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腸重責!(腸の中のできもの) [院長ブログ]
●メイ ♀ 11歳 マルチーズ
4日前から食欲がなく、フラフラしているとの話でした。
血液検査では、血液量は正常範囲ですが、以前からの血液データーでは、貧血が疑われました。血液を引きのばし、赤血球の形態を観察すると、再生像が盛んにみられるので、他の原因を除外した結果、どこかで、持続した出血がある?ことが予想されました。
●身体検査では、痛みも無く、腹部触診にて異常は感じられませんでしたが、病歴と検査より追加の超音波検査を行いました。
上下共に腸重積に伴なう多層構造、塊状病変と思われる高エコー所見が観察されました。
●手術が決まりました!
腸の超音波検査から手術を行う決定をしました。
また、身体検査で雑音が聴取されませんでしたが、手術前に心臓のレントゲン検査、続いて心臓の超音波検査を行いました。(老齢のケースは、手術前にできるだけ検査させていただいています。)すると、左の弁(僧帽弁)に逆流があることが分かりました。前尖(前側の弁)には、大きな粘液変性が目立ちます。
●この検査により、術前の麻酔薬の選択、そして、術後の処方が変わりますので、老齢であれば、どなたも必須項目としてご依頼いただいたいと思うところです。
●手術開始。
腸に腸が重なった重積状態で発見されました。腸を部分的に切断し、縫合したところです。次に、切開創から、リンパ節、その他臓器を観察しましたが、肉眼的には、異常はありませんでした。(一安心)
●重積部分を引きのばした写真です。中央部分に腸管内腫瘤が発見されました。どうやら、この重積は、この腫瘤が原因のようです。
●4日間何も口にしていませんでしたが、翌日から食欲が出て、顔色も良くなってきました。3ヶ月前から、だんだんと痩せてきていて、手術前数日は、食事を取れず、薄々と状況が悪いとに気づいていた飼い主さんでしたが、なかなか病院に連れいけなかったことを悔やみ、そして、ほぼあきらめ、覚悟を決めて悲しみに暮れていたのですが・・・。
しかし、3日後にはしゃぎ回るメイちゃんと対面して、手術立ち会いの時に流した涙とは違う、喜びの涙を流しながら感動の再会となりました!思わず我々スタッフも皆幸せになりました!
●病理診断結果
組織の診断結果は、良性の平滑筋腫でした。浸潤増殖などの悪性所見は、観察されず、切除範囲も完全でした。「良性より、転移、再発は無し」との結果に、一同、ビックスマイルでした!11歳のメイちゃんですが、これからは、心不全の進行を出来るだけ抑えて、長生きしてもらいたいと思います。
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犬の耳道摘出術 [院長ブログ]
今回は、遭遇する機会の多い、難治性慢性外耳炎のお話です。
慢性外耳炎の基本原因は、多くがアレルギーです。このアレルギーが上手くコントロールされないと、今回の様に進行して、手術適応になります。
●柴犬
3年前から症状がみられ、外耳炎を繰り返していました。ここ数か月、管理が不十分になり、急に進行。「体質故、治療手段はない。」と言われ、当院に来院されました。
耳介には、増殖した組織が充満し、耳道(耳穴)を閉鎖しています。耳鏡が入り込む余地は、ありません。
●耳介下の皮膚を切開し、耳下腺に注意し剥離を進めます。
顔面神経を慎重に保護しながら、深部の鼓室(鼓膜のさらに奥の部屋)まで進みます。
鼓室内に増殖した耳道組織と耳垢を綺麗にそぎ取ります。その際に、細菌培養の組織を検査に送ります。次に、鼓室下部の骨を除去し、最後に消毒、洗浄を行いました。
●手術法は、@垂直耳道切除術A水平耳道切除術B全耳道切除術(鼓室切開術)とあります。今回は、レントゲンで確認したとおり、鼓室は綺麗でした。
しかし、増殖した耳道組織が鼓膜を破り、水平耳道の増殖が著しかったので、全耳道切除術を選択しました。
●耳介の増殖組織を切除したところです。
最初の写真との違いが明らかに分かります。
●耳は、入口から耳介、垂直耳道、水平耳道、鼓膜、鼓室の順で構成されています。
下記は、切除した水平耳道です。
水平耳道も、増殖した組織で満たされていました。
●手術終了後です。
耳道はすべて除去しましたが、外観の違和感はありません。
●思うこと・・・
できることならば、この外科手術に進むまえに症状をコントロールしたいものです。多くは、陰陽食事療法、脂肪酸、抗ヒスタミン剤、シャンプー療法などで可能です。
しかし、残念にもこの様な状況に陥った場合には、積極的な手術を早期に行い、ずるずると抗生物質と変更しながら症状を引きずることは避けたいものです。耳を取る手術となると多くの飼い主さんが躊躇されますが、上記の様に術後の外観の変化は、ほとんどみられません。なにより、いらいらした毎日から解放され、快適な日々を送れるようになることが何よりだと思います。
そして、今回の様に、持病と諦めず、ご相談ください。
●病理検査報告
昨日、病理検査報告書が届きました。
炎症性ポリープで、悪性所見はありませんでした。
本日、抜糸も終わり、後は耳介部の炎症が治まるのを待つのみです。
これで、長い苦しみから解放です、お疲れ様でした!
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17歳大将、ようやく手術を決心しました!「年寄物語」その4 [院長ブログ]
「年寄り物語」その4
大将 柴 ♂ 17歳
●ヒストリー。
数年前に左口唇に「小さなできもの」で来院されました。積極的に手術をお勧めしましたが、つい、つい、年だからと様子を見てしまったようです。
最近、「できもの」が大きくなり、痒く、そして、匂いも発するのでようやく手術を決心されました。
●育ち過ぎた腫瘍。
1cm程の小さな「できもの」は、時間経過に伴い、ずいぶんと大きくなってしまいました。「できもの」から1cm以上の切除部分を取り、口腔粘膜をも含めて大きく切除しました。
糸が結んである方が、頭側です。
完全切除がなされているか、各部位で病理検査を行います。
●切除後、そして、縫合後直後。
胸のレントゲン写真は、転移像がなく一安心でした。しかし、下顎のリンパ節が腫大していたため、細胞診検査を行い後、転移所見が怪しい状況でしたので、同時切除を行いました。
●10日後の抜糸写真。
口腔粘膜も大幅に切除しましたので、若干歯が唇から飛び出してしまいました。いたしかたありません。
●おまえもか!
先頭の写真にあるように、左耳のただれは、この耳道内に発生した「できもの」が原因でした。
ここにも「できもの」がおりました!
●細胞診後、レーザーで除去。
耳道に広がる、約3cmの「できもの」でした。
●10日目の抜糸、無事終了。
攻撃的な性格ゆえ、飼い主さんも遠慮があり、以前からの皮膚のケアーも十分にできず今日まで経過してしまいました。そして、今回の「できもの」が発生し、同じように様子を見過ぎてしまったようです。
手術前の血液検査では、全く異常が見つからず、もっと、もっと早くに手術、その他処置を思い切って決心いただければと・・・残念に思います。
”気がついたときが旬”であることを忘れずに!
●本日、病理検査報告が届く。
内容は、悪性である扁平上皮癌でした。
幸い、完全切除が成功し、さらに幸運にも血管への腫瘍細胞浸潤は見られませんでした。一緒に切除したリンパ節への転移もなくホットしています。口腔内扁平上皮癌と比較して、皮膚における扁平上皮癌は、転移が少ないと言われてますので、油断はできませんが、これで一安心です。
これを乗り越えて、20歳を目指して頑張ろう!





















