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犬の甲状腺機能減退症 [News]
●甲状腺機能減退症
甲状腺機能減退症とは、甲状腺の機能が低下(ホルモン分泌の低下)によって、症状が現れる病気です。
●症状
スズ、プードル、♂、12歳。最初は、角膜潰瘍と糖尿病で来院されました。お話を伺いながら、代謝機能が低下するための四肢の体温低下、運動したがらない、良く寝る、脱毛(特に尻尾)、色素沈着除脈などの情報を得ました。
●診断・治療
上記の症状、血液検査、甲状腺ホルモン濃度の測定を行い、低いホルモンレベルを認めました。治療は、不足しているホルモン投与を継続的に行います。その後は適正投与量かどうかを定期的に検査します。
●スズのその後
ホルモンを投与開始3日後、別人の様に元気よく走り回り生き生きとしてきました。80歳の生活が一気に20歳に舞い戻り、青春を取り戻したかの様です。
犬の大静脈症候群 [News]
●ラブラドル、小麦、6歳
主訴は前日からの咳、そして突然の元気、食欲の消失でした。身体検査では、呼吸速迫、粘膜蒼白が明らかでした。
●超音波像
血液検査(溶血)、心雑音、超音波による右心房、右心室間における虫体の確認により大静脈症候群(Venae cavae syndrome)と診断しました。大静脈症候群は、フィラリア虫体が本来寄生する肺動脈から右心室へ移動することで、急性の循環不全と溶血が生じる病気です。この場合、できるだけ速やかに手術を行い、閉塞しているフィラリア虫体を摘出しなければなりません。
●緊急手術
心臓に負担のかからない鎮静、麻酔薬を選択し、強心薬を点滴しながら手術の準備を進めました。
●フィラリア(犬糸状虫)の摘出
頚の静脈を切開して、頚静脈経由で右心房まで鉗子を挿入し、虫をつかんで引っ張り出す作業を繰り返します。できるだけこの手技の回数が少ないほど血管、心臓へのダメージが少なくなるので、一度に沢山の虫を把持することが肝要です。しかし、虫同士が絡んでいると出にくいこともしばしばあります。
●犬糸状虫
最後に超音波検査と心音の変化を聞き取り虫体の有無を確認して手術を終わりました。総数31、♂8、♀23隻でした。
ちなみに、オスは小さくて細く15p程でメスの半分ほどの体長しかありません。
●予防が何より!
ご存じの通り、フィラリア症は予防薬を正しく確実に投与すことで100%管理できます。小麦ちゃんの場合は、愛護センターから譲り受けた経緯があり、飼い主が居ない空白の期間に濃厚に感染した可能性がありました。
完全に予防できる病気を管理するのは飼い主の務めです。毎年の薬を忘れることなく正しい期間投与することが何より大切です。手術、あるいは慢性心肺疾患、肝不全に陥ることを事前に防ぎましょう!