院長ブログ
犬の副腎皮質機能亢進症 [院長ブログ]
●副腎機能亢進症とは?
腎臓の上にある3mm程の小さな分泌腺組織を副腎と呼びます。分泌される副腎皮質ホルモンの作用は、炎症の抑制、炭水化物の代謝、タンパク質の異化、電解質調整、免疫反応などです。このホルモンが過剰状態になると、皮膚が薄くなる、飲水量の過剰増加、多尿、肝臓が大きくなることで腹部が腫大する、感染しやすくなる、食欲が増加するなどです。80%以上が下垂体の腫瘍により2次的に副腎が過形成を生じ、ホルモン分泌が過剰になります。
●健太 ♂ 9歳 ミックス
両肘が腫れている主訴で往診しました、検査が必要なため病院へ運び精査の結果、右肘の感染症、左肘の漿液貯留、重度の肥満、腹部膨満が引っ掛かりました。血液検査では、ALP1149(正常250)、波動周波数でもクッシングに滞りが見つかりました。
●治療
下垂体腫瘍は、通常摘出が困難なために温存されます、また、副腎における原発腫瘍であれば摘出されることもあります。また、副腎の機能を低下させる薬を投与することが通例ですが重篤な副作用の心配があります。当院では視床下部に作用する漢方薬の処方を行い、時に腫瘍に作用させる漢方薬も併用し対処しています。
●健太のその後
感染を生じた両肘は、麻酔科で排液チューブを装着し抗菌作用の有る漢方薬を併用しました。副腎皮質ホルモン異常がある例では、感染を生じやすくなるので、治癒に時間がかかりました。副腎皮質亢進症の副作用である多飲状態は改善されつつまります。また、入院中は、食事アレルギーが見つかりましたので、減量(22s⇒19.95kg)と併せて適応食事を変更しました。減量の甲斐あり足取りは軽やか、いよいよ、来週は退院です!❤
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猫の食物アレルギー(皮膚潰瘍) [院長ブログ]
●える ♂ 7歳 きじ虎
「足が腫れている」主訴で来院されました。。足先を含めて前肢は著しくはれ上がり着地できない状態でした。その後の血液検査では、活動性の慢性炎症像を示していました
●腫れた前肢
足首部分に咬まれたと想像される傷がみつかり、膿がさん出していました。ここは明らかな咬傷と言ってよいでしょう。
●その足裏
一方、咬まれ腫れた指裏は3箇所の大きな潰瘍を呈していました。咬傷でこのような潰瘍が出現することは考えらず、早速、波動測定を行うとアレルギーが浮かび上がりました。食物トライアルを早速開始し、同時に抗生剤に代わる漢方薬を処方しました。
●その後
食事変更に従い、潰瘍部分は徐々に小さくなりました。本来であれば次に減感作をお勧めするところですが、外出自由でいつ捕まるかわからない状況ですので、やむなく食事変更のみの処方を続けることにしました。

1か月後に化膿は完全に完治し、2か月後には、潰瘍も消退しました。変更した食事は、このままキープすることを守っていただかなければなりませんが、、、、外出するので厳密な食事管理ができないのが悩ましいところで、再発の可能性があります。
●食事アレルギーについて
ワンちゃんほどではありませんが、猫ちゃんも食物アレルギーが多いことに驚かされます、教科書的には頭部に出現する皮膚病変ですが、実は様々な形(唇の潰瘍、消化器症状、癲癇発作、肝、胆、膵臓の炎症、今回のような皮膚病変)が出現します。早期に解決することが大切です、思い当たる方はは一度受診ください。
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犬の大腿骨遠位部骨折 [院長ブログ]
●マルチーズ ♂ 11歳 マッシュ
他の病院からのご紹介でした。お気の毒にも飼い主さんの車に轢かれたそうで、当方へ来院いただいた数日後には、足を挙げたままの状態を呈していましたが痛みはありませんでした。レントゲン撮影を行うと想像通り大腿骨遠位部が骨折を起こしていました。
●手術
大腿骨の湾曲に合わせた専用のプレートを使用しました。遠位部はカーブしているため、多少のプレート整形を加えました。
●術後レントゲン写真
遠位部のネジ2本が長すぎたのは残念でした。
●10日後
術前に甲状腺機能減退症を診断し、既にホルモン剤の投薬を始めていました。来院時のエネルギーの無いひなびた状態から若々しい状態に変化しました。
ギブス除去後、無事に抜糸が終わりました。飼い主さんとの感動的な再会を終えて元気に帰宅されました。 祝退院!








