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そけいヘルニア [News]
●ラン 6歳 ♀ ダックスフンド
生まれつき左の股が軽度に膨らんでいました。徐々に膨らみが大きくなり、2年前にそけい(股)ヘルニアと診断されました。しかし、食欲元気あり。なかなか飼い主さんは、手術に踏み切れないでいましたが、いよいよ目立って大きくなり、ようやく腰を上げることになりました。
●そけいヘルニア
左の股の部位は、通常小さな穴が開いていますが、その穴が大きすぎて、そこから腹腔内臓器などが飛び出す状態をヘルニアと呼びます。
●手術準備
今回は、避妊手術も希望されていましたので、避妊手術創からヘルニアも一緒に処置しようと考えました。
●膀胱脱出
ヘルニア輪(穴)がかなり大きかった(約7cm)為に腹腔内の膀胱、大網が大量に飛び出していました。皮膚の切開を一か所にしたかったので、アプローチがとても大変になりました。白い真ん中の餅様の脂肪の上が飛び出した膀胱です。
●術後
膨らんでいた穴がしっかりと塞がれ10日目、無事に抜糸に来られました。長きに渡りヘルニアで皮膚が膨らんでいたので、摩擦で皮膚の一部が変色しています。いずれこの色素沈着は、無くなると思います。毎年の定期的な身体検査では、毎回手術をお勧めしていましたが、このたび晴れて整復できたことで、飼い主さん、我々も安心することができました。めでたし、めでたし。
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難治性皮膚病 Case2 [News]
●初診
@2年前から皮膚病が始まりまったそうです。医療関係の飼い主さんでしたので、自分でかゆみ止めを処方して、シャンプーを定期的にしていたと言われます。皮膚は痛々しいほど、黒くて、真っ赤です。
A見事にはげ上がり、皮膚が黒くなり慢性化を示します。僅かに残る毛が、惨状を物語ります。皮膚の検査を行うと、多くの酵母の感染が見られました。また、皮疹の原因は、細菌感染と思われます。血液塗抹でも白血球の中毒性変化を認めましたので、抗生物質を開始しました。また、食事は陰陽食事指導を開始しました。
●●12日後
@痒みがずいぶんと治まり、皮膚の赤みも低下し、毛が増えてきました。
Aシャンプーは、今まで飼い主さんが購入していたものから、界面活性剤の入っていない皮膚に優しいタイプに変更しました。著しいフケも少なくなり、ベトベトからしっとりと変化してきました。
続く・・・・。
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早く歯石を除去しよう! [News]
11月14日の産経新聞「健康ライフ」の医師、歯科医師によると、「歯周病が糖尿病患者の血糖管理を難しくしていることが確認され、歯周病で歯肉組織中に産生された炎症性性サイトカインが全身に回るとインスリン抵抗性が高まり、血糖値が下がりにくくなる。歯周病を良くするためには、歯垢(プラーク)を除去し、歯石形成を防ぐことである。」とありました。
歯周病の原因菌である嫌気性菌は歯周ポケットが生育環境に適し、繁殖が進むとマクロファージが処理しようとして炎症反応が誘発され、炎症性サイトカインが放出されます。
動物は食事の変化により、人間では考えられない程の歯石が形成されてしまいます。そして、ほとんどの者が歯周病をともなっています、歯周病により炎症反応が誘導され、上記のサイトカインが放出され、全身性に影響が及びます。
以下に1例を紹介します。
●プードル6歳 ♂
ご覧の通り、人間の範疇を超えて恐ろしいほどにプラークと歯石が堆積しています。
●抜歯
飼い主さんから、食事を戴くときに食べにくそうにするとの訴えがありましたが、歯石が歯根に向かって侵入し、歯周靭帯を破壊し、歯茎に付着している部分が少なくなり、支持を失います。
●処置後
歯石、プラークを除去し、とても奇麗になりました。良く見ると(上の後ろ側の歯の歯肉の赤い部分)分りますが、歯の根が一部露出しているところがあります。これは、歯肉部における炎症により歯肉が萎縮後退してしまい、上記の歯肉ポケットへの歯石侵入と合わせて、歯が抜ける原因となります。
炎症は、いわゆる体に発生する「火災」です。その火を大きく広げないためにも、口腔内管理、主には歯石の予防、除去はとても大切な位置を占めます。また、合わせて適切な食事で歯石の再付着を予防し、適度な運動により体内脂肪を防ぐことが「小火」から「火事」への移行を防ぎます。