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猫の伝染性腹膜炎(FIP)「完治を目指して!」 [News]
●メイ 8ヶ月 雑種
「時々吐いたり下痢をする主訴」で来院されました。
身体検査では、発熱(39.5度)、削痩、お腹の塊が見つかりました。
お腹の塊は超音波検査を行うと明らかに腫瘍らしき像を認めました。嘔吐の原因は、この腫瘤による閉塞と考え、早速に切除手術を行うことにしました。
●超音波所見
膀胱の前方に塊状病変が見つかりました。
●回盲腸部における腫瘤病変
拡張した回盲部に腫瘤病変と腫大したリンパ節です。
残念ながら大きく腫大した腸間膜リンパ節を除去することはできませんでした。
病理検査所見との免疫染色により猫伝染性腹膜炎による腫瘤と診断されました。
*猫伝染性腹膜炎(FIP)とは?
猫コロナウイルスに感染した一部の猫が発症する病気です。病気のタイプは2つあり、@ウエットタイプ:多発性漿膜炎、血管炎を起こす Aドライタイプ:各臓器における肉芽腫性病変を起こす。
臨床症状は、ウエットタイプでは、腹水によりお腹が膨らみ、胸水により呼吸困難が見られる。ドライタイプでは、脳・脊髄に炎症が起こり、神経症状(麻痺や痙攣、行動異常)が見られます。眼におけるぶどう膜炎や脈絡網膜炎などを起こすこともあります。致死的な病気で、有効な治療はないと言われ、我々の経験でも救命したことはありません。
●治療(朗報!)
術後、直ぐに嘔吐と下痢が止まり食欲も出てきました。飼い主さんの考えは、FIPは難治性の疾患故に切除手術だけで今後は治療を行わない方針を示されました。
しかし、術後3週間から腹水がみられ、再び食欲がなくなってしまい、話し合いの結果、方針を変更して治療を始めることにしました。
週一回のオゾン療法と免疫注射を行うこと1か月、術後に発生した腹水、再発が見られた腹腔内塊状病変と腫大したリンパ節が消失し、体重も増加してすっかり元気になりました。
飼い主さんはもちろんのこと、我々も凄く嬉しい朗報です、このまま維持、そして、完治することを願っています。
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犬の椎間板ヘルニア 「歩ける日を夢見て」 [News]
●エムちゃん 9歳 ♂
以前「飼い主さん感想文」でご紹介した(歩くのを夢見る夫婦)椎間板ヘルニア後に後足の完全麻痺を呈したエムちゃんのその後を報告します。

飼い主さんの愛に包まれて見事に歩けるように
その後も深部痛覚(脳への痛みの感覚なし)は回復しませんが、徐々に歩行に進化が見られ、今では健常犬と見違えるようになりました。(通常では、深部痛覚がなくなった例では後躯麻痺になり歩けなくなってしまいます)
2時間をかけてご夫婦で週一回の針治療に根気よく来院され、また自宅でのリハビリを我慢強く続けられてきました。なにより筋肉量を維持、増加できたことがこの素晴らしい結果に繋がりました。そして現在でも希望をもってさらなる進化(左足が弱い)に努力を続けられる姿には頭が下がります。
自宅では、車椅子を利用してのリハビリも行っています。
立ち上がるだけで喜んでいた昨年が嘘のようで、今ではご覧の通り(以下の動画ビデオ)素晴らしい回復がみられます。
注意;多くの方がエムちゃんのように回復する訳ではないことをご理解ください。
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22歳猫、慢性腎不全の維持療法 [News]
●みゃー ♂ 22歳
多くの猫は高齢になると慢性腎不全になります。22歳、みゃーも漏れなく慢性腎不全になりました。維持療法の中心は、腎臓の機能不全で水分保持ができないことを支えることです。脱水があれば定期的な補液が必要で、電解質異常(特にリン)を管理(食事療法、リン吸着剤)することが重要です。
●補助療法
エネルギーの経穴である「腎兪:じんゆ」を中心に鍼を刺し温めます。みゃーちゃんは余りに痩せているので、針が刺しにくく膀胱系の経絡に沿ってレーザを行いました。そらから、3日〜7日に一度のオゾン療法、そして、自宅で身体を温める(蒸しタオル療法、温灸療法)を行っています。
慢性的に進行した腎臓は元には戻りませんが、進行を少しでも遅くする維持療法は、定期的に継続することが肝要です。
”みゃーちゃん、目指せ25歳!”