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猫の動脈血栓塞栓症 [News]
●小鉄 ♂ 17歳
「突然、腰がふらつきだした!」の主訴で来院されました。
早速、身体検査を行うと「後ろ足が冷たい、脈を触知しにくい、爪を切断しても血が出ない」などの症状から、大動脈が分かれる部位での血栓症(いつも腹大動脈に詰まる)を疑いました。今回は、費用の関係から心筋症による「動脈血栓塞栓症」と仮診断し、治療を開始しました。
●超音波所見
著しく拡大した左心房と分厚い心室と僧房弁逆流(左の心臓の弁がしっかり閉じないために逆流を起こす状態)を伴っていました。血栓を生じるといわれるスモーク所見も見られました。
●緊急処置とその後
ご存じの通り血栓症は、閉塞した部位の血液供給が止まるので、一刻も早く血栓を溶解し組織への環流をもどさなければなりません。早速@血栓溶解A抗血栓B血栓予防療法を行い回復を祈りました。
致死率の高い病気ですが、3日間の集中治療により、起立できるようになり、やや食欲が出てきました。
10日後には、引きずっていた後肢も完全に復活し、食欲も正常に復しました。今後は心臓の管理と血栓予防を行い、再度塞栓しないよう継続治療が必要です。
恍惚の一時(猫の鍼治療) [News]
●エル 17歳 Mix ♂
「10回ぐらい吐いた」との主訴で来院されました。
吐いた影響で軽度の脱水がみられました。年齢を考慮して超音波検査を行いました。結果は両腎の軽度の萎縮、左腎の嚢胞、胃内の液体貯留でした。脱水に対する補液を行うと、翌日には貧血があらわになり、血液塗抹★を見ると赤血球の寄生虫が見つかりました。西洋医学の治療と共にエネルギーの源を刺激する鍼治療を併用しました。
★血液塗抹とは?
採血した血液を薄く引き伸ばし、血液細胞(赤血球、白血球、血小板)を観察する検査のこと
●恍惚の表情
最初の鍼治療以降、エルちゃんは自ら鍼を求めるようになりました。籠から進ん出て、診察台の上でゆったりとうつ伏せになり準備を始めます。そして、「鍼打ってもいいよ〜」と言わんばかりに背中を解放して待機します。その後は、この何とも気持ちよさそうな顔をして恍惚の時を過ごすのです。放っておくといつまでも気持ちよさそうに寝たままになるので、起こすのが気の毒なほどです。
●「気持ち良ええわ〜」は病気を治す、あるいは、病気にならないための大切な状態です。気持ち良くなると体温が上昇して、血の巡りが良くなり、免疫力が高まります。(リンパ球増加)。老年の域に入ったならば、温めること。気、血、水を巡らすことが何より大切になるのです。
●その後、嘔吐も止まり、貧血も改善され、2週間に一度の鍼治療に通っています。
アレルギー性皮膚炎 [News]
●シーズー ♀ 10歳 めい
痒みを示す病気は、主に疥癬、蚤アレルギー、食事アレルギー、アトピーとあります。中でも多いのがアレルギーです。疥癬、蚤を除外して、それらを食事とアトピーを除外し、治療成功に結び付けなくてはなりませんが、時間と労力が必要となります。
●治療前 背部
脱毛、赤み、フケが著しく、後ろ足で掻きつづけている毎日が続いていました。
●治療後 背部
痒みを抑えることで、毛がだんだん生え、赤みが減り、フケがなくなってきました。
●治療後 背部さらに1ヶ月
●治療後背中 さらに2か月
●治療前 前肢
●治療後 前肢
●治療後 前肢さらに1か月
●治療後 前肢さらに2カ月
●治療前 後肢
●治療後 後肢
●治療後 後肢さらに1カ月
●治療後 後肢さらに2か月
●アレルギ‐疾患は単純ではなく、アトピーと食物アレルギー、アトピーとノミアレルギーなどが合併していることもあり、2次病変として膿皮症、マラセジア感染症が加わり複雑となります。食物アレルギーの除去食試験は家族皆の協力が必要で、飼い主さんにしっかり病気を理解していただき、根気よく我々と力を合わせて治療していくことが肝要となります。