院長ブログ
いつもの緊急手術/もっと早ければ・・・・。 [院長ブログ]
●突然の虚脱
腹部を超音波検査したら出血と腫瘍らしきものが見えるということで、他院よりご紹介戴きました。確かに、お腹には巨大な塊らしきものと、腹水があると思いました。血液検査では、重度の貧血があり他の検査から考察して、突発の臓器破裂が疑われ、緊急で腹部切開手術を決断しました。
●案の定
開けてみると腹部一面は血液で覆われ、その中心に大きな人頭大の腫瘍が居座っています。そこらじゅうに癒着しているので、まずは癒着を剥がすことから始めました。
十二指腸と膵臓にも癒着していました。膵臓は慎重に剥がし、腸の一部は腫瘍と一緒に切除して腸をつなぐことにしました。幸い切除後の血液供給は良く、腸の色は正常で血圧もしっかりしてます。
●人頭大腫瘍
腫瘍は凄く大きく、こんなになる前に何故もっと早く見つけれなかったのかと悔やまれます。
●肝臓
この出血の大元は、この肝臓から発生した腫瘍からでした。上記の腫瘍と同時に肝臓を部分切除しました。
●覚醒
麻酔の覚めも意外に早く、手術中に血圧が下がることはありませんでした。心配なのは、術後の膵炎と重度の貧血と慢性肝炎と思われる肝臓です。ここまで重度なケースでは、手術をするかどうか、ためらわれますが、術後数年を楽しく生きるケースもあります。今回は、止血を行わなければ死亡してしまう状態でしたので手術を選択しました。
元気を取り戻し、美味しく食事を戴き、飼い主さんとの楽しい一時が過ごせれば幸いに思います。
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猫の膿胸 [院長ブログ]
●ボブ11歳ヒマラヤン♀
2日前から食事を食べないとの主訴でした。そして、10日前にビニール袋を食べた形跡があったとのことです。飼い主さんのお話と状況が食い違うところがありましたので、翌日に検査をさせていただきました。
●膿胸とは、胸に膿が溜まってしまう病気です。原因は喧嘩による深い咬み傷によるものが最も多いと言われます。このレントゲン写真は、胸腔に膿がいっぱい溜まった状況が見られます。空気の入った肺は、右側に僅かに見られるのみです。
●胸腔貯留液の検査
ボブちゃんは外に出ませんので喧嘩が原因とは思えません。膿胸は潜在性で末期になるまで症状が分らないので重篤になって見つかることがほとんどです。まずは、膿胸か胸水かを鑑別するために試験的穿刺を行いました。
●処置
処置は、胸に廃液用のチューブを設置し、そこから膿を抜くことを一日数回繰り返します。そして、膿が抜けなくなった時点でチューブを抜き去ります。今回のケースは、かなり体重が落ち痩せていましたので、直ぐに栄養を補う為に食道カテーテルを首に装着しました。
●膿の培養、同定
左右の胸から抜けた膿です。採取した膿は、遠心分離をかけその沈査をグラム染色とライトギムザ染色を行い細菌を大まかに絞り、抗生剤を選択し投与を開始します。同時に検査機関へ培養を依頼し、菌の正式な同定を待ちます。猫で分離される細菌は、Pasturella multocidaやBacteroides sppなどの口腔内常在菌が最も多いと言われます。この間約7日間の待ちですが、もう少し短くならないかとイライラする時間帯です。
●考察
今回のケースは、5日間でチューブが抜けました。
食欲も旺盛になり、見違えるようになりました。麻酔時に心臓を検査した時に逆流症も見つかり、前向きに考えれば新たな発見があり良かったのかも知れません。
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炎症性ポリープ ”血便、侮るなかれ” [院長ブログ]
●ダックスフンド ♀ ぺぺ 10歳
1年半前に便に血が混ざると来院されました。それから1年後、良便の後に必ず血が混ざると再度来院されました。頻度が高いので、この度は、詳細を調べる内視鏡検査を決心されました。
●内視鏡所見
肛門から直ぐにポリープ病変が観察されました。さらに肛門から10cmの部位では、点状出血が見られ。盲腸の手前から肛門の間の計4か所で組織を採取し病理検査へ提出することにしました。
●歯石除去
以前から希望されていた歯石除去をようやく実現することができました。
しかし、残念ながら既に歯肉は後退し、歯の根が露わに出現してしまう状態になっていました。もう数年早く処置をされていれば・・・・残念です。
●病理検査
粘液分泌亢進を伴う、直腸と結腸の炎症性ポリープと慢性リンパ球、形質細胞、カタール性結腸炎でした。ダックスフンドは、直腸と結腸に炎症性ポリープを発生しやすい犬種と言われています。この病気はアメリカでの発生は少なく、これから研究、解明されるものです。
●治療と教訓
今後の治療は、外科手術もありますが、まずは食事療法をしっかりとするか、免疫抑制剤を使用するかは、飼い主さんと話し合いをして決めたいとおもいます。
血便が出る場合には、腫瘍、炎症性腸炎などの可能性があります。できるだけ早めに検査を受けることをお推すめします。”血便、侮るなかれ”












