News
2009年11月09日(月)
「年寄り物語」 10歳ロク、ごっつい会陰ヘルニア [News]
●ロク 10歳 Mix ♂
昨年8月に両側性に会陰ヘルニアを認めました。手術をお勧めしましたが、症状が出ていないので様子をみたいとのことでした。約1年経過した今年、泣き叫んで便が出ないとの事で再び来院されました。まず、左側の手術を行いました。飼い主さんは、その手術で調子が良くなったため、今回の右側の手術には極めて消極的でした。しかし、今回、病院側の勧めで右側の手術を踏み切られることになりました。決め手は「私が飼い主であれば、早いうちに必ず手術しますヨ!」でした。
●ハードカプセル
今回の側は、ヘルニアに到達する前に、硬い殻を被った石灰沈着物が蓋をして、私の侵入を拒んでいました。しっかりと、そして、大きく出来上がっていましたので、電気メスを使用しながら、周辺組織に張り付いたカプセルを慎重に剥がしていきます。
●カプセルの内側
硬い甲羅上のカプセルの内側には、小さな丸い石様の粒が無数に集まっていました。このカニ様カプセルを切除後、内閉鎖筋を剥がし、肛門括約筋と仙結節靭帯に糸を掛けてヘルニアの穴を閉鎖しました。
●無事終了
術前の姿が嘘のようにスッキリしました。手術前は、大きなハードカプセルで肛門が片側に変位していましたが、これで正しい位置に復しました。目出度し、目出度し!
切開ラインに金属が見えるのは、外科用ホッチキスです。抜糸の時に痛みが少なく、簡単に外せるので当院では、主に使用しています。
●蟹の甲羅?
このような大きな塊は、初めての経験でしたが、慢性的にヘルニアを放置しているとカルシュウム沈着が生じ、今回の様な大がかりな手術になってしまうことがあります。飼い主さんも十分に後悔されていましたが、見つけた時に直ぐに対応するのが、とにもかくにも慣用です!これで、便が詰まる心配はなくなりました。余生は便を真っ直ぐ気持ちよく出して、快適に過ごして欲しいと思います。Toshi
●術後
翌日には、元気食欲ともにあり。初回の手術では、術後に泣きすぎてしまい直腸が飛び出てしまいました。今回は問題ありません。さあ、今日は家に帰ろう!
関連タグ :
06時46分