広島県呉市「石崎動物病院」

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肺炎と気管虚脱 [News]

●花子 15歳 ♀ ポメラニアン

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同居犬の針治療の付き添いご縁をいただきました。数回目の来院際に、「ほんじゃ、この子もついでに見てください!」とはじまり、身体検査をさせていただきました。その時の検査で、乳腺腫瘍数か所と歯周病を発見することができました。善は急げで、早速に手術予定を計画し、術前の検査(身体検査、レントゲン、血液検査)を行いました。結果は、軽度の気管虚脱と重度の歯石堆積でした。15歳ですが、血液検査にまったく異常はなく、来週の手術になりました。

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●乳腺腫瘍摘出
乳腺腫瘍を以前に、他院で2回切除されていたそうです。今回、身体検査で1カ所の小さな(2mm)塊を発見しました。麻酔をかけて詳細に調べてみると、5つの腫瘍が発見されました。

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●口腔内検査
口の中を検査すると、歳なりにそれは、それは、ひどい状況で、ほとんど歯が抜け落ちていました。そして、
残る歯は全て著しい動揺が見られました。口腔内検査による歯周靭帯は跡形もなく、全て抜歯することにしました。

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●フラップ
抜歯後の穴は、常法通り粘膜のフラップ(弁)を作成して、骨をわずかに削り、抜歯後の穴を閉鎖しました。この処置をしないと、術後に鼻水が止まらない、くしゃみが続くなどの不快症状が残りますので、必ず処置することをお薦めしています。

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●乳腺腫瘍
大きさと発生部位から局所切除を選択しました。右端の腫瘍は2つの腫瘍を含んでいます。

病理結果
5か所の内、3か所が悪性腫瘍でした。全てにおいて完全切除と脈管侵襲像(転移)が見られず安心しました。

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術後直ぐ

●術後肺炎
手術後の翌日、ささみを少し食べ、徐々に麻酔の影響から解放されつつありました。しかし、術後3日目から突然咳き込む様になり、徐々にその咳がひどくなりました。ついには呼吸困難を生じる様になりました。レントゲン撮影と血液検査から、誤嚥性肺炎と重度の気管虚脱を発見しました。症状は悪化し、咳がひどく呼吸困難を招くときには、舌を引っぱってサポートしてあげないと呼吸できない状況にいたりました。

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回復後

日中は、ICUで管理し、夕方に帰宅する日々が続きました。ICUで過ごしている4日目についに呼吸が停止し、気管チューブ挿管、その他緊急処置にいたり、生死の危機が訪れました。幸いに、その翌日からは、徐々に咳が減り呼吸状況が改善、7日後には以前の症状が嘘の様に消え、元通りに回復しました。

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温風ヒーターにて術後の体温低下を防ぎます。

●考察
高齢の患者さんに麻酔をかける際には、術前の身体検査、レントゲン検査、超音波検査などを必ず行い、安全性を高めてから手術にはいります。。今回は術後の誤嚥性肺炎により、持病の気管虚脱が発症し、重篤な状況に落ちいってしまったことが想像されます。
一時は、飼い主さんも、我々もヒヤヒヤしながらの毎日の日々であり、大変ご心配をおかけしました。突然の展開ながらも、飼い主さんのご協力で無事に回復できたことを心より感謝したいと思います。朗報は、緊急処置で肺胞を強制的に膨らませたせいか、術前より換気の良い肺がレントゲンでも観察され、以前より呼吸状態がよくなった気さえします。
高齢になると喉の嚥下機能が低下します。よくある老人が餅を喉に詰まらせてしまう様なケースです、故に誤嚥性肺炎がなどのリスクも発生します。年を重ねるほどリスクは増加し、進んでできるものではありません。しかし、恐れていては必要な手術ができません。手術を伸ばすことで、手遅れになったり、悪化してからではリスクが高まります。

「ドキドキの経験ではありました」が、引き続きスタッフ共々、最善の安全安心の手術と管理を行ってまいりますので、飼い主様のご理解ご協力を宜しくお願いいたします。






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火傷に注意! [News]

●火傷
誤ってヤカンの熱湯がかかってしまっと聞きました。数日間は、皮膚が少し赤く変色しただけでしたが、三日目あたりから、皮膚の脱落がみられました。感染症を防ぐ抗生剤と皮膚を保護し、剥がれた上皮を再生させる処置を行いました。

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●処置1(雨の日用)
湿潤密閉療法を施しました。
片口、足先、左脇腹と広範囲に及びます。全てを包み込むバンテージをおこないました。足先は、飼い主さんの靴下と、足先が雨で濡れない様にビニール袋で覆います。


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●処置2(晴れの日用)
人間同様に火傷も広範囲に及ぶと死に至ります。子供と同じく事故が起こらない様に十分な注意が必要です。

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●火傷の処置
人間と同様に火傷をしたら、まずは水で冷やさなければなりません。人間と異なり毛が生えていますので、火傷の場所が分りにくく別の場所を冷やしてしまうこともあり注意が必要です。その後の処置は、火傷の範囲と損傷の程度によりますが、上記の通り感染を防ぎ、湿潤療法で治療します。また、皮膚の壊死が広範囲に見られた場合には、皮膚移植、皮膚形成術が必要になります。とにもかくにも、動物は火のそばには近寄らせない様に注意しましょう!


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著しい皮膚欠損 [News]

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●来院初日
「治りが悪い」と転院いただきました。外出の際に、大きな外傷を受けたことが考えられます。まずは、今までの治療を見つめなおす作業から始めたいと思います。

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●7日目
随分前の「News」にあるように、現在は、傷は湿潤療法で治すのが主流です。昔のように、乾燥させたり、消毒液を塗布することは行いませんし、その処置は、逆に治りを阻害します。

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●14日目
さらに傷は小さくなり、肉芽(赤い盛り上がった組織)増殖が盛んになりました。

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●30日目
3日に一度の湿潤療法で、1/5ほどに収縮しました。しかし、傷を覆う、肉芽組織(赤い部分)が前回より勢いがありません。今しばらく増殖を期待したいと思います。

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●45日目
飼い主さんは、皮膚の増殖スピードが思いのほか早かったので、外科手術を望んでいませんでしたが・・・・。
せっかく肉芽組織が増殖して皮膚が再生しつつあっても、緊張があるお尻の部分は、動く事で破れてしまうことが数回見られました。よって、これ以降外科手術で治療を行うことにしました。


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