犬の脛骨粗面の骨折 [News]
●日本犬 ロック 9ヵ月 ♂
車に跳ねられ後足を着かなくなったそうです。
飼い主さんは、足先である指を踏まれた
と思っていましたが、まずはレントゲンで確認を行いました。
●レントゲン写真
左後ろ足の膝に近い部分で骨折がありました。この部位(成長板)は成長期における発育に大切な場所でもあり、特に強度が弱いので骨折しやすくなります。
まだ骨が成長する時期(10〜12ヵ月)ですので、成長板へのピンの刺入は
避け2本のピンを使用しました。
●抜糸後のギブス処置(術後10日目)
抜糸の際に、初回のハードなギブスから軽いタイプに変更しました。
骨折の場所がきわどい場所です、
さらに2週間ほどギブスでサポートを行う予定です。
犬の膀胱結石と腎盂腎炎 [News]
●ショコラ チワワ 8歳 ♀
「時々、血や泥っとしたものが尿に混ざる」主訴でした。
血液検査では、白血球、CRP(急性炎症の指標)増加、
肝酵素の軽度増加がありました。
子宮が残っている(不妊手術未)ことで、
中年以降に多い子宮蓄膿症も視野に入れてレントゲンと超音波検査へ進みました。
●レントゲン写真
膀胱に白く丸く塊状に見えるのが結石です。
相当な数が予想されます。
●超音波所見(尿管)
通常は、超音波では見えない尿管が著しく拡張(>1cm)していました。

●超音波所見(卵巣)
通常見られない卵巣の異常が見られました。

●超音波所見(腎盂、尿管)
拡大した尿管(緑⇒)に続き、拡張した腎盂(黄色⇒】が見られました。
●超音波所見(膀胱)
通常の膀胱所見が見当たらないません、これは、レントゲン所見同様に相当な結石が存在している可能性があります。
●手術
余りにも結石が多いため、腹腔鏡を使用せずに通常の正中切開し、続いて膀胱切開を行いました。膀胱は慢性膀胱炎の影響でかなりの肥厚がみられました。尿管部分がはっきりと分かるぐらいに拡張、肥厚していました(黄色⇒)。
子宮も異常が有ったため、併せて摘出しました。
●摘出した膀胱結石
「な、な、な、なんと!」
膀胱内にぎっしりと詰まった結石です。
今回のケースは、結石の充満で膀胱内にスベースがなくなり圧が高まり、2次的に尿管が拡張し、続いて腎盂が拡張してしまいました。
●予後
現在は尿毒症改善のために血管からの点滴を継続中です。
ボロボロになった泌尿器系と感染がどこまで正常に戻るかが鍵ですが、13日目でほぼ正常の数値に復しました。まだまだ油断ができませんが、周波数療法と漢方薬を併せて治療を進めていきます。
犬の脛骨骨折 [News]
●クマ シェルティ 約6ヵ月 ♂
「他の犬と遊んでいて骨折した!」と他院の先生よりご紹介いただきました。
●レントゲン写真と手術
術前に手術計画を立てます。
@髄内ピン(骨の中にピンを通す方法)
Aプレート固定
B創外固定
今回は「若齢でそれほど強固な固定が必要ではない」理由から創外固定を選択しました。
●手術準備
手術部位の毛刈りを行い、足先を天井よりロープでつるしてポジションをキープし完全滅菌で行います。
肢軸を調整して2本目のピンを刺入しました。
レントゲン写真でも、軸の矯正により骨折端が近づいているのが分かります。
●手術終了時
創外固定は、骨を貫通したピンを外部で固定する方法です。
出ているピンの周辺からのさん出液を吸収させるためにガーゼで被い毎日交換します。そして、4日目以降は、7日に一度の交換処置に移行します。
●予後
手術翌日から、骨折部の固定により軽く足を着地できるようになりました。
若齢で治りが早いので1か月後に器具を除去する予定です。
●1ヶ月後
レントゲンで骨の状態を確認しピンを抜きました。
既に歩き回って調子が良いのでこれで終了です。