院長ブログ
犬の慢性血尿 [院長ブログ]
●マロン ♂ ゴールデン 11歳
「明らかに分かる血尿がいつまでも続く。」主訴でセカンドオピニオンを求めて来院されました。精密検査に乗り気でなかったのですが、著しい血尿により急速に貧血が進み蛋白質が低下したため、飼い主さんの重い腰が上がりました。そして、本格的に検査を行うことになりました。
●超音波所見
拡張した腎盂とその中に血餅様所見が見られました。
●レントゲン造影検査
腎臓摘出を目的に片側の腎臓が機能しているかどうかを造影により確認しました。
●摘出腎臓
腎臓を割ってみると、大きな血液の塊(血餅)と血栓がみられました、肉眼的には明らかな腫瘍は発見できませんでした。
●病理検査とまとめ
結果は、悪性腫瘍である腎臓の血管肉腫でした。腎臓に小さな腫瘤病変が点在していたことから、肝臓(手術中に肝臓の腫瘤病変がきになった)、腎臓、右心耳などに好発する血管肉腫の転移が考えられと思われます。これより、免疫を上げ心地よい余生を過ごしてもらいたいと思います。術後20日した現在、血尿が止まり、貧血は改善、蛋白も上昇していました。
飼い主さんに、気をつけてもらいたいことは、「見た目は黄色でも血尿がある!」「血尿と侮るべからず、明らかに異常である!」「継続する血尿は検査で追究すべし!」です。
猫の急性腎不全 [院長ブログ]
●ピー 日本猫 ♀ 10歳
慢性腎不全と診断され、セカンドオピニオンを求めて来院されました。見るからに状況は深刻でした。嘔吐を繰り返し、虚脱した状態でしたので、尿毒症も疑い血液検査を行いました。
結果は尿毒症、原因を探るべく超音波検査へ進みました。
●超音波検査
左右の腎盂(尿が集まる受け皿)の著しい拡張と結石が見つかりました。尿管の拡張は見られなかったため、腎盂結石による閉塞、そして尿毒症に進展したことが考えられました。
●3日後
腎臓にカテーテルを固定して急性尿毒症を回避しました。初日の表情とは見違えて機嫌が良く、食事も取れるようになりました。
●レントゲン所見
造影検査を行うと右の腎臓が機能していないことが分かりました。腎臓切開手術を行うと少なからず腎臓の組織がダメージを受けます。最大で見積もっても全体の50%しか機能してない残された腎臓にメスを入れる訳ですから、できるだけダメージの少ない手術を行う必要があります。理想は腎盂切開による摘出です。
●手術
7日後に手術を行いました。
腎臓皮質の切開を考えていましたが、片方の腎臓しか機能していないので、避けたいアプローチでした。幸いにも腎盂切開を行い、カテーテル部分から洗浄を繰り返し結石を取り出すことに成功しました。
残念ながら尿管部分に結石の破片が詰まり、急遽尿管を一部切断して、新たに膀胱に移設することになりました。
術後は急性腎不全となりましたが、5日後の現在はほぼ正常に復しつつあります。
ピーちゃん本当にお疲れ様でした。心配しているお母さんのもとに一刻も早く帰宅できるように頑張りましょう!
猫の動脈血栓塞栓症 [院長ブログ]
●小鉄 ♂ 17歳
「突然、腰がふらつきだした!」の主訴で来院されました。
早速、身体検査を行うと「後ろ足が冷たい、脈を触知しにくい、爪を切断しても血が出ない」などの症状から、大動脈が分かれる部位での血栓症(いつも腹大動脈に詰まる)を疑いました。今回は、費用の関係から心筋症による「動脈血栓塞栓症」と仮診断し、治療を開始しました。
●超音波所見
著しく拡大した左心房と分厚い心室と僧房弁逆流(左の心臓の弁がしっかり閉じないために逆流を起こす状態)を伴っていました。血栓を生じるといわれるスモーク所見も見られました。
●緊急処置とその後
ご存じの通り血栓症は、閉塞した部位の血液供給が止まるので、一刻も早く血栓を溶解し組織への環流をもどさなければなりません。早速@血栓溶解A抗血栓B血栓予防療法を行い回復を祈りました。
致死率の高い病気ですが、3日間の集中治療により、起立できるようになり、やや食欲が出てきました。
10日後には、引きずっていた後肢も完全に復活し、食欲も正常に復しました。今後は心臓の管理と血栓予防を行い、再度塞栓しないよう継続治療が必要です。


















