニターリングが必要で、飼い主さんとの粘り強い治療が完治に導きます。原因は免疫不全が関与すると言われています。

●検査
アカラスの検査は、病変部の皮膚の掻き取り作業を行います。1回の検査で見つかることもあれば、何度も検査を繰り返さなければならないケースもあります。このダニを駆虫することが一番ですが、免疫低下により発症するため、免疫増強を合わせて行っています。詳しくは当院まで。