広島県呉市「石崎動物病院」

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胃捻転 [News]

●クロ 12歳 ♀
昨日行方不明になり、帰宅後から「食欲、元気なく。えずく、お腹が大きい。」ことが気になって連れてこられました。
身体検査と超音波検査により、腹部に多量のガスと液体が溜まっていることに注目しました。半ば胃捻転を疑い、急ぎ麻酔をかけ、ガスを抜くことを試みました。しかし、チューブ挿入が困難なことから捻転を強く疑い、緊急で開腹することにしました。

●胃捻転
胃捻転とは、胃内にガスが急激に溜まり、胃が捻じれてしまうことで、胃と脾臓の血液供給が停止し、時間経過と共に壊死が進行します。このケースも胃の一部に血行障害が見られ下の写真のとおり色が黒く変化していました。幸い脾臓捻転の併発はありませんでした。
原因は、大型犬(特にグレートデン、ドーベル、シェパード)
に多く食後すぐに運動すると発生すると言われています。クロちゃんも食事を食べさせてから、直ぐに散歩へ出かける毎日だったそうです。

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変色した胃の一部

●ループ形成1
胃の一部を切断して胃の表面のしょう膜紐を利用して紐を形成します。

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●ループ形成2
形成した紐を腹壁へ通し、再度胃が捻じれることが無いように予防的処置を施します。

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●クロちゃんの予後
術後、徐々に状態が上向いてきています。炎症状態が継続しているのが気にかかる所です。本人の外観は、食欲は落ちていますが、動きは通常に近づいています。後3日ほどで退院の予定です。早期発見で救命できました。

下は術後2日目のクロです。
元気になりましたが、もう少し入院いただきます。

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●自宅でできること
胃捻転は、早期発見が鍵です、以下に注意しましょう!
お腹にガスが過剰に溜まった時には、胃のあたりを指でたたくと「ぽんぽん」と音を発します。同時に嘔吐があったり、落ち着きが無くなります。そして、時間経過とともに呼吸が速くなり、よだれ、不整脈の発生が見られます。
中型,大型犬に発生を認めます。


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猫の気胸 [News]

●クロ、日本猫、14歳
今朝喧嘩をし、食欲が無い、足に怪我をしたとのこで来院されました。著しく痩せていることから急性疾患で無いことが分かります。呼吸も速く、重い状況からレントゲン撮影を行いました。

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●気胸
胸に空気が溜まり、肺が委縮した状態を言います。原因は、肺、気管、胸壁が何らかの原因(外傷、腫瘍、嚢胞など)により破裂することで生じます。
□レントゲン写真では、心臓が変異し、肺が萎縮して中央部に集まっているのが分かります。

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クロちゃんの場合、喧嘩によりなんらかの大きな外傷が胸に加わったのか、以前から病変が潜在的に存在していたのかは分りませんが、上記の通り慢性の可能性があることを示唆します。処置は、まずは胸腔チューブを装着し、貯留した空気を抜くことです。

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●血胸
数日後からは、空気に変わり液体が溜まる様になりました。再度、カテーテルを装着して調べると、内容は血液でした。
この血液を調べると、成分内には腫瘍細胞と思われるものも発見されました。

●今後
クロちゃんの年齢を考えると、最終診断に侵襲的な開胸手術を行って原因を追究し処置することが、果たして適切であるか迷うところです。この点を飼い主さんとじっくり話し合い、今後の処置を煮詰めていきたいと思います。

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肝膿瘍と肝葉切除 [News]

●ラブラドル、14歳、メス
食欲はあるが、熱が持続し、けだるい状況が続くとの主訴で紹介を戴きました。超音波検査で肝臓内の嚢胞を確認。血液データーは、驚くほどの異常はありませんでした。距離的な問題があるので、血液培養の結果がでる数日間、紹介戴いた病院へ戻り通っていただくことにしました。

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●緊急手術
「急にお腹が大きくなり、膿が溜まり腹膜炎になっているようだ!」と報告を受け、再来院いただき緊急手術になりました。お腹の中は膿瘍が割け著しい腹膜炎を発していました。大量の膿を吸引し、嚢胞に癒着した胃、大網を慎重に剥がしながら左側の肝臓を切除しました。

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●術後
点滴、徹底した疼痛管理、胸腔チューブによる持続吸引などの集中治療を行いましたが、残念ながら術後4日目で力及ばず亡くなりました・・・・大変残念です。数日後の血液培養検査では、サルモネラ菌による敗血症であったことが分りました。肝膿瘍自体、多い病気ではありません、また、肝臓は沈黙の臓器と呼ばれるように、ぎりぎりまで症状が分りません、定期的な腹部超音波検査を受けていれば、早い段階で検出できたと思うと悔しいです。
<病理検査結果>検査結果は、肝膿瘍の形成を伴う、高分化型肝細胞癌で、腫瘍切除は完全でした。

皆さん!腹部超音波検査(特に7歳を越えたら)を定期的に受診しましょう!


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