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犬の前十字靭帯部分断裂と内方脱臼 [院長ブログ]
●柴犬 6歳 ♂
「3ヶ月前から散歩は通常通りするが、後ろ肢を気にしている」と来院されました。身体検査では、軽度の肥満と左膝の若干の不安定感と膝蓋骨が内側へ脱臼する異常がありました。
●レントゲン写真
慢性経過故に無麻酔の触診で判断することが難しく、麻酔下で触診および負荷をかけたレントゲン撮影を行いました。前十字靭帯が断裂あるいは部分断裂の発生があると、脛骨の前方への滑り出しが生じ、関節包の形に変化が起こります。
患肢側が脛骨が前方へ僅かに滑り出し、関節内の脂肪の映像が変化しています。
●部分断裂した前十字靭帯
レントゲンで靭帯の異常を確認できたので手術を行いました。手術までの待機期間に減量をお願いしましたが、ほとんど達成できませんでした(笑)。関節胞を開放すると十字靭帯は完全断裂ではなく80%断裂しているのが分かりました。
●滑車溝形成
慢性炎症により生じた骨棘を除去して滑車溝の形成を行いました。
●関節外固定
関節を大量の生理食塩水で洗浄し、太い固定糸で脛骨粗面に開けた穴と種子骨を結びました。この固定が十字靭帯の代わりとなり脛骨の前方移動を抑制します。
●関節重層縫合と解放
内方へ引っ張られる力を削減するために関節周囲の組織を重ね縫いし、内側の関節包を開放し閉じました。
●術後
7日間はバンテージの固定をおこない、最低限8週間はリードを付けて短時間の散歩のみにします。その後、12週まで徐々に散歩を増やし、それ以降は従来の活動にもどしてもらいます。
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小型犬の前腕骨遠位端骨折 [院長ブログ]
●チョコ プードル ♀
先日、膝蓋骨脱臼の相談に来院されたのもつかの間、「足を着かないのです」と連絡が入りました。見るからに骨折を疑いレントゲンを撮影しました。
●レントゲン写真
予想通り橈骨、尺骨の遠位部分で骨折が見られました。
まずは、痛みと腫れを抑え、ズレて変位している骨を整復するためにギブス包帯を行いました。
●円形創外固定器
数日後に手術を行いました。選択肢は、プレート、リニア型、ハイブリット型、円形型創外固定がありますが、骨折端にスぺースが無く細いので今回はリング状の創外固定器を選択しました。
●術後
術後数日は、軟部組織あ腫れますが、足は既に着地できるまでになっています。定期的なピンの刺入部の観察とネジの緩みのチェックに来院いただく予定です。
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犬の脛骨、腓骨骨折と耳血腫 [院長ブログ]
●もも 柴 ♀ 7ヶ月
「帰宅したら足を挙げていた」主訴で来院されました。触診、視診で明らかに骨折を疑いました。鎮静を施して、レントゲン撮影を行いました。

術後写真
●患肢(横)
下肢を構成する脛骨、腓骨共に骨折していました。
●患肢(縦)
●手術
手術の選択肢は、@開放してプレートを装着するA骨折部位には触れず創外固定を行うB骨折部位を修復して創外固定を行うなどの方法がありますが、飼い主さんと年齢、費用、性格などを含めて相談の上、Aの方法を取ることにしました。
●術後
2本を固定した時点でできるだけ上下の関節アライメントを合わせ、4本のピンを挿入し固定しました。年齢が若いので1ヶ月過ぎには、ピンを外せると思います。手術翌日からは、患肢を着地して歩くようになりました。
●耳血腫
耳も痛がると訴えがありました。僅かな腫れでしたので分かりにくかったですが、軟骨と皮膚の間に血漿液が溜まる左右の耳血腫であることが判明しました。
●術後
膨らんでいる部分の皮膚を3mmのパンチで穴を開けて固定しました。
●10日後
●60日後の患肢
「すごく元気で走って困りますー!」と嬉しい悲鳴を聞きしました。来週のレントゲン撮影後に装具を外す予定です、散歩は良いのですがどうか足を引っ掛け無い様に注意して欲しいものです。




















