猫の拡張型心筋症と口内炎 [News]
●主訴
他にて口内炎で定期的に注射をうってもらっていたそうです。しかし、最近、注射の効果が薄れ、ご飯をほとんど食べなくなったという主訴で来られました。
●レントゲン撮影と超音波検査
確かに下顎の左右に大きな潰瘍と歯石が見られました。全抜歯をお勧めする状況ではなく、潰瘍の治療を行えば良いと判断しました。しかし、口内炎の処置とはいえ、15歳での麻酔ですので、この年齢であれば強制的に胸部のレントゲン撮影をさせていただきます。あれれ、レントゲンをみると肥大型心筋症思わせる特徴的なバレンタインハート型をしています。レントゲンでの異常が見つかったので、引き続き超音波検査をさせていただきました。
大きく左右に広がった心臓。また、胸水も認められました。
●超音波検査
レントゲン検査で想像していた肥大型心筋症ではなく、著しく左右の心臓が拡張した拡張型心筋症と思われました。さらに、左右の弁では著しい逆流見られました。
心筋症とは、大きく分類して、心臓の壁が厚くなる肥大型心筋症と逆に薄くなる拡張型心筋症があります。猫ちゃんでは、肥大型心筋症が多く発生します。
●口内炎治療と食道カテーテル装着
強心剤を点滴し、軽い麻酔を施しました。大急ぎで口腔内の潰瘍を炭酸ガスレーザーで除去しました。次に食欲が無いことと、急ぎ心臓薬を開始する必要があるので、食道にカテーテルを装着しました。この間、約10分間。心臓が余りに悪いので、スタッフ一同気が抜けない緊張の一瞬でした。
●今後と注意事項
明日より食道カテーテルから心臓薬を開始し、落ち着いたところで、再び口腔内クリーニングができれば理想ですが・・・・際どい心臓ですから、どこまで頑張れるか心配です。再び飼い主さんと楽しい日々が少しでも取り戻せるようにスタッフ一同頑張ります!
高齢とは言え、徐々に体重が減少してくるのは異常です。高齢であればあるほど、どこかに異常が隠されています。初めは見つけられないかもしれませんが、定期的に観察、検査させていただくことで、発見できる機会が増します。どうぞ、めんどくさがらず、食欲があっても痩せてきたら病院へ足を運んでください。
関連タグ :
肛門周囲腺腫2 [News]
●肛門周囲腺腫とは?
肛門周囲腺腫の記事は過去にありますが、この度のケースはかなり大きなものでした。この腫瘍は、♂を主体に発生する腫瘍で、雄性ホルモンが関与しているために去勢を同時に行うことで、発生を予防します。しかし、悪性の腺癌であれば去勢の効果はありません。
●手術
見た目以上に深さがありました。また、腫瘍周囲の健康組織も含めて切除する必要があるので、かなり大きな切除範囲になります。腺癌を想定して超音波検査で骨盤の下にある腸骨下リンパ節を観察し、転移の有無を観察します。
●巨大な腫瘍
肛門の50%を占める大きな腫瘍でした。よって、肛門の閉まりを司る括約筋も同じく切除する必要があす。しかし、術後の副作用である垂れ流しを心配しました。しかし、術後の排便は順調で安心でしたが、一方で坐骨神経障害が出現しました。手術中は、十分に注意しながら進めましたが、ダメージが出たことは事実です。しかし、その障害も約1カ月で正常に復し、依然と変わらない状態に復帰しました。病理検査結果も、完全切除で良性の腺腫との報告でした。めでたし、めでたし!さて、次の段階は、病気にならない体作りです。
関連タグ :
歩いた、歩いた! [News]
●ペキニーズ 16歳♂ ボンボン
4年前に突然立てなくなり、原因不明と診断され自宅療法が始まったそうです。今年の春から2〜3歩ける様に回復したが、それ以上は困難であり、この度当方を訪ねてこれらました。
●針治療
6月30日から針治療を開始し、週2回の処置を始めました。自宅でのリハビリと治療を繰り返す中、7回目から立ち上がれるようになりました。スイカが大好物で、針治療の間、集中を高めるために眼の前にスイカをぶら下げます。そうそう、こんなことがありました。自宅でスイカを爪楊枝で与えていた時に、誤って爪楊枝ごと呑み込んでしまったのです。内視鏡による処置も検討しましたが、飼い主さんがサトイモを数個食べさせたら、な、な、何と!驚く事に、爪楊枝がサトイモを3個貫いて団子三兄弟の様な安全な形で出てきたのでした!(笑)この方法は、たぶん治療には使えないと思います。(笑)
●歩いた、歩いた!
7回目から回復が早く、9回目にして歩けるようになりました。4年前の原因は、たぶんヘルニアによる麻痺かと思われます。早期であれば手術も検討の一つだったと思いますが、時間経過とともに筋肉が萎えてしまっています。現在、ふらつき、足の返りは、まだまだ不十分ですが、反応から考察すると今後十分に期待できます。頑張れ〜!
●針治療について
針を各種「つぼ」に向けて刺すのですが、そのことにより気、血、水の通りが良くなります。また、通電することにより萎縮していた筋肉が刺激され、筋力が回復してきます。西洋医学では、説明しにくい、あるいは、できない部分もありますが、効果が出ていることは事実です。当院では、西洋医学だけにこだわるのではなく、東洋医学なども取り入れた、統合医療を提供しています。