僧帽弁閉鎖不全症 [院長ブログ]
僧帽弁閉鎖不全とは、老齢小型犬に多く発生し、進行すると循環不全により肺水腫などを起こし死に至る病気です。左側の心臓の弁が変性を起こし、弁が閉鎖時にしっかりと閉まらなくなり、逆流を生じます。この悪循環により心臓の拡張が進み、咳、肺水腫、失神などが起こります。診断には、聴診、胸部レントゲン、超音波検査があります。
<レントゲン>
この例は、軽い咳が見られるチワワです。右が上から、下が横からの撮影で、心臓、動静脈、肺野を観察し、重症度を判定します。
軽度の心拡大が見らえます。
<超音波>
●長軸断面
この部位で弁の動き、形、そしてカラードップラーを乗せて逆流の有無をまずは確認します。
●左室流出路断面
大動脈と左心房の大きさを比較し、左心房の大きさをを数字で表します。
●短軸腱索断面
左心室の収縮能力を数字で表します。
●四腔断面
左側の弁から漏れ出る逆流を検査します。
赤と青と緑と黄色が入り混じり(モザイク)のが逆流です。
間違いなくこのケースでは、進行の時間差はありますが、心不全へ移行していきます。
●逆流量の測定
逆流に計測器をのせて速度を測定します。
●流速量の測定
左心房から左心室に向かう血流の速度を測定します。
心室の拡張する能力を観察する検査です。
以上の検査から、心臓薬を処方し、定期的な検査により処方回数、処方薬の調整を行います。早期診断、早期処方により寿命が長くなるので、小型犬では、7歳以上の定期検診は必須です。
早い段階で正しい診断を行い、処方を始めることが大切です!
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長〜い、リード。 [院長ブログ]
●リン 柴 1歳半
急患でした。
飼い主さんがリンちゃんを見つけた時には、口から「ゴカイ」がぶら下がっていたそうです。あわてて口の中を開けてみると針が唇にひっかかっていました。自身でトライされましたが、取れないし、痛がるしで急遽連絡が入りました。急ぎ麻酔をかけて、唇の針を取り出しました。レントゲンで確認しましたが、幸い針は口の中だけで、食道、胃にはありませんでした。
リンちゃんの散歩リードは、なんと6m!お父さんが「可哀相じゃけ〜そうするんよ。」お母さん曰く「お父さんのせいよ〜!」と可愛いリンを挟んでの反省会。
リードが短ければ食べる前に防げたかもしれません。これからは、せめて2m位のリードにしてもらいたいものです。
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そけいヘルニア [院長ブログ]
●ラン 6歳 ♀ ダックスフンド
生まれつき左の股が軽度に膨らんでいました。徐々に膨らみが大きくなり、2年前にそけい(股)ヘルニアと診断されました。しかし、食欲元気あり。なかなか飼い主さんは、手術に踏み切れないでいましたが、いよいよ目立って大きくなり、ようやく腰を上げることになりました。
●そけいヘルニア
左の股の部位は、通常小さな穴が開いていますが、その穴が大きすぎて、そこから腹腔内臓器などが飛び出す状態をヘルニアと呼びます。
●手術準備
今回は、避妊手術も希望されていましたので、避妊手術創からヘルニアも一緒に処置しようと考えました。
●膀胱脱出
ヘルニア輪(穴)がかなり大きかった(約7cm)為に腹腔内の膀胱、大網が大量に飛び出していました。皮膚の切開を一か所にしたかったので、アプローチがとても大変になりました。白い真ん中の餅様の脂肪の上が飛び出した膀胱です。
●術後
膨らんでいた穴がしっかりと塞がれ10日目、無事に抜糸に来られました。長きに渡りヘルニアで皮膚が膨らんでいたので、摩擦で皮膚の一部が変色しています。いずれこの色素沈着は、無くなると思います。毎年の定期的な身体検査では、毎回手術をお勧めしていましたが、このたび晴れて整復できたことで、飼い主さん、我々も安心することができました。めでたし、めでたし。















