News
膀胱結石 [News]
●アミ 5歳 シーズー♀
●主訴
「今朝から尿が出にくい」とのこと。さらに、3〜4日前にトイレに石の様なものが出ていたと聞きました。
●超音波検査
早速、尿検査と超音波検査へ進みました。超音波検査では、結石が存在するとその下にシャドー(影:黒いライン)を引く特徴所見を認めました。尿検査では、尿の沈査で白血球、赤血球、多くのストルバイト(リン酸アンモニュウム結晶)が見られました。結石にも食事療法で溶解できるものとできないものがあります。
●ストルバイト結晶
今回の結石は、食事で治療できるタイプでしたので、早速処方を始めました。上の写真は、発見当初。右の写真は処方20日後のものです。「ずいぶん小さくなりましたね。」
●処方39日後
結石が小さくなり、尿として排出されたことでに数も減りました。頑張って処方食を継続してもらった成果がでました。もう一息です。「1ヶ月後の検査が楽しみですね!」
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股関節脱臼 [News]
●クッキー パピヨン 1歳 ♀
突然のことでした。朝方「キャン!」と鳴き声が聞こえました、気がついたら、片足を上げている状態だったと聞きます。
異常を察した飼い主さんは、急ぎ病院へ直行しました。身体検査では、かなりの痛みを感じます。股関節の解剖学的異常を感じ、早速レントゲン撮影に進みました。右の写真の通り患肢は後方へ脱臼していたのでした。
●整復
通常、このように直に連れて来ていただいたケースでは、まず非観血的(関節を開けない)処置を試みます。麻酔をかけて脱臼した股関節を牽引と回転を加えて整復を行いました。ここで、第一段階終了ですが、次に関節内に入り込んだ血液を押しだすために、何度か関節を動かします。そして、再脱臼を防ぐために関節を僅かに内側に回転させながら屈曲させたままテーピングを施して終了です。「よかった、良かった!」
●テーピング
約2週間安静を保ちます。獣医師の指示はほぼ無視され、はしゃぎすぎました。よって、固定は30%程ずれ、テーピングはボロボロです。(笑)
●鎮静処置
本日、テーピングを取るために鎮静処置を行いました。レントゲン写真で確認を行い、股関節が正常位置にキープされていることが分かり、煩わしかったテーピングを晴れて外すことができました。これから約2週間ほどは、引き綱をつけのリハビリが必要です。今度は、指示を守ってくれるのでしょうか?「あまりはしゃぎすぎると、また外れるョ〜!」
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猫の尿閉 [News]
●尿閉
尿閉(にょうへい)とは、尿が何らかの原因により閉鎖され排出が障害される状態を言います。当然、尿が出なくなりますので、2次的に尿毒症が発生し生死にかかわる状態になり、緊急疾患の一つです。多くが雄猫における膀胱結石により、その結石が狭い尿道に詰まることにより上記の症状が発生します。
●チョコ 3歳♂ スコテッシュフォールド
この度のケースは、結石ではなく血餅(血の塊)の閉塞により発生したものと思われます。
超音波で膀胱を観察すると、大きな何者かの塊が膀胱内にしっかりと位置しています。膀胱結石の場合には、食事療法で溶解することも可能ですが、血餅のケースでは、膀胱を切開して取り出さない限り治癒しません。
●手術
尿毒症の緊急事態を回避し、正常に復した3日後に手術を行いました。超音波の診断とおり、切開した膀胱内から大きな血餅が飛び出しました。
●細胞診
手術中に切開した膀胱の粘膜を観察すると、一部に怪しい炎症部位があり、急ぎ細胞を調べることにしました。すると、その細胞に悪性所見!・・・・しばらく病変を根こそぎ取るべきかどうか悩みましたが年齢的に癌発生年齢ではないこと、突発のできごとであることから、その怪しい病変を残したまま閉復し、病理検査を待つことにしました。
●術後
術後から尿がスムースに出るようになり、3日後に退院しました。数日後の病理検査では、怪しい部分は、慢性炎症所見と診断されました。診断医曰く「膀胱の粘膜上皮は、炎症により悪性所見を示すことがあります。また、尿沈渣での細胞診では、浸透圧で細胞の変性などが加わり、悪性/良性の鑑別が難しくなります。」とのことでした。今思えば、慎重な判断が効を奏したと思いました。