広島県呉市「石崎動物病院」

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2011年07月29日(金)

猫の下顎骨部分切除と形成 [News]

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●猫 10歳 ♀ ハナ
食欲、元気はあるが3か月前から「よだれ」が出るとのことで来院されました。

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●腫大した顎
顎が固くなり、反対の顎と比較すると5倍ほどに大きく腫れあがっています。年齢的に口腔内腫瘍も疑わなければなりません。

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●口腔内の粘膜欠損
口の中の粘膜の欠損もみられ、露出している骨は見るからに汚く変化しています。口の中に緑色の石様に見えるのが、汚くなった骨が露出してるところです。上の写真の穴の原因は、口腔内に生じた粘膜欠損により感染が起こり、上から下へ通じる穴が形成されてしまったのでした。

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●レントゲン撮影
レントゲンは、歯科専用レントゲン装置を使用します。デジタルなので結果はすぐに目の前のモニターへ写し出されるので便利です。今回は、歯と骨の状況を把握しますが、他には埋没歯、歯根の感染、歯髄療法の進行状況を検査するためになくてはならに機材です。

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右顎と比較すると大きく肥大し、骨組織がスカスカになった状況が観察されます。しかし、骨の強度は維持されていたので、腫瘍ではない可能性に期待したいと思います。

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●骨の炎症
今回は検査を行うために、口腔粘膜を剥がし、上記の骨の一部を病理検査へ出しました。
数日後の結果は、腫瘍性の変化は無く「骨の炎症」でした。飼い主さんと話を詰めてから、後日下顎の部分切除を行う予定にしました。

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●下顎部分切除
まずは、骨組織を培養検査へ提出する材料を採取する手順を進めました。骨が腐った部分(腐骨と呼ぶ)を正常の骨と分離して採取しました。

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●フラップ形成術
今回の大きな穴を埋めるのには苦労しました。舌側の口腔粘膜は伸びないために使用できないため、頬側の犬歯、第3前臼歯を抜歯し、唇を広げて精一杯の大きさのフラップを作成しました。、

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大きく膨らんだ骨を削除して、さらに唇に空いた板穴を塞ぎました。つまり、舌の直ぐ内側に唇が付いている形になりました。

●培養結果
骨の培養結果は、緑膿菌と大腸菌でした。現在処方している抗生物質では不十分なことが分かりましたので、これより変更して長期に投薬いただきます。

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●まとめ
飼い主さんと言うものは
「本格的な症状がでないと、来院および手術されないもの」です。

もっと早く手術をしていれば、骨の感染も無く、ここまで大がかりな手術にならなかったと思うと残念ですが、これもいつものことです。この度、フラップ形成の為に数本の歯を失いましたが、これからは、顎が痛むこともなく、よだれも止まるはずです。ハナの快適な未来に乾杯!


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17時15分


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