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犬 胆嚢粘液嚢腫 [院長ブログ]
●シェルティ 13歳 コリー ♂
主訴は、交通事故に遭遇。それ以降、食事を採れなくなりました。喉頭に問題が原因であることはわかりました、検査の一つである超音波検査の際に今回の「粘液嚢腫」が発見されました。
●粘液嚢腫
粘液嚢腫とは、胆嚢内に粘液が蓄積し、胆嚢が拡張する病気です。特徴的所見は、周囲の胆嚢壁の粘膜から内側に育ってくるために「キューイフルーツ様」に見えることです。老犬に多く、コレステロールの代謝異常による高脂血症とも言われます。特にミニチュアシュナウザー、シェットランドは先天性の脂質代謝異常があると言われる犬種です。しかし、明らかな病因は不明です。
症状がある胆嚢粘液嚢腫は、外科的摘出を行います。
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犬の大動脈血栓塞栓症 [院長ブログ]
●突然の事でした・・・・。
柴、14歳、♂、大(だい)
突然、後ろ足が立たなくなり来院されました。少し前からきになっていたそうです。足先を摘まんでも痛みを示しません。我々が良く遭遇するのは、椎間板ヘルニアによる神経圧迫です。まず、その病気を一番に疑いました。しかし、突然でありながら筋肉の硬結と腹部の緊張感もありません。落ち着きがなくかなり痛がっている様子です。
触診を進めると後ろ足の足先が冷たく、爪の色が悪いことに気がつきました。股の動脈を触ると左は弱く、右は感じません。念のために爪を切断しましたが出血しません。
●原因
太い大きな血管に血栓が閉塞する状態を大動脈血栓塞栓症と言います。猫では心筋症で最も多く認められますが、犬では副腎皮質機能亢進症、腫瘍、敗血症、蛋白喪失性腎症などが考えられます。
●治療
血栓溶解剤と抗凝固剤を使用し、血液を固まりにくくします。そのモニターとして活性トロンボプラスチン時間を2倍程度に延長させながら調整していきます。
●経過
3度閉塞を繰り返しましたが、現在は、皮温ももどり、歩行もほぼ通常通りになりました。上記の検査を定期的に観察する必要があります。そして、これから原因追究を行います。
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猫の膿胸 [院長ブログ]
●ボブ11歳ヒマラヤン♀
2日前から食事を食べないとの主訴でした。そして、10日前にビニール袋を食べた形跡があったとのことです。飼い主さんのお話と状況が食い違うところがありましたので、翌日に検査をさせていただきました。
●膿胸とは、胸に膿が溜まってしまう病気です。原因は喧嘩による深い咬み傷によるものが最も多いと言われます。このレントゲン写真は、胸腔に膿がいっぱい溜まった状況が見られます。空気の入った肺は、右側に僅かに見られるのみです。
●胸腔貯留液の検査
ボブちゃんは外に出ませんので喧嘩が原因とは思えません。膿胸は潜在性で末期になるまで症状が分らないので重篤になって見つかることがほとんどです。まずは、膿胸か胸水かを鑑別するために試験的穿刺を行いました。
●処置
処置は、胸に廃液用のチューブを設置し、そこから膿を抜くことを一日数回繰り返します。そして、膿が抜けなくなった時点でチューブを抜き去ります。今回のケースは、かなり体重が落ち痩せていましたので、直ぐに栄養を補う為に食道カテーテルを首に装着しました。
●膿の培養、同定
左右の胸から抜けた膿です。採取した膿は、遠心分離をかけその沈査をグラム染色とライトギムザ染色を行い細菌を大まかに絞り、抗生剤を選択し投与を開始します。同時に検査機関へ培養を依頼し、菌の正式な同定を待ちます。猫で分離される細菌は、Pasturella multocidaやBacteroides sppなどの口腔内常在菌が最も多いと言われます。この間約7日間の待ちですが、もう少し短くならないかとイライラする時間帯です。
●考察
今回のケースは、5日間でチューブが抜けました。
食欲も旺盛になり、見違えるようになりました。麻酔時に心臓を検査した時に逆流症も見つかり、前向きに考えれば新たな発見があり良かったのかも知れません。








