広島県呉市「石崎動物病院」

動物に優しく思いやりのある診療をモットーに

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2011年07月05日(火)

胃切開と空腸カテーテル [News]

●ヨークシャテリア、10歳、1.85kg、♀

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●稟告
10日前から嘔吐、下痢をして近くの獣医さんで診察してもらい、甲状腺機能減退症と診断されたそうですが、下痢は止まったものの、嘔吐が散発すると来院されました。

当院の診察では、口腔内の乾燥と皮膚の弾力性の低下から中程度の脱水。陰部が腫大し、乳汁がでることより卵巣の異常が考えられること。尿検査でケトン(3+)があることから長期?の栄養不全が考えられること。嘔吐が続いているので、消化器疾患を疑って、先ずは超音波検査を行うことにしました。そして、いきなり目に飛び込んできたのは「胃の中の変な異物!」でした。

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●胃切開
先ずは内視鏡と考えましたが、超音波検査にてたくさんの異物を発見しましたので、患者の全身状態を考慮して、時間が短い、開腹による異物摘出を選択しました。胃を出してみると大きく膨れ上がり、間違いなく異物が入っていることが想像されました。

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●胃潰瘍
「レンコン出るわ、出るわ!」異物となったのは、たくさんのレンコンでした。また、レンコンが長期に存在していたために、深い胃潰瘍が数か所形成されていました。

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●空腸カテーテル
胃潰瘍が多数あるので、胃をしばらく休ませる事にしました。胃→十二指腸の次にある空腸にカテーテルを装着して、そこから栄養補給を行います。右下のカテーテルは、腹壁を通過して空腸に固定されています。

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●卵巣、子宮摘出
手術前の超音波検査で卵巣、子宮の異常は分かっていましたので、胃切開と同時に摘出術を行いました。写真の通り大きく膨らんだ子宮と拡大した卵巣が見えます。

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●回収品
小さな体からレンコン出ること14枚。飼い主さんは全く身に覚えがないとのことですが、現実に胃には満タンのレンコンが全く消化されずに詰まっていたのでした。2kg未満の小さな体に、5p大のレンコン群を飲み込んで大変なことになったのでした。

<教訓> 
人は「レンコンは良く咬んで食べましょう!」
動物は「レンコンをあげたい時には、小さく切って与えましょう!」

●その後
順調に経過して帰宅する予定でしたが、嘔吐と下痢と低血糖が発生し、さらなる検討を加えることになりました。副腎皮質機能減退症、急性膵炎、膵外分泌不全の検査を行いましたがいずれも結果は「白」でした。今日は、低血糖の管理のための点滴を外すことができました。空腸カテーテルからではなく口から食べれるようになり嘔吐も無くなりました。後は下痢から軟便に改善しつつある症状が改善されれば、待ちわびる飼い主さんの元に帰れます。来週頭には帰れそうです、今しばらくお待ちください!そうそう、記載漏れしましたが、脾臓、膵臓、腸から肝臓へ流れる血管異常である門脈シャントの疑いが残っていますので、次回の来院時に検査したいと思います。

08時22分


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