17歳、八チ復活! 「年寄物語」その3 [院長ブログ]
「年寄り物語その2」
●年寄りに問題が生じると、飼い主さんは皆口をそろえて言います。
「もう、年だから・・・」と。
今回は、1年前より気づいていながら、いつもの「年だから・・・」
という理由で、大変な状態におちいった話です。
●ハチ 17歳 雑種 ♂
1年前に病院の身体検査にて胸部に小さな「でき物」を見つける。
針を刺して細胞を検査し、悪性腫瘍の疑いを告げる。
しかし、手術は、家に持ちかえって考えるとのことだった。
●その後、連絡が無かったが、1年後、「腫瘍が裂けた!」と突如来院する。
腫瘍は、1年前の10cmから30cm程に成長し、中心部分に穴が開き、出血と壊死が見られ異臭を放つ。
食欲が無くなり、歩くこともままならず。
●まず、脱水があったため点滴を行う。
貧血、低蛋白は、ギリギリの許容範囲だったので、点滴後、スタッフ一同と緊張しながら慎重に麻酔に入る。
●この部分は、皮膚に余裕が少なく、縫合が大変になる。
しかし、腫瘍を取り残す訳にはいかず、いっぱいいっぱいの皮膚の状況に、少し不安になる。何とか縫合終了。
縫合後、緊張を解除するために、細かい減張切開を施す。
●所要時間約1時間。無事切除完了。
術後に徹底した疼痛管理を行うために3日間入院。
食欲、元気共に回復し、飼い主大喜び。
「もっと早く手術すべきだった・・・!」といつものセリフをこの度も聞く。
●今回もいつもの「年寄り物語」でした。
1年前に切除していれば、これほど大きな傷にはならなかったと思います。今回は、腫瘍が大きくなった上に、傷口からの出血、蛋白漏出の悪条件も加わり、麻酔の危険性が増加していたのでした。
●お年寄りの動物を持つ飼い主さんへ
腫瘍は、見つけたら年だからと言って大切にせず、直に切除することを心がけましょう。
(特に12歳以上にこの傾向あり!)
様子をみて、どうしようもなくなった時に踏み切るのは、お気持ちは分かりますが、さらに年を重ね、さらに危険性が増しているということをご理解ください。
”いずれにしろ切除するのであれば、どうかお早めに!”
●追伸
先週無事に抜糸を終了しました。
貧血も改善され、食欲、元気も増加し、来院された当時の「もう年だから諦めよう・・・」と思った飼い主さんも、今では夢の様な思いだそうです。目出度し、目出度し。
それでも、私は、恨まない! [お仲間紹介]
11歳マル 腹腔内腫瘍 「年寄物語」その2 [院長ブログ]
「年寄り物語」その2
●まる ♂ 11歳 ゴールデンレトリバー
(小型犬に比べると、大型犬の年齢は高くなります。)
●4月5日(日曜日)
「腹部に異常があるので、詳細を検査して欲しい。」と他の先生からご依頼がありました。
病歴は、7日前から突然元気が無くなり、徐々に回復するも、食欲が今一つ出ない。まずは、腹部の異常部位を超音波装置で詳細に観察しました。
●腹部超音波像です。
明らかに、大きな塊を認めました。
内容が不均一ですから、悪性所見も考慮されます。
●7日前より貧血状態は、ずいぶんと回復している様子でしたが、元気、食欲がないとの主訴でしたので、血液凝固系(止血出来るか)を確認の上、緊急手術(脾臓摘出)を行いました。
この右側の塊が腫瘍です。
その裏側に腫瘍が破れた部分が発見されました。(7日前の突然の虚脱は、その破裂が原因だと考えられます。)
肝臓、その他の臓器への肉眼的転移所見はなく、一安心です。
しかし、このパターン(犬種、内容)は血管肉腫という悪性腫瘍例が多いので心配です。
●術後の麻酔の醒めも良く、遠方(竹原)からお越しいただきましたが、当日に帰宅できました。
翌日、お電話で確認すると「物凄く元気で、食欲旺盛!」我々一同、嬉しい限りです。
これからの「生き方」が余命を左右します。今までを反省して、前向きに、そして、体に優しい生き方で頑張りましょー!









