広島県呉市「石崎動物病院」

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前十字靱帯断裂と膝蓋骨内方脱臼 [News]

●ジョン 9歳 ヨークシャテリア

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原因不明だが、「帰宅してみると足を着かなくなっていた」との主訴で広島から来院されました。鎮静をかけて検査をすると、前十字靱帯断裂が発見されました。

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●十字靱帯断裂
膝を切開している所です。ピンセットの下に小さく見える白い2つの点が断裂した前十字靱帯です。関節周囲に骨の増殖が見られ変形性の関節炎の存在が分ります。その異常増殖した骨をけずりとり、そして、断裂した靱帯組織を切除して洗浄を繰り返しました。

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●十字靱帯整復
膝の前方移動を抑制するために、膝の骨に穴を開け、小さな骨の下を通して固定します。この固定により前方への引き出す動きが無くなり安定します。

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●膝蓋骨内側脱臼
膝蓋骨とは、膝のお皿のことです。この膝蓋骨が先天的に内側に外れる状態を伴っていましたので、この際一緒に治すことにしました。膝蓋骨を受ける側の大腿骨の溝が浅かったので一旦軟骨を削り取り、溝を形成して再び戻しました。2番目の写真と比較すると、その溝が深くなっているのが分ります。飼い主さんの話によると、頻繁に脱臼して、その際には薬を飲んだら治っていたそうですが、この病気は手術をしなければ治りません。そして、薬を飲まなくとも自然に元の位置にもどるのです。小型犬では、先天的に内側脱臼を起こしているケースは山ほど居ます。しかし、日常生活に支障をきたす場合は多くありません。重症度により手術が必要な場合があります。

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●膝蓋骨内方脱臼整復
膝蓋骨靱帯とその付着する脛骨との軸のずれはありませんでした。補強処置として、膝の関節包の外側を重ね縫いして内側へのずれをさらに抑制しました。

●術後
術後7日目ぐらいから徐々に足先を着くようになりました。今回は、膝の内側脱臼も整復しましたので、術後かなり腫れがありました。自宅には他に2匹の仲間が待ち受けていますので、入院を少し長めにしていただきました。安静はさらに続き(8週間)ますが、大型犬ほどの厳重管理にはなりませんが、無理は禁物です。


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腫瘍摘出を急がなければならない理由 [News]

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●例)乳腺腫瘍
過去に何度か登場した乳腺腫瘍ですが、やはり他の腫瘍同様に高齢で発生が多く、我々の元に来た時には既に大きな塊を形成していることが常です。

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卵巣摘出とホルモン誘発性の悪性乳腺腫瘍の関係は、初回発情前では99.5%、1回目92%、2回目74%。それ以降(2.5歳)に対して効果なしと言われています。

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つまり、不妊術を行うのであれば2歳半までに。そして、同じ行うのであれば、最初の発情前(約6カ月未満)に受けることが効果的です。

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リンパ節と乳腺腫瘍


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●急ぐ理由
という訳で、肺への転移が見られる前に早期に摘出することが重要なことが分かります。年だからという理由で、いつまでも放置して最終的に大きくしてしまい、また、腫瘍が裂けてしまっ慌てふためいて駆け込むケースが多くあります。悪性腫瘍を大きくしてしまうと転移率が高まります。最終的に摘出するのであれば、安全な早い時期に切除することを心がけなければなりません。飼い主さんの決断が、大きく将来を左右します。

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●レントゲン検査
乳腺腫瘍に限らず、腫瘍を摘出する場合には、通常胸部のレントゲン撮影を行います。もし、レントゲン写真で転移像があれば、ほとんどのケースで手術を行いません。なぜならば、余命は数カ月です。残念ながら痛い思いをして腫瘍を摘出しても未来を望めないからです。

●早く見つけて素早く切除
若い時期に比べて高齢の手術では、当然リスクが高まります。肝臓障害、腎障害、心不全などが問題になりますが、術前の検査をしっかり受け、肝臓、腎臓、心臓に負担を軽減する麻酔薬を選択しながら手術をおこなえば、高齢だからと言って恐れる必要はありません。
腫瘍を大きくすればするほど手術時間を要し、危険性が高まります。小さな内に安全を確認して早期手術に臨むことがなによりです。

     年だからこそ、腫瘍の発生が増加するのです!
    年だからと諦めずに早い時期に対処すべきことを忘れずに!


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猫の鼻鏡部扁平上皮癌? [News]

●怪我と思っていました・・・・。

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1年前に鼻に怪我をして、舌でその傷を舐めるのでいつまでも治らないと思って1年が経過してしまったそうです。広島のかかりつけで2度レーザー処置をしていただきたようですが、一時的に良くなるも、直ぐに再び再発するので、舐めない様に舌を切断する話も出てきたそうです。

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●細胞診
鼻の細胞を調べていただいたそうですが、異常な細胞はなかったそうです。腫瘍細胞は、必ず採取されることはなく、腫瘍の上に乗った細胞を判断すると炎症と判断されることがあります。当院でも同じ検査を行いましたが、悪性細胞の発見はみられませんでした。しかし、1年間も傷が治らないのは異常であること、鼻の先端だけでなく周囲が膨らみ浸潤していること、高齢であることなどから悪性腫瘍を疑いました。

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●外科切除
いよいよ手術を決心され、鼻先を切除することになりました。確かに顔の印象が変わりますが、この先、鼻先の潰瘍化が進行(最近進みが早いそうです)するといずれ切除しなければならなくなります。また急がないと転移の心配があります。

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容貌は変わりますが、中身が変わる訳ではありません、私が言うまでもありませんが、今までと変わらぬ愛情を注いでいただきたいと思います。

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●病理検査
健康組織を含めて切除した鼻を各部位で完全切除が成されているか検査に出します。無事に切除されていることを祈ります。

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