広島県呉市「石崎動物病院」

動物に優しく思いやりのある診療をモットーに

News

RSS1.0


2010年09月28日(火)

慢性の嘔吐と下痢 [News]

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

●レオ チワワ 7歳 ♂
1ヶ月前から下痢と嘔吐を繰り返していたそうです。そして、癌、異物はなく、膵炎の疑いと診断されたそうです。数日前に、飼い主さんの紹介で来院されました。

画像(330x246)・拡大画像(640x479)

●超音波検査
触診で異常を感じましたが、超音波検査を行うと明らかに腸の問題が発見されました。大きく肥厚した一部の腸管および塊(腸管膜リンパ節?)があります。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

肥厚した腸管

●肥厚した小腸
血液中のアルブミン(たんぱく質)が時間をかけて低下していので、このままでは麻酔はかけられません。点滴、そして輸血をしてアルブミンを上昇させて手術を行いました。かなりの広範囲で腸管が肥厚、硬結していました。この腸であれば、下痢もいたしかたありません。嘔吐と下痢を止めるべく、異常部位の部分切除を行いました。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

縫合した腸

●腸管吻合
肉眼的に異常が見られる部分を広範囲に切除し、腸の断端を縫合しました。腸管膜リンパ節は大きく腫れあがっています。経験的にリンパ腫を強く疑います。
*低蛋白を伴う代表的な消化器疾患(下痢、嘔吐)は、リンパ腫、蛋白漏出性腸炎、炎症性腸炎があります。しかし、下痢がない場合もあるので曲者です。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

切除した小腸

●その後
手術前までは、飼い主さんが無理矢理に食べさせていたそうです。しかし、嘔吐と下痢は続いていました。術後2日目からは、自身が進んで食事を欲するようになってきました。嘔吐もありません。顔色も良く気分も落ち着いています。嬉しい限りであります。

画像(330x247)・拡大画像(640x480)

細胞診

●細胞診所見
腸の腫れあがった部分から材料を取り、細胞の検査を行いました。病理結果で確認をとりますが、未熟リンパ球が多数認められ、典型的なリンパ腫です。急ぎアメリカの腫瘍専門医に連絡をとりました。彼女は、マイルドな抗癌剤療法を勧めてくれました。私自身は、消化器型リンパ腫には、抗癌剤の期待は薄く、それを使用する事に否定的で迷うところですが、飼い主さんとじっくりと相談の上、治療方針を決めていきたいと思います。

●追伸
連続2週間以上、嘔吐、下痢が続けば慢性の消化器疾患と言えます。どこかに何らかの問題が発生していると考えられるので、早い段階で詳細な検査を受けることをお勧めします。


関連タグ :

11時28分


ページのトップへ

  • お問い合わせ
  • スタッフ募集
  • 石崎動物病院の日々

検索

キーワードリスト

最近の記事

リンク集

powered by a-blog

[Login]