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手榴弾装着 [院長ブログ]
●サクラ 9歳 シーズー ♀
お馴染みの乳腺腫瘍摘出ですが、今回は、爆弾装備についての質問がありましたので説明を加えました。
サクラの場合、毎年、卵巣、子宮摘出の相談を受けていましたが、飼い主さんが迷ううちに、腫瘍抑制時期をとうに過ぎてしまいました。今回この様に乳腺腫瘤(病理検査前なので、悪性、良性の鑑別がつかないためこう呼ぶ)が多発したため、ようやく手術の決心がついたそうです。それほど大きな腫瘤でないために、局所切除も一案ですが、上から下まで広範囲に多発しているため、片側全切除を行うことにしました。
●手榴弾1
最大の目的は、乳腺組織の完全切除です。よって、かなり広範囲に術傷が広がります。そして、切開創の特にソケイ部(股の部分)に大きな空間ができてしまいます。その空間を放置しておくと、そこに大量の血液成分が貯留してしまい回復に時間を要します。その貯留液を無菌的に回収するのが、この手榴弾システムです。
全ての手術に共通する術後回復の鍵は痛みの管理です。大掛かりな切開ですから、当然痛みを伴います。その痛みを最小限にするために、術前から麻薬の持続点滴を行い、さらに硬膜外麻酔も追加しました。
●腹腔鏡にて卵巣、子宮摘出
腹腔鏡を使用するのは、痛みを軽減する対応の一つに含まれます。超音波と外観の想像通り、腹腔鏡で異常な子宮と卵巣を摘出しました。卵巣からホルモンの持続的な過剰分泌が乳腺腫瘍を誘発していると考えられます。
腹腔鏡を使用により、お腹の切開は、異常卵巣のサイズぎりぎりの、僅か2.5cmで終えることができました。
乳腺全摘出で大きく切開するため、できるだけ他の侵襲を少なくし痛みを抑えることが大切です、この場合の腹腔鏡使用は間違いなく有効です。
腹腔鏡用の皮膚の切開創は乳腺摘出創と同じ切開ラインを用いて行いました。
●手榴弾2
3日目の手榴弾です。
持続的に真空状態を維持しながら、隙間に溜まる血液成分をこのバックに回収します。動物の大きさと採取予想量で2種類のバックを使い分けます。利点は、無菌であること、バンテージ交換が不要、バンテージなどで過度の組織圧迫を防げることです。
通常2日で外しますが、今回は吸引量が多く、さらに2日が必要になると思います。(チューブを入れていると1ml/KG/DAYは出ます)
●術後3日目
食欲もあり、良く吠えます。申し訳ないことに、1カ月後に反対側の乳腺摘出が待っています。
サクラもう一回頑張って〜!
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胃捻転 [院長ブログ]
●クロ 12歳 ♀
昨日行方不明になり、帰宅後から「食欲、元気なく。えずく、お腹が大きい。」ことが気になって連れてこられました。
身体検査と超音波検査により、腹部に多量のガスと液体が溜まっていることに注目しました。半ば胃捻転を疑い、急ぎ麻酔をかけ、ガスを抜くことを試みました。しかし、チューブ挿入が困難なことから捻転を強く疑い、緊急で開腹することにしました。
●胃捻転
胃捻転とは、胃内にガスが急激に溜まり、胃が捻じれてしまうことで、胃と脾臓の血液供給が停止し、時間経過と共に壊死が進行します。このケースも胃の一部に血行障害が見られ下の写真のとおり色が黒く変化していました。幸い脾臓捻転の併発はありませんでした。
原因は、大型犬(特にグレートデン、ドーベル、シェパード)
に多く食後すぐに運動すると発生すると言われています。クロちゃんも食事を食べさせてから、直ぐに散歩へ出かける毎日だったそうです。
●ループ形成1
胃の一部を切断して胃の表面のしょう膜紐を利用して紐を形成します。
●ループ形成2
形成した紐を腹壁へ通し、再度胃が捻じれることが無いように予防的処置を施します。
●クロちゃんの予後
術後、徐々に状態が上向いてきています。炎症状態が継続しているのが気にかかる所です。本人の外観は、食欲は落ちていますが、動きは通常に近づいています。後3日ほどで退院の予定です。早期発見で救命できました。
下は術後2日目のクロです。
元気になりましたが、もう少し入院いただきます。
●自宅でできること
胃捻転は、早期発見が鍵です、以下に注意しましょう!
お腹にガスが過剰に溜まった時には、胃のあたりを指でたたくと「ぽんぽん」と音を発します。同時に嘔吐があったり、落ち着きが無くなります。そして、時間経過とともに呼吸が速くなり、よだれ、不整脈の発生が見られます。
中型,大型犬に発生を認めます。
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肝膿瘍と肝葉切除 [院長ブログ]
●ラブラドル、14歳、メス
食欲はあるが、熱が持続し、けだるい状況が続くとの主訴で紹介を戴きました。超音波検査で肝臓内の嚢胞を確認。血液データーは、驚くほどの異常はありませんでした。距離的な問題があるので、血液培養の結果がでる数日間、紹介戴いた病院へ戻り通っていただくことにしました。
●緊急手術
「急にお腹が大きくなり、膿が溜まり腹膜炎になっているようだ!」と報告を受け、再来院いただき緊急手術になりました。お腹の中は膿瘍が割け著しい腹膜炎を発していました。大量の膿を吸引し、嚢胞に癒着した胃、大網を慎重に剥がしながら左側の肝臓を切除しました。
●術後
点滴、徹底した疼痛管理、胸腔チューブによる持続吸引などの集中治療を行いましたが、残念ながら術後4日目で力及ばず亡くなりました・・・・大変残念です。数日後の血液培養検査では、サルモネラ菌による敗血症であったことが分りました。肝膿瘍自体、多い病気ではありません、また、肝臓は沈黙の臓器と呼ばれるように、ぎりぎりまで症状が分りません、定期的な腹部超音波検査を受けていれば、早い段階で検出できたと思うと悔しいです。
<病理検査結果>検査結果は、肝膿瘍の形成を伴う、高分化型肝細胞癌で、腫瘍切除は完全でした。
皆さん!腹部超音波検査(特に7歳を越えたら)を定期的に受診しましょう!











