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犬の全身マラセジア感染症 [News]
●ポメラニアン ♀ 13歳 バンビ
「全身を痒がる!」主訴で来院されました。
●初日
皮膚から材料を採取し、顕微鏡で観察すると沢山の酵母菌が発見されました。この酵母菌はマラセジアと呼ばれ、正常な皮膚にも存在しています。しかし、皮膚の状況の悪化(炎症)により過剰に増殖してしまうと、今回の様な症状を招きます。
●7日後
毛刈りを行い、シャンプー療法を行いました。
シャンプーのみでコントロールできなければ、投薬も行いますが、出来るだけ薬を使わない方針の私は、まずは優しい治療から行うことを心がけています。
●3週間後
このマラセジア性皮膚炎の下地には、アレルギーが関与していることがほとんどで、2次性マラセジア性皮膚炎とも呼ばれます。根本治療には、アレルギーの診断が不可欠で、アトピーと食物アレルギーの鑑別が必要になります。
痒みはほぼ治まり、毛も生えそろってきました。この様に一旦綺麗になってしまうと再発しない限り、原因追究を希望されないのが飼い主さんの一般的な心理のようです。よって、次回発生時には、検査をお勧めしたいと思います。
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猫の好酸球性肉芽腫 [News]
●るみ ♀ 8歳 日本猫
「足先に穴が開いて膿が出ている!」主訴で来院されました。「外出しない、他に5匹いるが喧嘩することもなく原因が分からない、どうしてか?」と質問されましたが....先ずは、麻酔下で処置をさせていただくことにしました。
●咬まれ傷?
第2指と第3指の間に1o程の穴があき、そこから膿が出ていました。膿を採取して検査すると、主たる細胞成分は好酸球がほとんどを占めていいること分かりました。また、通常の喧嘩による咬傷と比較して、周辺がぼこぼこと腫れ上がっている様相から、組織検査を同時に行いました。
●病理検査
コラーゲン線維の融解を伴う好酸球性炎症、つまり好酸球性肉芽腫でした。この病気はアレルギーが病因と言われますが、真の原因は不明とも言われます。好酸球肉芽腫は、口唇に認めることがときどきありますが、足先にできることもあるのです。今回は、最初から単なる咬まれ傷ではないと疑っていましたが、治りが悪い場合には、精密検査(病理検査)が役に立つことがあります。
●10日後
腫れと潰瘍がほぼ治まりました。
犬の重度アカラス症 [News]
●シーズー ♂ ハナ 8歳
「3年前から皮膚病が治らず徐々に悪化する。」主訴で来院。
飼い主さんもハナちゃんも相当疲れている様子です。気合を入れて治癒につなげたいと思います。
●著しい皮膚病変
長期経過した皮膚は著しく赤く肥厚し、腫れ上がっていました。僅かに駆血するだけで足先から血が噴き出す状況です。
足の裏は肥厚により個々の指が繋がったかのような状態に陥っていました。皮膚の掻把試験を繰り返し、皮膚の毛包に寄生する「アカラス」を発見しました!
●治療
@殺ダニ治療
A免疫増強療法
B抗生物質
Cシャンプー療法
特に@は、肝臓の状態を観察しながら治療を勧めなければなりません。長いお付き合いになると思いますが、完治を目標に全力で治療に臨みたいと思います!
●経過(3週間後)
痛みと痒みがとれ、歩けなかった状態が走れるまでになりました。
足裏は、まだまだ腫れていますが、赤みが随分軽減しています。