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猫の下眼瞼の扁平上皮癌 [News]
●日本猫 19歳 ♀ シャチ
瞼の下に発生した皮膚病が始まりでした。細胞診で悪性所見を認め、瞼の切除をお勧めしましたが、年齢が年齢だけになかなか手術の許可をいただくことができませんでした。やっと了解戴いた時には、既に病変が大きく広がりをみせ、眼球を含めて広範囲に切除することを余儀なくされました。
●手術
広範囲の眼瞼切除と眼球摘出を行い、首の後方から皮膚を転移して眼球部分を覆いました。飼い主さんには刺激の強い手術となりましたが、やむおえません。
●病理検査
検査結果は、予想通り扁平上皮癌でした。猫の眼瞼辺縁にみられる扁平上皮癌は、浸潤性があり、通常、白い毛を持つ猫の下眼瞼に形成されます。病理診断の報告では切除範囲(マージン)は完全でした、これより免疫を増強する治療に入ります。

●3ヶ月後
術後暫く調子の悪い日々が続きましたが、今は、食欲も戻り、機嫌も良く、毛も生えて落ち着きました。扁平上皮癌と腎臓の治療は、漢方薬とハーブを併用して暫く治療が続きます、20歳を目指して頑張りましょう!
飼い主さんの努力に感謝
猫の紐状異物 [News]
●雑種 4歳 ♀
「内視鏡で異物を取って欲しい」のリクエストで来院されました。ハムを包む紐を飲み、一部は嘔吐で出たが残りがまだ存在するとのことでした。翌日に、レントゲンで異物らしくものを確認しました、しかし、気かかりな点は「腸が集まっている像」でした。「腸の集塊」とは、紐状の異物を飲んだ際に起こる状況で、消化管に入り込んだ紐が引っ掛かり、その張力により腸がアコーデオンの様に重なってしまう状態で、放置すると腸の血行障害、断裂が生じます。
●内視鏡処置
心配しながら、まずは内視鏡で胃内にアプローチしました。飼い主さんの言われる通り、胃のTV画面には網らしき物を認めました、大型鉗子で引っ張るも抵抗感があり、まったく動く様子がありません、無理に引っ張れば裂傷を生じる可能性があるため、開腹手術へ移行させていただくことにしました。

●紐に牽引される小腸
小腸内の紐と胃内に残る紐が引っ張りあい、アコーデオン状に集まっている姿が見えました。幸い太い紐であったために腸管の断裂は免れました。
●紐のリリース
摘出後の腸には、多少のダメージが残りました。腸管が一部赤く変化しているところです。牽引状態が長時間に及ぶと生死にかかわる状況になります。
●摘出物
犯人は、まさにハムを包む紐でした。腸管のダメージが軽度であったため速やかな回復が望めます。
私見ですが、猫に紐状異物による誤飲が発生するのは、猫の舌の中央には、尖った針状の返しがついているのが原因と思います。いったん紐を舐めだすと、手で引っ張り出すこともできず、後戻りできない状況に陥りるのではないかと思います。
猫ちゃんの側には、裁縫道具などを置かないよう普段から注意しましょう、そしてもし誤って飲んでしまっても、無理yり引っ張り出さないようにしましょう!
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犬の耳端部僅かな損傷 [News]
●イタリアングレーハウンド 2歳 ♀
先日、腹腔鏡下で避妊手術を行いましたが、今回は「5日前から、耳の端が切れて血が止まらない」主訴で来院されました。
●耳端からの出血
小さな損傷ですが、一旦止血されても、頭を振り患部をぶつけることで再び出血が始まります。
飼い主さんが応急処置でバンドエードを装着されました。しかし、先端部を強く保護してやらないと、耳先をぶつけて再び出血が始まります。大量出血ではありませんが、長期継続すれば貧血も発生します。できるだけ早く止血しなければなりません。
●処置、治療
先日の血液検査では異常はありませんでしたが、念のために血液を止める役割を果たす血小板数と血液凝固因子の異常を探る検査(PT.APPT,Fib)を再測定しました。結果は、血小板、凝固系共に正常、また身体検査での出血傾向もないため、先端部の止血と耳の固定を行いました。