広島県呉市「石崎動物病院」

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猫の膵炎 [News]

●トラ次郎 ♂ 9歳 日本猫

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「7日前から後ろ足の機能障害(着きたがらない)がある、また、同時期に軟便、そして、以前より腎臓が悪いと言われた!」と島根県の北部から3時間を要して来て戴きました。
身体検査では、問題の後ろ足は若干過重しにくい状況ですが、痛がっている様子はありません。遠方ですので、次回の来院の大変さを考慮して、鎮静下でレントゲン検査、その他をさせていただくことにしました。

●腎臓生検
超音波検査で腎臓の腫大と腎皮質の高いエコー性があったため、穿刺検査を行いまいました。猫ちゃんはリンパ腫が多いので腎臓の腫大があった場合には検査をお勧めします。
これは、尿細管上皮細胞で正常です。

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●レントゲン検査
まずは、犬で多い前十時靭帯断裂を疑って、検査をしてみると、前方へ移動するサインが出ました!このサインが出現するとまず間違いはありません。他の異常も考慮して足先から骨盤まで撮影しましたが、特に異常なし。ということで、後ろ足は「前十字靭帯断裂」と診断しました。

●超音波検査
猫の膵炎は特徴症状がないので、例え軟便だけの症状でも腹部超音波を行うことにしています。検査を行うと、膵炎らしき映像が見つかりました。確認のために膵臓の特殊検査(膵リパーゼ免疫活性)を追加しました。ちなみに超音波検査の猫における感度は高くとも67%と言われます。

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●結論
足は「十字靭帯断裂」膵臓は「膵炎」でした。猫の膵炎は犬の様に、特異的な症状がなく、診断がとても難しいと言われます。超音波検査像で膵臓の存在が明確になれば、膵炎を強く疑いたくなります、そして、免疫活性が高ければ膵炎を仮診断しても良いと思います。
トラちゃんは、すっかり軟便もおさまり、2度目の免疫活性も低下し状態は落ち着きました。

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急性膵炎による胆管閉塞 [News]

●主訴
「食欲低下。数回の嘔吐、下痢は無し。」で来院されました。血液検査では、重度の黄疸がありましたが、溶血、貧血はなし。肝酵素、C‐反応性タンパクの著しい上昇がありました。黄疸の鑑別をするために、肝臓、胆嚢の状況を次の超音波検査で調べることにしました。

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●胆管閉塞
胆嚢と、大きく拡張し蛇行した胆管が異常を示しました。この状況は、胆石、腫瘍、膵炎などのよる閉塞が考えられます。

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●膵臓
12指腸の下側に見えるのが膵臓です。著しい炎症像は感じられませんが、黒く見える部分は組織壊死の可能性があります。膵炎の特異検査の提出を急ぎました。結果は、急性膵炎強陽性でした。これより、炎症を抑える点滴療法と食事療法を開始しました。

5日間は、黄疸が改善せず炎症の数値も高値でしたが、6日目からは改善傾向になりました。

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●まとめ
急性膵炎の特徴所見は、上腹部の痛み、消化器症状(下痢、嘔吐)です。今回は、消化器症状はほとんどなく、数日間の食欲不振でした。常に教科書通りに病気が出現する訳ではないことを認識し、広い視野で病気を絞り込んでいかなければなりません。(だから大変なんですね〜!)

8日後のロッキーちゃんです。見た目の黄疸は無くなり、食欲も通常通りになりました。3日後の退院を楽しみにしています♪。


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慢性嘔吐/幽門狭窄 [News]

●メグ 6歳 ♀ シーズmix

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他の獣医さんから依頼いただいたケースでした。主訴は「4〜5か月前から時々嘔吐する」「最近は、食事後4−5日してくるとお腹がはって嘔吐する」「元気はあるが痩せてきた」でした。

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●レントゲン撮影
先ずは、お腹のレントゲンを撮影して吃驚しました!
胃が著しく拡張し、お腹全域を占有し、膀胱の手前まで広がりを見せていました。

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●著しい食塊
麻酔をかけて内視鏡検査をする前に食塊の処置を行いました。数日間の食事が堆積していたと思います。15時間以上の絶食をしていたのにかかわらず、大量のドックフードが残っていました。食事が胃に残っていると内視鏡検査の視野が妨げられるので、胃洗浄を繰り返すことになりました。なんとその間、1時間!

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●超音波検査
胃のガスと食塊を除去した後に再度超音波検査を行いまいした。胃の幽門部(胃の出口)が著しく肥厚しているのがわかりました。

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●消化管内視鏡
超音波検査通り、幽門部に肥厚が見られました。10か所の組織を採取して、病理検査へ提出しました。超音波検査では、胃の周囲のリンパ節の腫大がありましたので、悪性腫瘍の可能性を疑っています。なんとかこの状況を解決できるようにしなければなりません。

●病理結果
診断は、悪性腫瘍を疑う所見はなく、重度、形質細胞、リンパ球性、好酸球性、カタール性胃炎でした。抗炎症治療を早速はじめ、食事の検討を行います。まずは、悪性腫瘍でなく、よかった、よかった!


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