広島県呉市「石崎動物病院」

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2009年11月02日(月)

猫の膵炎 [News]

●猫の膵炎
猫の膵炎は、犬の様な特徴所見がなく診断がむづかしいと言われます。原因は、トキソプラズマ、FIP、カリシウイルス、脂肪異栄養症、FeLV、外傷などで、症状は、元気消失、食欲不振、脱水、特徴的な所見は低体温があり、時々、多飲多尿、嘔吐、下痢が見られます。

●フー 5歳 雌(不妊手術済)

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2、3日前からどうも様子がおかしい。フラフラして食欲、元気がないという主訴で来院されました。体温41.2度。血液検査では、白血球増多。そして、感染を疑う中毒性所見があります。まずは、抗生剤を処方しました。
その晩、鰹節を少したべたが、その後、変わらず食欲元気なく、発熱が続くと翌日に再来院されました。再度、血液検査をすると黄疸所見が見られ、昨日より強い感染を疑う血液像が現れました。そこで、超音波検査を行いました。

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●超音波検査
膵臓を観察すると、通常、膵臓は観察されないのですが、膵臓壊死とおもわれる膵臓の低エコー像を認めました。膵臓の超音波検査は、感受性の低さ(67%)から診断をつけにくいのですが、腫瘍、リンパ節過形成、門脈高血圧、低アルブミン症による浮腫を除外することで特異性が高まります。それらを考察し膵炎の可能性を疑い、早速その日の午後から、腹腔鏡による膵臓組織検査を計画しました。                                  

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●膵臓生検
浮腫をともなった膵臓が見られます。腸間膜リンパ節も腫脹していました。左の鉗子で十二指腸を摘み上げ、右の生検鉗子で膵臓を部分切除しました。超音波でも確認済みの僅かな腹水が観察されました。

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●肝臓生検
同じく肝臓各葉を観察し、数か所を部分切除して検査へ送りました。上記および右の主義は、5mmの穴3か所で行っていますので、負担は極めて少なくなります。

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●食道チューブ
食欲がない主訴と術後の食欲不振を考慮して、麻酔時に一緒に食道にカテーテルを装着しました。このチューブから栄養を補給し、食欲が回復するのを待ちます。

●病理結果
膵臓は、膵炎と診断され、外分泌の変性、委縮が観察され、一部で炎症細胞浸潤が観察されました。肝臓は、肝細胞の変性が観察され、炎症細胞も散見される状態でした。

10日後には、熱も下がり顔つきも良く調子が良い感じです。血液検査では、炎症像もなくなっていました。そして、徐々に口から物を少しずつ食べるようになって順調な回復です。
めでたし、めでたし。

   


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09時53分


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