自己免疫性溶血性貧血 [飼い主さん感想文]
初めは近所の病院へ通っていました。動物病院の良し悪しなど,よく分からずに言われるがままに診察を受け,治療費を払っていました。ふとしたことから,人間と同じで,犬であっても飼い主のわたしが納得できる治療を受けさせたいと思ってネットで探し,石崎先生に巡り会いました。遠くから通えるかなと思ったけど,もっと遠くからいらしている患者さんもいると聞き,伺ってみることにしました。
初診日は,ミシェルは「おそれ」で,震えていました。先生は「今日は診察はしないよ。仲良くならなくちゃ。」と,ボイルささ身をミシェルに与えながら撫でてくださり,優しくさわりながらの身体検査のみでした。それはわたしの心に,お医者様としての基本を教えてもらった,忘れられない出会いの日となりました。
それから2年後,突然「自己免疫性溶血性貧血」になったとき,迷うことなく石崎動物病院に連れて行きました。病名を聞き,死を覚悟しながらも,心のどこかで冷静に納得できていたのは,先生方への信頼感があったからだと思います。
年末の入院,お正月をはさんでの通院。二度と会えないかもしれないと思いながら祈る気持ちでミシェルを預けました。毎日の血液検査と微妙な薬の調整は,一つ間違えば最悪の状態になってもおかしくないと思うほどのすばらしい治療だったのだと,あとから考えても感謝の気持ちでいっぱいです。
一生薬を飲み続けなければならないかもと言われていましたが,奇跡的に完治しました。「今日で治療は終わり」という日には,見送ってくださる佐々木先生の目も光るものがあり,わたしも涙が出ました。命の恩人です。ミシェルの生きる力もあったと思いますが,生かせてくださったのは,先生方のおかげです。
救ってくださった命を大切に,これからも家族としての日々を過ごします。あまり通わないほうがいいのでしょうが,今後ともよろしくお願いいたします。
廿日市 ミシェルの母
犬の大静脈症候群 [News]
●ラブラドル、小麦、6歳
主訴は前日からの咳、そして突然の元気、食欲の消失でした。身体検査では、呼吸速迫、粘膜蒼白が明らかでした。
●超音波像
血液検査(溶血)、心雑音、超音波による右心房、右心室間における虫体の確認により大静脈症候群(Venae cavae syndrome)と診断しました。大静脈症候群は、フィラリア虫体が本来寄生する肺動脈から右心室へ移動することで、急性の循環不全と溶血が生じる病気です。この場合、できるだけ速やかに手術を行い、閉塞しているフィラリア虫体を摘出しなければなりません。
●緊急手術
心臓に負担のかからない鎮静、麻酔薬を選択し、強心薬を点滴しながら手術の準備を進めました。
●フィラリア(犬糸状虫)の摘出
頚の静脈を切開して、頚静脈経由で右心房まで鉗子を挿入し、虫をつかんで引っ張り出す作業を繰り返します。できるだけこの手技の回数が少ないほど血管、心臓へのダメージが少なくなるので、一度に沢山の虫を把持することが肝要です。しかし、虫同士が絡んでいると出にくいこともしばしばあります。
●犬糸状虫
最後に超音波検査と心音の変化を聞き取り虫体の有無を確認して手術を終わりました。総数31、♂8、♀23隻でした。
ちなみに、オスは小さくて細く15p程でメスの半分ほどの体長しかありません。
●予防が何より!
ご存じの通り、フィラリア症は予防薬を正しく確実に投与すことで100%管理できます。小麦ちゃんの場合は、愛護センターから譲り受けた経緯があり、飼い主が居ない空白の期間に濃厚に感染した可能性がありました。
完全に予防できる病気を管理するのは飼い主の務めです。毎年の薬を忘れることなく正しい期間投与することが何より大切です。手術、あるいは慢性心肺疾患、肝不全に陥ることを事前に防ぎましょう!
猫の耳血腫 [News]
●耳血腫
原因は外耳炎により、耳を振ることで耳の血管に異常がおこり発生すると言われますが、外耳に問題が無い場合でも発生が起こります。ということは、原因がはっきりしていないと言えます。ちなみにこのケースは、耳にダニが多数寄生していました。
●ミケ、5歳、♀、三毛猫
「耳が腫れている」と連れてこられました。
先ずは局所麻酔を施し、針で中に貯留した液体を抜きました。
●切開、清浄
膨らんだ耳の内側の皮膚および軟骨を切開し、洗浄と線維塊を除去しました。
●縫合
スペースができた隙間を埋めるために縫合糸で上下に縫い合わせます。色々な方法が報告されていますが、この古典的な方法は確実に治癒し、術後に耳の萎縮がおこりません。