犬の眼球摘出 [News]
●緊急事態 パピオン ♀ 6歳
突然の電話で「犬同士が喧嘩し、眼が飛び出したので見て欲しい」
と連絡が入りました。
過去の経験では、早い処置を施せば飛び出した目を救命することはできます。
急ぎ来院いただきました。
しかし・・・私の想像していた状態とは違いました。
残念ながら、その眼は皮一枚でつながっているほどの様子で、視神経が切断され一部の筋肉だけで眼瞼からぶら下がっている悲惨な状態でした。(衝撃的な故、明瞭な写真は載せていません)
急ぎ、麻酔をかけ処置を行いました。
●処置
翌日の状態です。
穏やかに何事もなかった顔つきで安心です。
手術は、眼瞼部分(アイリッド)を残し「目をつぶっている状態」でしあげました。
頭のてっぺんは咬まれた際に穴が開いていたので、排液用ドレインチューブを装着しています。
●今後
摘出した眼球部の組織が今後萎縮/陥没する可能性がありますが、その際には再度美容形成術が必要になるかもしれません。
喧嘩した相手は、普段は仲の良いハスキー犬で、頭をすっぽり咬まれた際に犬歯(牙)が目に入ってしまったようです。
兎にも角にも、今後は残った眼を大切に大切にしてほしいものです。
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犬の歯肉増殖 [News]
●紀州犬 18歳 ♂ 龍
6歳ごろから、歯肉炎から歯肉増殖(過形成)が始まりました。
今回で4度目の手術になります。
非協力的(凶暴)で口の中を見せてもらえず、自ら口を開けた際にちらっと見ることでしか観察できませんでした。
高齢(18歳)であることも考慮して手術を延期してきましたが、食事がしにくい「何とかしてくれ!」とリクエストいただきました。
術前の血液検査と麻酔薬の選択を行い、慎重に事を進めました。
●歯石
歯石は中程度の付着です。
なにより歯肉増殖が著しく、歯を乗り越える勢いです。
●特に著しい増殖
特に下顎の前臼歯部分の歯肉の増殖が著しく、歯を外側に圧迫するため、食事が食べにくく、時に出血がみられました。
残念ながらこの歯肉増殖処置は、現在のところ増殖部分の切除を繰り返すしかありません。
●最後の処置???
これで4度目の処置になりましたが、年齢は既に18歳です。
年齢と現在の情報を鑑みて広範囲の歯肉切除と抜歯を行いました。
残ったのは左右の犬歯とわずかな門歯(前歯)になりました。
●予後
多くの歯の抜歯と侵襲的な歯肉切除を行いましたが、
3日後には、飼い主さんから嬉しいご報告をいただきました!
「すごく調子が良いよ〜」と。
食欲も旺盛、口も全く気にする様子無し、
もっと早くしてあげれば良かったね!
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犬の口腔内腫瘍 [News]
●なな 11歳 ♀ ダックス
口腔内の腫瘍は、春の定期健診時に見つかりました。
その他、身体検査では、特にお腹(上腹部)の張りが気になりました。
手術前の血液検査では、ALP>3000、ALP負荷試験2978、コレステロール450、Fib608でした。この数値の意味は、副腎皮質機能亢進症(クッシング病)ストレスによる負荷(コレステロールの上昇)と炎症の存在であると解釈しました。
お腹の肥大は上記の病気により肝臓が腫大し、筋肉の弾力性が失われているためと思われます。
●腫瘤切除
腫瘤周辺の組織を含めて除去し、その下の骨の一部をハイスピードドリルで除去しました。
●修復
切除した穴を粘膜フラップで被い縫合しました。
●病理結果
組織診断は棘細胞性エナメル上皮腫、以前はエプリスと呼ばれていた腫瘍で、良性に分類されていますが、時に広範囲に浸潤することがあります。
組織周辺の切除部位は完全でしたが、定期的な観察は大切になります。
何より、今後は、副腎皮質機能亢進症の治療と併せて、病気にならない、さび付かない生き方の改善(食事、水、住環境)が必要です。
気づいてもらえれば良いのですが、、、、。