広島県呉市「石崎動物病院」

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2009年10月09日(金)

猫の尿閉 [News]

●尿閉
尿閉(にょうへい)とは、尿が何らかの原因により閉鎖され排出が障害される状態を言います。当然、尿が出なくなりますので、2次的に尿毒症が発生し生死にかかわる状態になり、緊急疾患の一つです。多くが雄猫における膀胱結石により、その結石が狭い尿道に詰まることにより上記の症状が発生します。

●チョコ 3歳♂ スコテッシュフォールド

この度のケースは、結石ではなく血餅(血の塊)の閉塞により発生したものと思われます。
超音波で膀胱を観察すると、大きな何者かの塊が膀胱内にしっかりと位置しています。膀胱結石の場合には、食事療法で溶解することも可能ですが、血餅のケースでは、膀胱を切開して取り出さない限り治癒しません。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●手術
尿毒症の緊急事態を回避し、正常に復した3日後に手術を行いました。超音波の診断とおり、切開した膀胱内から大きな血餅が飛び出しました。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●細胞診
手術中に切開した膀胱の粘膜を観察すると、一部に怪しい炎症部位があり、急ぎ細胞を調べることにしました。すると、その細胞に悪性所見!・・・・しばらく病変を根こそぎ取るべきかどうか悩みましたが年齢的に癌発生年齢ではないこと、突発のできごとであることから、その怪しい病変を残したまま閉復し、病理検査を待つことにしました。

●術後
術後から尿がスムースに出るようになり、3日後に退院しました。数日後の病理検査では、怪しい部分は、慢性炎症所見と診断されました。診断医曰く「膀胱の粘膜上皮は、炎症により悪性所見を示すことがあります。また、尿沈渣での細胞診では、浸透圧で細胞の変性などが加わり、悪性/良性の鑑別が難しくなります。」とのことでした。今思えば、慎重な判断が効を奏したと思いました。


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08時36分


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