広島県呉市「石崎動物病院」

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2013年08月11日(日)

猫の慢性腎不全 [News]

●さくら ♀ 日本猫 17歳
慢性腎不全とは、猫の一番多い老齢期の疾患です。
腎臓が萎縮することにより腎臓機能が低下し、様々な症状が出現します。代表的な臨床症状は、多飲、多尿による脱水、貧血。食欲不振による削痩、嘔吐、下痢などです。血液検査では、血液量の増加(脱水による)腎機能関連値の増加(BUN、Cre、P、K)が特徴的です。

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復活した「さくら」は、まだまだ頑張ります!

さくらは、一時期血液量が9%まで低下しましたが、ホルモン剤の定期的投与により現在は37%を維持しています。また、膀胱炎を繰り返していましたが、現在は落ち着いています。慢性腎不全の治療が始まり、既に4年半が経過しました。

●尿検査と画像検査
尿検査に加えて腎臓の状態を把握するために、超音波検査で、腎臓の色、形、血行状態を調べます。また、尿管の閉塞を除外しておくことが必要です。

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尿の性状、比重、尿沈渣を調べます。

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●治療
慢性腎不全を治癒させることはできません。治療目的はいかに生活の質を保ちながら長く生きてもらうかです。検査、治療は以下です。

★貧血⇒ホルモン剤、鉄剤の注射
★リンの管理⇒リン吸着剤の投与
★尿毒症の管理⇒補液
★食欲不振⇒食欲増進剤、鍼灸療法、胃チューブ設置、歯石除去、
★膀胱炎の管理⇒尿検査、抗生物質
★嘔吐⇒制吐剤
★腎血流の増加⇒血管拡張薬、オゾン療法、漢方薬
★電解質の管理⇒カリウム調整薬、P吸着剤
★食事の管理⇒腎臓病食
★高血圧の管理⇒血管拡張薬
★尿中タンパクの定期測定⇒UP/C
★腎不全進行遅延⇒カルシトリオール
★水和⇒自宅での補液

上記の治療は、全て行うのではなく、個々の状態に応じて選択します。

●飼い主の協力
自宅での薬剤投与、輸液、胃チューブから食事管理などは飼い主さんの協力なくしてはできません。また、経穴にお灸をすることで血行が促進し、気を流すことで元気食欲が回復することが多々ありますが、これも自宅で治療を進める管理の一つです。慢性腎不全は治癒できない病気ではありますが、諦めずにきめ細かく管理することによって長期管理が可能です。共に頑張りましょう!

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お灸の道具


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20時02分


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