広島県呉市「石崎動物病院」

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「年寄り物語」 10歳ロク、ごっつい会陰ヘルニア [News]

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●ロク 10歳 Mix ♂
昨年8月に両側性に会陰ヘルニアを認めました。手術をお勧めしましたが、症状が出ていないので様子をみたいとのことでした。約1年経過した今年、泣き叫んで便が出ないとの事で再び来院されました。まず、左側の手術を行いました。飼い主さんは、その手術で調子が良くなったため、今回の右側の手術には極めて消極的でした。しかし、今回、病院側の勧めで右側の手術を踏み切られることになりました。決め手は「私が飼い主であれば、早いうちに必ず手術しますヨ!」でした。

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●ハードカプセル
今回の側は、ヘルニアに到達する前に、硬い殻を被った石灰沈着物が蓋をして、私の侵入を拒んでいました。しっかりと、そして、大きく出来上がっていましたので、電気メスを使用しながら、周辺組織に張り付いたカプセルを慎重に剥がしていきます。

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●カプセルの内側
硬い甲羅上のカプセルの内側には、小さな丸い石様の粒が無数に集まっていました。このカニ様カプセルを切除後、内閉鎖筋を剥がし、肛門括約筋と仙結節靭帯に糸を掛けてヘルニアの穴を閉鎖しました。

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●無事終了
術前の姿が嘘のようにスッキリしました。手術前は、大きなハードカプセルで肛門が片側に変位していましたが、これで正しい位置に復しました。目出度し、目出度し!
切開ラインに金属が見えるのは、外科用ホッチキスです。抜糸の時に痛みが少なく、簡単に外せるので当院では、主に使用しています。

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●蟹の甲羅?
このような大きな塊は、初めての経験でしたが、慢性的にヘルニアを放置しているとカルシュウム沈着が生じ、今回の様な大がかりな手術になってしまうことがあります。飼い主さんも十分に後悔されていましたが、見つけた時に直ぐに対応するのが、とにもかくにも慣用です!これで、便が詰まる心配はなくなりました。余生は便を真っ直ぐ気持ちよく出して、快適に過ごして欲しいと思います。Toshi

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●術後
翌日には、元気食欲ともにあり。初回の手術では、術後に泣きすぎてしまい直腸が飛び出てしまいました。今回は問題ありません。さあ、今日は家に帰ろう!


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猫の膵炎 [News]

●猫の膵炎
猫の膵炎は、犬の様な特徴所見がなく診断がむづかしいと言われます。原因は、トキソプラズマ、FIP、カリシウイルス、脂肪異栄養症、FeLV、外傷などで、症状は、元気消失、食欲不振、脱水、特徴的な所見は低体温があり、時々、多飲多尿、嘔吐、下痢が見られます。

●フー 5歳 雌(不妊手術済)

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2、3日前からどうも様子がおかしい。フラフラして食欲、元気がないという主訴で来院されました。体温41.2度。血液検査では、白血球増多。そして、感染を疑う中毒性所見があります。まずは、抗生剤を処方しました。
その晩、鰹節を少したべたが、その後、変わらず食欲元気なく、発熱が続くと翌日に再来院されました。再度、血液検査をすると黄疸所見が見られ、昨日より強い感染を疑う血液像が現れました。そこで、超音波検査を行いました。

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●超音波検査
膵臓を観察すると、通常、膵臓は観察されないのですが、膵臓壊死とおもわれる膵臓の低エコー像を認めました。膵臓の超音波検査は、感受性の低さ(67%)から診断をつけにくいのですが、腫瘍、リンパ節過形成、門脈高血圧、低アルブミン症による浮腫を除外することで特異性が高まります。それらを考察し膵炎の可能性を疑い、早速その日の午後から、腹腔鏡による膵臓組織検査を計画しました。                                  

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●膵臓生検
浮腫をともなった膵臓が見られます。腸間膜リンパ節も腫脹していました。左の鉗子で十二指腸を摘み上げ、右の生検鉗子で膵臓を部分切除しました。超音波でも確認済みの僅かな腹水が観察されました。

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●肝臓生検
同じく肝臓各葉を観察し、数か所を部分切除して検査へ送りました。上記および右の主義は、5mmの穴3か所で行っていますので、負担は極めて少なくなります。

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●食道チューブ
食欲がない主訴と術後の食欲不振を考慮して、麻酔時に一緒に食道にカテーテルを装着しました。このチューブから栄養を補給し、食欲が回復するのを待ちます。

●病理結果
膵臓は、膵炎と診断され、外分泌の変性、委縮が観察され、一部で炎症細胞浸潤が観察されました。肝臓は、肝細胞の変性が観察され、炎症細胞も散見される状態でした。

10日後には、熱も下がり顔つきも良く調子が良い感じです。血液検査では、炎症像もなくなっていました。そして、徐々に口から物を少しずつ食べるようになって順調な回復です。
めでたし、めでたし。

   


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気管切開 [News]

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●ミー子 9歳 日本猫
慢性腎不全の投薬、栄養補給のために、食道チューブを入れて順調な経過をたどっていたミー子でしたが、最近、食事をチューブから入れる時に嘔吐があるという訴えがありました。レントゲン写真を撮ると喉に白い塊がみえるではありませんか!

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●喉周囲の石灰沈着???
喉に白く見えるものが分かりますか?石灰(カルシウム)あるいは膿と思われる物が沈着して、喉の周囲を圧迫しているのが見えます。最近、吐き気があるとの訴えは、慢性腎不全の影響ではなく、これが原因だったようです。表面の粘膜をレーザーで切開し、沈着物を摘出および掻き出すことにしました。

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●摘出物
喉の周辺から摘出された塊です。これから病理検査と細菌培養に提出し結果を待ちます。細胞診では、細菌の関与は認めませんでした。どうしてこんなものが喉の周辺に出現してしまったのでしょうか???

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●気管切開
上記のとおり気道の入口の手術を行ったために、そして、術後の喉の腫れが暫く続くことが予想されるために、気管にチューブを挿入して呼吸を確保しました。翌日から、定期的に気管洗浄を行う必要があります。術後は、ずいぶんと気分が良さそうになり、面会にこられた飼い主さんをズーと舐めまわしてご機嫌満点でした。

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●胃チューブ
今まで、食道チューブで維持していましたが、今回の気管切開のために、チューブを食道に残しておくことができず、胃へ移設することにしました。胃チューブは、食道チューブと比較するとチューブ口径が大きい分、より大きな塊で投与できます。また、長期管理に適します。食道チューブ装着時間が約5分、胃チューブは内視鏡を使用しますので約10分と、少し時間を要します。

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3つのタイプの胃チューブ

多くの飼い主さんはチューブ法をお勧めすると「チューブを入れるのは可愛そう」と返事が返ってきます。しかし、私の15年/数百例のの経験からすると、ほとんどの場合においてチューブ法を選択した方が、回復を助けます。チューブが入っていても口から食べることもできるので(しっかり食べるようになれば、いつでもチューブを抜けば良い)自宅での管理も難しくありません。病気に打ち勝つには、栄養は不可欠です。ですから、私はチューブ法が大好きです、また、必要な手段だと思っています!飼い主の皆さん!チューブ法を恐れず、是非気軽に利用してください。(院長)

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●再レントゲン
再び喉のレントゲン撮影を行いました。最初のレントゲンと比較すると良くなっているのが分かりますが、白い沈着物が消失しています。

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●チューブ抜管
喉に留置していた気管チューブを抜く日がやってきました。毎日数回のチューブ内洗浄と3日おきのチューブ入れ替えが大変でしたが、これにて解放されました。この傷跡は、自然に閉鎖されますので、安心してください。数日後の帰宅が決まりました、飼い主のご夫婦は、2日おきに遠くは倉橋から1時間以上かけてミー子の面会に通われました。お二人の愛情により無事に回復、そして、退院を早めたのは間違いありません。ミー子元気でね〜!

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●退院後のミーコ
退院して7日後のミーコです。喉の傷が僅かに残りますが、すっかり元気になりました。艶がでて、少し若返ったようにも見えます。ミーコの左に見えるのが胃チューブの先端です、そこから足らない栄養、薬を簡単に与えることができ、体重増加にも貢献しています。


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