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揃って脾臓摘出になりました。 [News]
●ビリー ダックス
以前から痩せてきたのが気になっていたそうです・・・・ここ数日急に元気が無くなり来院されました。
虚脱状態で体温低下。血液検査で明らかな貧血があります。腹部を触ると塊様の物がわかります。超音波検査をするとお腹の中で出血している様子。急ぎ手術をお薦めましましたが、飼い主さんの心が決まらず、1日待つことになりました。
●緊急手術
翌日、飼い主さんの思いが決まり、手術をすることになりました。本来ならば前日に直ぐに手術すべきでしたが、そんなことは言っておられません。急ぎ、術前準備を施し輸血の準備を整えて麻酔に入りました。
●脾臓の腫瘍
すでに破裂していましたので、お腹の中に出血があります。お腹の中の脂肪の網が破裂部位にくっつき懸命に出血を止めようとした跡を認めます。その影響で癒着をはがすのに時間を要します。おおきな脾臓をお腹から出すときには、血圧の変化、また不整脈が出現することがあるので、慎重に行います。
●精査
手術中に一時血圧が低下し急ぎ対応。摘出後、お腹の中に転移がないかそれぞれの臓器を検査します。腎臓、膵臓、胃、腸、肝臓に肉眼的転移所見は無く一安心。
●りりー ダックス
突然、痙攣様の症状があり一時預かりしました。色々と病気を探る検査をしている時に、超音波検査で脾臓の異常所見が目にとまりました。かなり大きな塊が見つかり、今にも破裂しそうなので緊急手術を決めました。
●手術
まだ、脾臓が破裂していないので、癒着はありません。ビビと比較して、手術はスムースに進みます。小さな血管は、超音波メスで閉鎖そして切断しながら進みます。この機材を使用すると手術時間が短縮されます。
●精査
ビビと同じく転移が無いか各種臓器を精査します。
リリーは、超音波検査と血液検査で肝臓の異常所見があったので、この際一緒に肝臓の検査(組織検査、胆汁検査)を行いました。
●教訓
今回ともに脾臓に問題のあった二人は、偶然同じ日に手術することになりました。あまり病院と縁がなかったビビの脾臓は破裂。一方、普段から我々と接する機会が多いリリーは、破裂の手前で発見されました。
「検査をすると悪いところが見つかるから嫌!」と言われる飼い主さんもいらっしゃいますが、常日頃から検査をこころがけると今回のリリーの様に大事に至らないで済むことがあります。 腹腔内腫瘍は、大きくなって他の組織を圧迫するようにならないとなかなか発見ができません。定期的な超音波検査を行うことが大切です。
くれぐれも定期的な検査をお忘れなく!
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外科:草刈の時には、留守番させましょう! [News]
●ヒューガ 11歳 雄
飼い主さんは、ヒューガちゃんといつも一緒に仕事に出かけているそうです。この度、草刈りをしている際、草にまぎれていたヒューガちゃんのお尻を刈ってしまったのでした。
傷は、ずいぶんと深いようです。まずは、血液検査と身体検査で全身状態を把握して麻酔をかけました。
●砂と草
太っているのが幸いして、深い傷でしたが、お腹まで達していませんでした。(ここでは、その写真は載せるのをやめました)しかし、たくさんの草と砂を取り除くのが大変です。外傷の原則は、6〜8時間以内に傷を処置すれば感染を防げます。ヒューガちゃんは受傷後3時間ぐらいでしたので、正しく処置すれば化膿を防げると思います。
●術後
砂と草を取り、その後大量の液体で傷を洗浄しました。そして、排液用のチューブを5本装着して終了しました。
お腹の半分を占める傷でしたので、術前、術中、術後の疼痛管理が傷の治りを左右します。
●その後
その後、数回の包帯交換を終え、傷は化膿することなく、抜糸も無事に終わり、心配した機能障害も無く完治しました。
歯もかなり凄かったのですが、この度は緊急事態の傷を最優先して次回にまわすことにしました。この歯も常に感染巣となるため、特に年寄りにとって、放置しておくことは恐ろしいことです。
●教訓
とにもかくにも、草刈時には、犬を連れていかないように注意しましょう!
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猫の腸管腫瘍 [News]
●春 三毛猫 ♀11歳
昨年3月から食欲が落ち、徐々にやせてきたそうです。他院にて色々と検査をされた様ですが、原因追求まで至らず遠方よりお越しいただきました。定期的な嘔吐を繰り返し、食べる気はあるが、食べた後に必ず吐いてしまうとのことでした。白血球の軽度の上昇と中毒性変化がみられることから、体のどこかに炎症があることが疑われました。既に検査をたくさんされていましたので、まずは、腹部の異常にしぼって、超音波検査をさせていただくことにしました。
●超音波所見
胃の運動低下。小腸の形が異常にみられる部位の存在。膵臓周辺の異常像。リンパ節と思われる腫れの存在。他にには、胆泥貯留などが気になりました。
ここ数日食事を食べていないこと、明らかに腹部に異常がみつかったことから、腹腔鏡を用いた検査をさせていただくことにしました。
●開腹へ
腹腔鏡で明らかに腸の閉塞様所見がみつかりましたので、急ぎ飼主さんにご相談の上、開腹手術に切り替えました。
●腸閉塞
お腹全体に炎症所見があり、小腸の一部が腫瘍化し閉塞している部分が直ぐに見つかりました。術後にその部位を切開すると腸の管の部分は、ほとんど閉鎖され液体も通らない状態になっていました。全体像からするとリンパ腫が疑われます。
●腸吻合
腫瘍と思われる部分を広めに切除し、腸の上下で大きさを調整して、結合させました。
全周を縫合し、漏れがないことを確認します。その縫合部に予防的に大網をかぶせて固定します。
●術後
11歳と言う高齢、また食事もしばらく食べれない状況下で長時間の麻酔でしたので、特に麻酔管理に気を使い大変でしたが、無事覚醒し、その日の夜にはお帰りいただきました。
翌日からは、嘔吐が「ピタッ」と止まり、顔つきもよくなり不快感が無くなったと聞きました。また、食事も少量ですが、生きよい良く食べ、その後も吐いていないという嬉しい報告を受けました。これから検査結果の報告がまっていますが、とにもかくにも前向きに物事を考えていただくようにご指導させていただきました。「春ちゃん、一緒にがんばろう!」