広島県呉市「石崎動物病院」

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2009年08月21日(金)

突然の脾臓破裂と虚脱! [News]

●セナ、突然元気なくなる
いつも、元気過ぎるセナが、突然大人しくなりました。
飼い主さんも直にその異常に気づき、翌日、夕方に来院されました。尻尾を振る元気はありますが、明らかに、いつもと別人のセナに変貌しています。

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●超音波検査
触診にて腹部の異常を感じ、直に超音波検査を行いました。プローブを当てると同時に、目に入ったのは、腹水と脾臓の異常所です。下の約10cmの丸い塊が見られました。

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●即、手術決行!
貧血著しく、血圧低下。出血が持続していると予想できます。
急ぎ、血圧を上昇させる処置を施し、全身麻酔に耐えれる身体に戻す作業を行います。「皆、急ぐぞー!」
そして、麻酔。(スタッフ一同、一番緊張する時間です)

●脾臓摘出
お腹を開けると、大量の出血があります。その出血をある程度吸引して、脾臓を慎重に取り出し、急ぎ切除しました。
最後に転位の有無を確認して、お腹を閉じました。
下の写真は、腫瘤でパンパンになった脾臓の膜が破れているのが分かります。脾臓は血管の塊です、これが弾ければ、大量出血が起こります。

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●脾臓の全体像
尾側に大きな腫瘍が見つかりました。
手術中の細胞診で、悪性所見が見られましたので、急ぎ全摘出を行いました。

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●大網に見られた小さな腫瘤
手術後の細胞診で悪性所見が見られ、転移?が予想されます。

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●一日遅ければ・・・
お腹の中には、約2000mlの血液が漏れ出ていました。突然の持続出血により、ショック状態におちいり、来院時には、血圧も低下していました。
この出血が続いていてば、たぶん、翌日まで持たなかったと思います。

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●翌日のセナ
翌日は、昨日の状態が嘘のようで、いつも通り、元気になって、精一杯、尻尾を振って迎えてくれました。
紙一重の手術でしたが、これまたいつも思うことは、特にゴールデン、ラブラドルの犬種は、7歳を過ぎたら、必ず、超音波検査を積極的に受診して欲しいと思うのです・・・。皆さ〜ん。進んで超音波検査を受けましょう!
また、この手の手術は、いつも夜遅くなります。いつもながら思うことは、多くの飼い主さんは、数日、あるいは、1日前には、異常に気づいているはずです。夜の手術は、体のホルモン分泌低下、スタッフの人数から言って、日中より安全性が低下します。ですから、手術は午前中に行うのがベストなのです。皆さ〜ん。異常に気付いたら、直に来院しましょう!


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●術後5日目
飼い主さん曰く「物凄く元気で、いつもに戻りました!」嬉しい限りですが、この度、今回の大量出血における回復具合を調べました。血液を薄く引き延ばし、体がどのぐらい頑張って貧血を治そうとしているのかを測る検査です。
右の写真の青く大きな丸型が若い赤血球です。セナの骨髄が一生懸命頑張って、血液を増やそうとしている状態が分かります。

●病理結果
病理診断では、残念ながら・・・想像通りの血管肉腫でした。血管肉腫は、非常に転位率が高い(70〜80%)と言われています。
気になっていた大網の腫瘤には、転移がみられず、肉眼的に肝臓はとても綺麗でしたので「ホット」しています・・・しかし、油断はできません。これから、飼い主さんと一緒に「セナちゃん」の免疫増強に努め、長生きできるように頑張ります!


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14時28分


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