あっ!と言う間のできごとでした・・・・。 [News]
●一瞬のことでした 15歳、プードル、ジンジャー
飼い主さんが愛犬を連れて散歩をしていると、柴犬と思われる飼い犬が近づいてきたのでした。その後、自宅に帰ると足に血液が付いてることに気づき、慌てて連れてこられました。病院では、既に足を上げていましたので、神経障害も考慮しました。しかし、自宅では足を着いて歩いていたとのことでしたから、その問題は除外しました。麻酔をかけ、毛刈りをして良くみると、飼い主さんも気がつかないままに、一瞬でよくここまで怪我をしたな〜と疑う程の酷い傷でした。数か所に排液チューブを装着して、大量の洗浄水で洗い流しました。
●ついでに
いつの間にか抜けてしまった上顎の犬歯の跡に穴が開いたままの状態が続いていました。時々見かけますが、くしゃみを頻繁にする場合には、口の中をよくみてください。この様に穴が空いたままになっていることがあります。
●粘膜フラップ(弁)
穴の周囲を綺麗な創に切開し直し、唇の粘膜を剥がして、空いた穴にかぶせて修復します。この際、余計な骨も一緒に削り形成を加えることもしばしばあります。
●粘膜フラップ2
唇で作成した弁をかぶせ縫合したところです。弁に緊張感があると術後再び弁が破れて穴が形成されてしまいます。弁の大きさと傷を新鮮創として縫合することがポイントです。
結局、残っていた3本の歯を全て抜歯することになりました。飼い主さんは、残して欲しかったそうですが、如何に言っても難しすぎます。今まで、食事の際に歯がぐらつき随分と痛かったと思います。食いつかれたことは、非常に残念でありますが、空きっぱなしの穴を埋め、ぐらついて痛みを発していた歯を抜けたことが何よりだったと思います。飼い主さんからすれば、こんな出来事でもないと、なかなか15歳の高齢者に麻酔をかける気にはならないそうです。
翌日からは、食事もしっかりと取り、食事が遅いと泣き叫ぶまで元気になりました。
さあ、明日は退院です!
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成長板早期閉鎖 [News]
●ケン 3か月 ♂ プロット
もともと、ケンちゃんはバベシア症(血液の寄生虫症)による溶血性貧血で来院され治療を開始。溶血が弱まりバベシア症が少し落ち着いたところで、飼い主さんから、少し足が変形してきているようだとの訴えがありました。
●骨端板早期閉鎖症
この病気は、骨の成長段階で発育が止まる状態です。前肢(肘から下)後肢(膝から下)は、2本の骨で構成されていて、その一方の成長部(骨端線)が障害を受けて肢の変形を生じる病気です。一番多い部分が尺骨の遠位部分と言われています。
●バベシア症
ケンちゃんの貧血は依然と比べ、ずいぶん良くなりましたが、まだ正常値ではなく油断はできません。バベシア症は、完治させることができないため、免疫を低下させない様管理することが大切です。もう少し貧血が落ち着いたら、尺骨の部分切除を行う予定ですが、手術のストレスが心配です。
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口腔衛生の重要性 [News]
●歯周疾患は、全身性合併症(心臓、肺、腎臓病変)を起こすことがある侮れない病気です。歯石が蓄積するとそこに大量の細菌が繁殖します。その細菌が血液に乗って全身の組織へ運ばれ、心内膜炎、腎盂腎炎、慢性気管支炎などの原因になります。
●慢性気管支炎
犬の慢性気管支炎は、末端の気管分枝の平滑筋が肥厚して肺胞の空気が出せなくなる状態を言います。慢性となると完治はできず、生活の質を向上させる治療になります。
この原因の一つに、歯周病が関連していると言われています。口腔内の細菌が、血行に乗り肺へ、また、口腔内から直接肺へ感染する経路が考えられます。
●歯石の形成
歯垢が付着し、唾液中のカルシュウムとリンがにより歯石が形成されます。歯石形成により歯肉炎により歯ぐきが後退、歯石が接触する口腔粘膜の潰瘍化が起こります。歯垢には多くの細菌が含まれ、歯肉炎を進行させます。
●歯の管理
上記の状態に進まない様にするには、食事と歯磨きです。当院は、基本的に生食を勧めていますが、40%の方はドライフードと缶を食されています。生にすると生に含まれる酵素の作用で歯石が形成されにくくなりますが、それでも、食後の歯磨きが理想的です。
●口腔衛生の重要性
上記の内容より歯垢による細菌感染、その炎症による歯肉炎、歯肉炎による痛み、歯垢から歯石の蓄積、そして、歯肉縁下に歯石が入り込み歯の脱落と悪いことばかり起こります。できるだけ早い対応が必要です。
●まずは、我が家の動物の口の中を直ぐに覗いて見てください!