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腹側の大きな腫瘍 [News]
●ゆめゴールデン 15歳
3年前から脇腹に何かできていたそうです。様子を見ていたらあまにに大きくなったので、他で診察を受けたら、大きすぎるので全部取りきれるかどうか分からないと言われ、不安になり来院されました。
●確かに
確かに大きな腫瘤です。そして、最近急に大きくなってきたと言われます。15歳という年齢故に飼い主さんと、何度か話し合いました。そして、リスクにご理解いただき、手術に向けての準備が始まりました。
●レントゲン写真
手術前の検査として胸部のレントゲンを撮影します。レントゲン写真を見ると2か所で骨折像がありました。「ひょっとして?」この肋骨から発生する骨肉腫、軟骨肉腫に由来しているのではないかという心配がよぎりました。飼い主さんは、一刻も早い手術を希望されていましたので、肋骨切除も考慮して、急ぎ関係機材を揃えました。
●手術
術前検査の結果、この大きな腫瘍と肋骨の場所が多少ずれていることが分かりました。しかし、念のために肋骨部分も検査を行うことにしました。
●摘出腫瘍
腫瘍は、筋肉の下に大きな塊で位置していました。幸い、周辺組織との接着はなく、割とスムーズに切除できました。
●肋骨採取
気になっていた、2か所の肋骨の骨折部分から採取したものです。大きな腫瘤と関係なくとも、骨は骨で検査する必要があります。
●病理結果
7日後の病理結果は、血管周皮腫でした。この腫瘍は皮下組織に発生する悪性腫瘍で、発生部位は足に70%出現するといわています。幸い切除部位は完全に確保されていました。しかし、切除が完全でもこの腫瘍は、再発が1/3に認められると言います。よって、今後の充分な観察が必要とされます。
一方、肋骨の組織検査結果は、心配していた悪性所見は無く数か月前に骨折をした可能性が考えられました。大きな腫瘍の圧迫かもしれません?しかし、腫瘍でなく安心です。術後、何度か液体が患部に溜まりましたが、本日、14日目に無事に治療が終了しました。今後は、再発に注意し、定期的な検査に来ていただくことと、生き方を変えることをご指導したいと思います。
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根尖部膿瘍とエナメル修復 [News]
●1ヶ月月前に他にて歯石を除去されたそうです。最近「顔が腫れてきた・・・・。」と来院されました。上の第4前臼歯の歯石を除去すると、歯髄(歯の根)が変色して露出しているのを発見しました。
●レントゲン撮影
念のために、レントゲン写真を撮影しました。第4前臼歯の近心側の根元に黒く見えるのが膿瘍です。
●抜歯
飼い主さんと相談して原因の歯を抜歯することにしました。第4前臼歯は、根が3本あるので抜歯が難しいのですが、まず、メスで靱帯を切断し、歯肉を綺麗に剥がして、ドリルで歯の周囲を削って、真ん中で切断してから除去します。
●抜歯後
目の上の腫れていた部分から確認の為にステンレスバーを挿入しました。レントゲン写真と合わせて膿瘍の発生していた部分が一致していることが確認できます。
●エナメル修復
反対側の同じ第4前臼歯も露髄はありませんでしたが、エナメルの欠損が生じていました。洗浄、消毒後、修復を行いました。人間の歯科でもおなじみの光で硬化する樹脂を装着します。
●修復後
エナメルとは、歯の外側を覆う固い組織です。
その剥がれ落ちていたエナメルの修復が完了したところです。周辺のエナメルとそれほど色の違いがないと思いますが、どうですか?
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猫の拡張型心筋症と口内炎 [News]
●主訴
他にて口内炎で定期的に注射をうってもらっていたそうです。しかし、最近、注射の効果が薄れ、ご飯をほとんど食べなくなったという主訴で来られました。
●レントゲン撮影と超音波検査
確かに下顎の左右に大きな潰瘍と歯石が見られました。全抜歯をお勧めする状況ではなく、潰瘍の治療を行えば良いと判断しました。しかし、口内炎の処置とはいえ、15歳での麻酔ですので、この年齢であれば強制的に胸部のレントゲン撮影をさせていただきます。あれれ、レントゲンをみると肥大型心筋症思わせる特徴的なバレンタインハート型をしています。レントゲンでの異常が見つかったので、引き続き超音波検査をさせていただきました。
大きく左右に広がった心臓。また、胸水も認められました。
●超音波検査
レントゲン検査で想像していた肥大型心筋症ではなく、著しく左右の心臓が拡張した拡張型心筋症と思われました。さらに、左右の弁では著しい逆流見られました。
心筋症とは、大きく分類して、心臓の壁が厚くなる肥大型心筋症と逆に薄くなる拡張型心筋症があります。猫ちゃんでは、肥大型心筋症が多く発生します。
●口内炎治療と食道カテーテル装着
強心剤を点滴し、軽い麻酔を施しました。大急ぎで口腔内の潰瘍を炭酸ガスレーザーで除去しました。次に食欲が無いことと、急ぎ心臓薬を開始する必要があるので、食道にカテーテルを装着しました。この間、約10分間。心臓が余りに悪いので、スタッフ一同気が抜けない緊張の一瞬でした。
●今後と注意事項
明日より食道カテーテルから心臓薬を開始し、落ち着いたところで、再び口腔内クリーニングができれば理想ですが・・・・際どい心臓ですから、どこまで頑張れるか心配です。再び飼い主さんと楽しい日々が少しでも取り戻せるようにスタッフ一同頑張ります!
高齢とは言え、徐々に体重が減少してくるのは異常です。高齢であればあるほど、どこかに異常が隠されています。初めは見つけられないかもしれませんが、定期的に観察、検査させていただくことで、発見できる機会が増します。どうぞ、めんどくさがらず、食欲があっても痩せてきたら病院へ足を運んでください。