広島県呉市「石崎動物病院」

動物に優しく思いやりのある診療をモットーに

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胃切開と空腸カテーテル [News]

●ヨークシャテリア、10歳、1.85kg、♀

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●稟告
10日前から嘔吐、下痢をして近くの獣医さんで診察してもらい、甲状腺機能減退症と診断されたそうですが、下痢は止まったものの、嘔吐が散発すると来院されました。

当院の診察では、口腔内の乾燥と皮膚の弾力性の低下から中程度の脱水。陰部が腫大し、乳汁がでることより卵巣の異常が考えられること。尿検査でケトン(3+)があることから長期?の栄養不全が考えられること。嘔吐が続いているので、消化器疾患を疑って、先ずは超音波検査を行うことにしました。そして、いきなり目に飛び込んできたのは「胃の中の変な異物!」でした。

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●胃切開
先ずは内視鏡と考えましたが、超音波検査にてたくさんの異物を発見しましたので、患者の全身状態を考慮して、時間が短い、開腹による異物摘出を選択しました。胃を出してみると大きく膨れ上がり、間違いなく異物が入っていることが想像されました。

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●胃潰瘍
「レンコン出るわ、出るわ!」異物となったのは、たくさんのレンコンでした。また、レンコンが長期に存在していたために、深い胃潰瘍が数か所形成されていました。

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●空腸カテーテル
胃潰瘍が多数あるので、胃をしばらく休ませる事にしました。胃→十二指腸の次にある空腸にカテーテルを装着して、そこから栄養補給を行います。右下のカテーテルは、腹壁を通過して空腸に固定されています。

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●卵巣、子宮摘出
手術前の超音波検査で卵巣、子宮の異常は分かっていましたので、胃切開と同時に摘出術を行いました。写真の通り大きく膨らんだ子宮と拡大した卵巣が見えます。

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●回収品
小さな体からレンコン出ること14枚。飼い主さんは全く身に覚えがないとのことですが、現実に胃には満タンのレンコンが全く消化されずに詰まっていたのでした。2kg未満の小さな体に、5p大のレンコン群を飲み込んで大変なことになったのでした。

<教訓> 
人は「レンコンは良く咬んで食べましょう!」
動物は「レンコンをあげたい時には、小さく切って与えましょう!」

●その後
順調に経過して帰宅する予定でしたが、嘔吐と下痢と低血糖が発生し、さらなる検討を加えることになりました。副腎皮質機能減退症、急性膵炎、膵外分泌不全の検査を行いましたがいずれも結果は「白」でした。今日は、低血糖の管理のための点滴を外すことができました。空腸カテーテルからではなく口から食べれるようになり嘔吐も無くなりました。後は下痢から軟便に改善しつつある症状が改善されれば、待ちわびる飼い主さんの元に帰れます。来週頭には帰れそうです、今しばらくお待ちください!そうそう、記載漏れしましたが、脾臓、膵臓、腸から肝臓へ流れる血管異常である門脈シャントの疑いが残っていますので、次回の来院時に検査したいと思います。

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再)犬の肛門腺腫の処置 [News]

●ノア 8歳 ♂ シーズー

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飼い主さん曰く
「2年前から痔の存在は分かっていたが、気にしてなかった。」「最近、特にひどくなったので薬が欲しい」と来院されました。

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●肛門周囲線種
肛門周囲線腫とは、肛門周囲に発生する腫瘍です。処置は、外科的切除か凍結手術です。痔でないことを説明しました。肛門周囲腺種には、両性、悪性とありますが、今回、飼い主さんは凍結のみを希望されました。

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●凍結処置
全部で3か所の大きな腫瘍でした。
右上の物は大きな穴が開き、液体が産出しています。肛門括約筋は、半分まで切除できますが、3/4に発生が見られます。括約筋を傷つけないように処置することがポイントになります。

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●処置後
処置後、それぞれにやや腫れが見られます。これから凍結部分が溶解壊死し、脱落していきます。しっかりと説明していても、溶解の著しい時期には、このままどうなるのかと不安な状態に陥ります。

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●術後3週間
今回も十分説明させていただきましたが、飼い主さんは不安になり、こんな処置やらなければよかったと怒り、来院されなくなってしまいました。しかし、3週間後には、腫瘍がすっかり脱落し、病巣も修復され、満面の笑みで来院されました。飼い主さん曰く「やっぱり、やって良かった、良かった!」・・・・(笑)。私は聞こえない小さな声でそっと呟く「勘弁してくださいよ〜。だから絵まで書いて説明したでしょー!」と・・・・。

●飼い主さんへ
凍結手術は、組織(腫瘍)を溶解壊死させる方法です。一時期「ドロドロ、ぐちゃぐちゃ」になることをご理解の上、処置を了解、同意ください。

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●追加 45日後
すっかり綺麗になった肛門です。その後の腫瘤の発生も見られず、この度は件は、3か月後の予約を入れて、これにて終了です。お疲れ様ですた!

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ノアちゃんも、散髪へ行って顔も肛門も綺麗になって、きっと満足していることでしょう〜!???(笑)


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高齢犬の膣にできた腫瘤 [News]

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●15歳 雑種 ♀
「乳腺腫瘍が裂けた!」と山口県からいらっしゃいました。
よく見ると、乳腺腫瘍ではなく、陰部から腫瘍が頭を出している状況でした。急ぎ、一般状態を検査して手術可能かを検討しました。

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●腫瘍摘出
身体検査、血液検査、胸部レントゲンをクリアーして、手術に進みました。飛び出した腫瘤は、陰部の入り口を大きく塞ぐ形で位置していました。この部分の腫瘍は、なかなか大きくなって外に顔を出す様にならないとみつかりません。病理検査を待ちますが、たぶん平滑筋腫だと思います。そして、超音波検査で発見した子宮と卵巣の異常から、そちらも一緒に手術をすることにしました。

●異常な卵巣と子宮も摘出

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大きく膨らみところどころ結節状になった子宮、そして、大きく変化した卵巣を腹腔鏡を用いてで取り出しました。
半年前には、下に見える乳腺切除の相談にこられたのですが、高齢(15歳)故に手術を躊躇されていたのが、今回の事態で考える余地もなく麻酔、手術へと相成りました。
半年前と比べると乳腺腫瘍の数は確実に増えました。今回は年齢と手術時間を考慮して、先ずは今問題の膣の腫瘍と異常な子宮と卵巣を取ることで一旦終了しました。

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この傷が癒えてから、乳腺切除を検討するようにお伝えするつもりですが、たぶん一旦この状態が良くなり元気になれば、腫瘍が裂けない限り今後の手術はされないような気がします。15歳といえども、様子を見れば見るほど年を重ねリスクが増加します。前向きに速やかに切除されることをお勧めします。

●高齢になると
10歳を越えると、飼い主さんはもう歳だからと手術を躊躇してしまいます。しかし、早い段階で手術を行うことで簡単に解決できる問題を数年悩み待つことにより、さらに大きくしてしまい、さらに年齢を重ねた別の問題を発症(心臓、腎臓など)させてからの悪い状況下での手術になってしまいます。
お気持ちは分かりますが、状況に合わせてアドバイスさせていただきますので、まずは早期に相談をお願いします。


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