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犬の扁桃腺切除 [News]
●キャバリア モカ ♂ 5歳
「2年前から症状があったが、特に最近いびきの音が酷い」との主訴で島根県から来院されました。身体検査では、主訴の通り呼吸音が気になりました。他には、指の間、耳が赤く、歯石が中程度付着していることが気になりました。
●喉の観察
いびき様の大きな音を発するとなると@軟口蓋過長A口腔内腫瘍B扁桃腺腫大C小嚢反転などが考えらえます。中でも@の軟口蓋過長症がほとんどを占めます。しかし、犬種がキャバリアとなると、心臓病は有名ですが、軟口蓋過長の経験は過去にありません。とにもかくにも口腔内を観察させていただくために麻酔許可を戴きました。
●左扁桃腺の切除
開口するとまず目に飛び込んできたのは、左扁桃腺の腫大でした。そして、他に異常がないかを詳しく観察した結果、この扁桃腺が原因であると仮定しました。
扁桃腺腫瘍も考慮して、切除の際には大目に組織を切除することを意識しました。
●術後
術後3日目までは、まったくイビキが収まらず、次には鼻の中に問題があるのか?と次なる検査を検討しましたが・・・4日目以降は、寝ていてもどこへいるのか分らないほど、静かになった報告を受け、安心しました。
●病理結果
結果には悪性所見はなく、症状は治まり病理結果も安心できるものでした。遠方から来ていただいた甲斐がありました。
犬の甲状腺癌 [News]
●メイ ビーグル ♀ 13歳
軽度のアレルギーと甲状腺機能亢進症で治療中でしたが、今回は、「喉の下が腫れてきた!」とご連絡いただきました。
●頚部腹側の腫大
超音波検査と同時に組織検査を行った際に、既に甲状腺癌と診断がついていました。甲状腺癌は、血管が豊富で、浸潤性が強いため切除がしばしば困難と言われます。周辺組織を巻き込んでないことを祈って手術をおこないました。
●甲状腺癌とリンパ節
左が付属リンパ節、右が大きく腫大化した右甲状腺癌です。
頸動脈からの分離に時間を要しましたが、周辺組織を巻き込むことが少なくカプセルごと切除できました。付属する頚部リンパ節の腫脹があったため同時に切除しました。
●術後
翌日から通常通り食欲があり安心しました。3日間は入院いただく予定です。そして、これから免疫を増強して転移を防ぐことが新たなチャレンジになります。
●朗報
病理検査の結果は、腫瘤は被覆化されており腫瘍細胞の脈管浸潤はなく摘出は完全でした。また、腫脹したリンパ節に腫瘍細胞の転移、浸潤はありませんでした。朗報ですが、甲状腺癌は一般に増殖が速く気管、食道、咽頭へ浸潤傾向があり、遠隔転移することが比較的多い腫瘍と言われます。
マムシに注意! [News]
●ダッコ コーギー ♂ 4ヶ月
散歩の際に草叢に頭を突っ込んだ際に「キャン!」と声を発し、見る見るうちに顔が腫れてしまいました。犬種もわからぬほど変化しモルモットと思える様に変貌してしまいました。
今期これで3件目でした。マムシに咬まれると著しく腫脹します。そして特徴は2本の歯による2か所の傷です。通常、顔を突っ込むので顔面を咬まれたり、足に咬まれたりします。ダッコも鼻先に2つの明らかに咬まれた傷が分かります。
●治療
抗炎症薬と西洋の漢方を処方しました。犬の場合は、人間と異なり、マムシに咬まれても大事にいたることはありませが、中には患部が壊死、また出血が止まらなくなるケースもあるようです。弱齢ですので心配ですが、出血も無く、患部の色の変化もありません。そして、病院では鳥のササミをバクバク食べました。念のため明日再度来院いただくことにしました。
●注意
マムシは枯葉の集まる涼しい場所でとぐろを巻いていることが多く、散歩の際には、この手の場所には顔をつっこませないように管理することが大切です。そして、早めに来院ください。
回復後の写真です。
すっきりした元の顔に戻り、ご機嫌でした。