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猫の膀胱破裂 [News]
●ミー 6歳 ♂
今朝8時に足に怪我をしているので見て欲しいとご連絡が入りました。飼い主さんは単なる猫同士の喧嘩で傷を負ったと理解されていましたが、拝見するとかなりの衰弱が診られ、嘔吐も伴っています。足の負った外傷は骨が露出するほど激しいので、膀胱破裂も想定して、急ぎ血液検査を行いました。
血液検査では、腹部に受けた衝撃から著しい肝臓酵素の上昇、尿素窒素の上昇が有り、腎臓破裂、尿管断裂、膀胱破裂のいずれかを疑い、緊急手術を準備しました。しかし、来院当初は、血圧の低下を伴うショック状態が見られ、直ぐに手術を行うわけにはいかず、先ずは急速点滴による血圧維持と疼痛管理を中心に開始しました。
●開腹手術
血圧が安定後、次に腹部を開けて泌尿器系を精査する計画をたてました。
開腹して破れていると想像して膀胱を探すも見つかりません、しかしお腹の中にはかなりの出血と液体貯留がみられます。精査すると破れた腹膜から足の筋肉の隙間に入っている膀胱が見つかりました!見事に膀胱の三角部(尿管が開口する部分)のみを残して膀胱がありません。急遽その膀胱の代わりの作成にとりかかりました。
●切り出した空腸
距離的な問題をみたすのは空腸と考えられ、その一部の腸を切り出して袋状に形成することにしました。
●膀胱の設置
切り出した腸の片側を縫合し、そしてもう一方を2本の尿管と繋ぎ袋状に作成しました。(青矢印)黒の矢印は、切除後縫合した空腸です。
●はじけ飛んだ膀胱
筋肉の隙間から見つかった膀胱です。まん中の穴の部分が尿管排泄口のあった膀胱三角部です。
●今後
急遽作成した空腸代用膀胱により排尿が可能になり、尿毒症は回避され顔色も良くなりました。しかし、膀胱がはじけ飛んでしまう程の強い圧力を受けているので、その他の臓器の影響が心配です。今後の予後が生死を分けると思いますが、なんとか頑張って欲しいです!
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犬の舌腫瘍 その1 [News]
●ノア ♀ 14歳 ダックスフンド
以前、舌腫瘤を病理検査に提出した結果は、炎症性肉芽腫病変と診断が下り経過観察を行うことになりしたが、それから1年、よだれに血が混じり、食べたいけど食べれない、日に日に痩せてくるなどの主訴で来院されました。検査、状況に応じては摘出を考え麻酔を施しました。
今回の病変は、舌下側、口峡部に広範囲に広がり、前回とは性質が異なっている感があります。
●口腔内検査
口を開けてみると舌根部に大きな肉芽様腫瘤が目に止まりました。
●舌側部
同じく舌側部左右、舌根部も腫れ上がり、塊状の病変となっていました。
●摘出
術後の機能害を心配しつつ、舌根部から舌側部にかけてできるだけ左右を広範囲に切除しました。
●縫合
摘出後は定法通り縫合しました。
●術後
この度、飼い主さんは病理検査を希望されませんでした、悪性所見と仮診断し、先ずは@水の変更(還元電位の高いもの) Aミネラルの補給 B電磁波の除去 D生薬の処方 E食事の変更(化学物質、農薬、重金属汚染のないもの)を早速に開始しました。
術後3週間ですが、出血もよだれも治まり、舌の機能障害も順調で、術前は、落ち着きがなく虚脱していましたが、病院のテーブルで仰向けでくつろぎ、いつもの「ノア」に回復しました。
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犬の股関節脱臼 [News]
●プードル 7歳 ココ ♂
連休後半に緊急で来院されました。主訴は、「兄弟喧嘩後、足を着かなくなった!」でした。身体検査では、患肢に加重することができず、また、伸ばすことで痛みを生じました。そして、大腿骨頭の位置が上に上がっていることから、股関節脱臼を仮診断しました。以前から時々、足を挙げることがあるとも聞きましたが、それは先天的な膝蓋骨脱臼から発生していると察しました。鎮静後、レントゲン写真を撮影しました。
●レントゲン撮影
左の股関節(↓)が脱臼しているのが分かります。
●バンテージ
脱臼を整復後にバンテージを施しました。約二週間この形を維持してもらいます。
●再レントゲン撮影
バンテージで固定した後に、再度レントゲンを撮影して、確認しました。間違いなく寛骨臼に大腿骨頭が位置していることを確認して終了しました。
今回は、受傷後すぐに来院されたため、全身麻酔が必要にはなりましたが、無事に整復できました。時間が経過するほど、整復が難しくなるので、速やかな対応が望まれます。
*股関節脱臼とは?
大腿骨と骨盤のをつなぐ関節を言います。その関節がはずれてしまう状況を脱臼と呼びます。通常は交通事故などで大きな力が加わった際に外れ、前(後)方向へ脱臼してしまうことが起こりますが、軽い押さえつけでもタイミングと関節のポジションがあえば脱臼に繋がら事があります。外科手術に至る前に、外れたら速やかに対応することが大切です。